メモ書き

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中国株の下落と、社会主義市場経済|チャイナリスクの正体

昨日に引き続き、中国の話。
とはいえ、今回は主に株式。

色々あったことを振り返っていく個人的なメモです。

* * *

米国に上場する中国最大の企業であるアリババの株価で、週のあたまから20日金曜日までの下げ幅は15%以上に達し、時価総額は4240億ドルにまで落ち込んだ。
<中略>
米国で上場しているオンラインゲーム会社のNetEaseやEV(電気自動車)メーカーのNIO、インターネット企業バイドゥなどの株価は先週、それぞれ11%、10%、10%の急落となった。

forbesjapan.com

この「下げ」以前にも、ちょくちょく「下げ」はありました。
共産党の意向で「上場できず」からのIPO強行とか、塾の非営利化とか……。

7月で最も大きな影響を受けたのが、中国における配車サービスのディディと個別指導サービスのTALエデュケーション、そして英語教育のニューオリエンタルエデュケーションアンドテクノロジー(EDU)である。これらのADR価格は大幅に下落しており、ディディは前月比で約42%下落、TALエデュケーションは前月比で76.2%下落、EDUも64.2%下落と大幅安の状況。

www.itmedia.co.jp

 教育絡みでダメージを被ったのは……
・個別指導サービスのTALエデュケーション
・英語教育のニューオリエンタルエデュケーションアンドテクノロジー(EDU)
ともにADRですか。

米国預託証券ADR)とは、非米国の公開企業の株式を裏づけに発行される米国証券です。ADRは、米国市場において米ドル建てで取引されます。ADRは、米国投資家による非米国企業の証券の購入、保有、売却を容易にするための仕組みです。
www.smfg.co.jp

 配車サービスの「ディディ(滴滴、DiDi)」は、中国版Uber
滴滴出行ソフトバンクが共同出資して立ち上げた「DiDiモビリティジャパン」もあります。

 

jp.reuters.com

ソフトバンクグループといえば、アリババの筆頭株主
ソフトバンクグループの株価は、5月から下落基調……。


下がるなら空売りか、あるいはCFDで利益を……。
そういや、某YouTubeアカウントが、しきりにCFDを宣伝するようになりましたね。
まぁ、いいや。

https://www.jsda.or.jp/anshin/risk/cfd/image/alerts03-04.jpg


www.jsda.or.jp

 

www.bloomberg.co.jp

* * *

この「下げ」は何かと言ったら、「独裁政権に投資はできない」というもの。
トップの一声で何もかも変わるなら、一瞬にして企業収益が失われ、投資する意義を失ってしまうリスクを背負うことに。

中国は、何かにつけて数字が大きい。
人が多いと言うことは、各分野の需要も天井が高いわけです。
そこに期待した人は多かった。

とりわけ、教育に費やされる額が大きいので、その方面でシェアを伸ばす企業には、お金が集まりやすかったでしょう。
ところが、共産党が「非営利化で」と言えば、立ちどころに「未来の収入」という期待が失せ、代わりに「何も保証されない市場」というリスクが目立つように……。

今回は「教育」の話だったり、共産党の反感を買っても上場した企業の話だったりしますが、そこに含まれるリスクは同じ。
共産党の意向」という“右に行くのか、左に行くのか不明”な不確実性。

市場は不確実性を嫌うもの。

今回の下げは、そんなところ。

* * *

一方で、中国側からすれば、違う景色が見えてきます。

「教育に費やされる額が大きい」のではなく、大きすぎるのです。

youtu.be

大きすぎて家計を圧迫している……。
だから、教育に熱を上げないよう、「ゆとり教育」的なものにしていこう。
そのための非営利化、そんな感じ。

 

www.afpbb.com

そんな感じ?
いや、本音は別にあるでしょう。


www.newsweekjapan.jp


ほら、数を増やしたいんですよ、若い人の数を。
だって、一人っ子政策のおかげで、すぐそこに待ってるのは急速な高齢化社会だもの。

介護する人、たくさん欲しいでしょ?
老々介護は嫌でしょ?
若い人、要るじゃない。

なのに、お金をかけて教育をした子どもが介護人材にまわるって、どう?
わが子が望んだとしても、親からしたら「そういうのは、他の子に」とか言いそうじゃないですか。
子どもだって、「せっかく学んだことは活かしたい」と、専門外の介護を選ばなくなる可能性も高くなるでしょう。

 

www.nhk.jp

上のドキュメンタリー、見たけど感想を書いてなかったかも。

この番組の中で、日本の介護スタッフが出てきます。
中国のやり手の女性経営者と、日本でスカウトした感じのベテラン介護職の人の会話とか、利益と丁寧なケアの葛藤を見る感じで、なかなか考えさせられたような……。


「日本の介護」は輸出産業になりえるのか、という視点で見ることもできますが、向こうのスタッフを見てると、別の問題に目が行ってしまいます。

向こうのスタッフでスポットが当たっていたのは、農村部出身の既婚女性でした。
給与にひかれ、出稼ぎで介護施設へ……。
そう、その施設は富裕層向け。
農村部出身で方言があり、人前で歌うのもためらっていた女性スタッフ。
その彼女が離れた家族と通話しているのを見ると、技能実習制度のことが浮かんでくるのです……。

バブル崩壊後の日本。
中国は、同じ轍は踏まないと研究してきたはずなのに、通るルートが似てきているのは、それが「人口ピラミッドの呪い」だからかもしれません。

att3200.hatenablog.com


いずれ、技能実習制度みたいな名目で奴隷制度を作り、安くて若い人材を入れようとするでしょう。
そして、失われたXXが始まるのです。

安い人材が入るほど、給与を上げる理由がなくなるもの。
給与が下がれば、デフレが起きる。
経済成長は、インフレで加速するもの。

* * *

ここまでが、人口から見た中国の今後みたいな話。

続いては、「社会主義市場経済」から見た中国の話です。

現在の中華人民共和国では、「社会主義市場経済」という経済体制が採用されています。かつての中国は社会主義と計画経済によって動かされていて、土地も企業もすべて中国共産党の管理下にありました。公有制、計画性、党の支配の3点は、欠かせないメルクマール(指標)だったのです。しかし1990年代の初め頃から、政治的には中国共産党による社会主義を維持しながら市場経済を導入するという方針が示され、社会主義市場経済という水と油の同居のようにも見える体制が実現しました。

yumenavi.info


頭の悪い書き方をすれば、「資本主義」と「社会主義」の悪魔合体
「資本主義」でうまく行ってるなら、それで。
うまく行かなくなったら、「社会主義」で……。

たぶん、そんなノリ。
って書くと、怒られるかな?

「白猫でも黒猫でもネズミを捕るのが良い猫だ」。イデオロギーにとらわれず、生産の発展に役立つ方法を評価しようとした中国の鄧小平氏の言葉だ。

www.kochinews.co.jp


儲かるなら、それでいい。
それでいい……はずだった。

でも、儲けまくりの人がいる中で、そうじゃない人が山のようにいる。
「平等」を是とした「社会主義」としては、それってどうなの?
これは、いずれ突きつけられる命題。

そもそも、役職なんて要る時点で、国家における「平等」は、幻想にすぎない。
究極的な平等であれば、「身分」や「権限」に差をつける「役職」は設けられないはず。

まぁ、「平等」にも色々とあるんですけどね。
言うなれば、権利の平等はあっても、成果の平等はあってはいけない。
均一分配では、働き者も、怠け者も、同一賃金になってしまうもの。
働かなくても他と同じ分け前なら、楽して稼ぐ方を選ぶ。それは、成果の減少につながる……。

そういう意味では、平等は自由の喪失かもしれない。
見返りを追及する自由の喪失……。

仮にそうであったとしても、鄧小平より毛沢東を崇める人ならば、原点回帰を目指して実行に移すでしょう。
理想的な平らな世界を目指して……。


* * *

そのうち読む。

www.ide.go.jp

* * *

今、振り返ると……
微妙な社説かも。

 

jp.wsj.com

* * *

www.jiji.com


* * *
完全解説「2034」“米中核戦争”の結末は?【豊島晋作のテレ東ワールドポリティクス】

youtu.be

 

独裁の弱点は、独裁者の判断力が低下したら、何も回らないこと。

※ 「チャイナリスクの正体」って題は雰囲気です。飾り。

中国が人道的になったら、世界は終わる | 鉱物資源の話

レアアースの大半が中国産
レアアースを含む鉱石は、放射性元素を含んでいることが多い
・採掘は環境汚染を伴い、健康被害につながる
・その害ゆえに先進国では規制が厳しいが、中国は緩い
・人民の犠牲に目をつむり、安い費用で採掘し続ければ、他国は価格で勝てない

レアアースが希土類と呼ばれるのは土や泥にわずかに含まれているからで、もともと世界中に広く分布している。しかし生産国は限られていて、2005年の統計では中国が世界産出量の93%を占め、2位のインド(3%)、3位のタイ(2%)を大きく引き離しているんだよ。
<中略>
レアアースを含む鉱石は放射性元素を一緒に含んでいることが多く、先進国では鉱山開発により環境が破壊されるとして規制が厳しくなった。一方、中国は規制が緩いうえに労働力も安い。採掘コストの安さを武器に、ここ10年ほどで生産量を大きく伸ばしたんだ。
引用元:

www.nikkei.com


www.asiapress.org

jp.reuters.com

こうしてまぁ、鉱物資源界は一強となり、人道的な国の鉱物資源業者は消え去ったと……。

そんな鉱物資源の“汚い”側面に目を向けることなく、汚染や非人道性だけを見て批判する。
それは、ゴミの処分を他国に依頼し、自分の国はクリーンだと言うようなもの。
他国に工場を作って大気を汚しても、自分の国はクリーンだと言うようなもの。

自分の手を汚していないだけのクリーンさは、他者の手を汚させていることを気にはしない。

見せかけのクリーンさ。
これが私たちが選んできた道かもしれない。


* * *

次なる見せかけのクリーンさは、エネルギー。

太陽電池太陽光発電)では、現在、シリコン系が主流であるが化合物系(CIGS 等)ではインジウムガリウム、セレン等のレアメタルが使用される。
引用元:新エネルギー導入促進に伴うレアメタル需要

クリーンと言われているエネルギーを作るにも、鉱物資源は要る。
鉱物資源を採掘するということは、環境汚染を引き起こす。

二酸化炭素の問題 > 放射能汚染】

これが、先進国が出した結論。
解決べき優先課題と、今は目をつむる課題は決められた。


鉱物資源に乏しい国としては、採掘量を減らすべく、リサイクルに励むしかない。

1トンの土砂から取れる金はわずか1gほどと言われ、そのほとんどは廃棄物として捨てられます。
引用元:採掘が引き起こす問題 | エシカルケータイキャンペーン

家電のゴミの山から探す方が、土の中から探すより早いというもの。
何より、大量の土砂を廃棄する必要性や、他の被害を防げるし……。

* * *


こうして考えると、中国が人道的になったら、“今の世界”は終わる気がしてくる。
そんなメモです。

“今の世界”というのは、ハイテク産業の恩恵を受け、デジタルなデータで仕事をし、儲けている今のこと。

そのデータの保存・送受信には、多くの鉱物資源が使われているわけです。

なればこそ、GAFAも中国の存在を気にかけるというもの。
以前は、別の見解を示したこともあったけど、こっちの方が腑に落ちる……。

att3200.hatenablog.com


ということで、建前として「ダメ出し」しつつも、本音では他者の不幸など気にすることもなく、自分の利便性が保たれるよう、誰かに汚い作業をしてほしいというのが、先進国で生きる者の願いかもしれない……。

att3200.hatenablog.com

 

きっと、多くの難民を中国が受け入れ、採掘で安く使うのを望んでいる……。
中東で、このあとに増えていきそうな難民を。

「多様性」という美辞麗句を並べたところで、多種多様な集まりは、多種多様な問題に繋がるのは自明の理。

異なる思想を受け入れるのは、異なる問題も受け入れるのと同義。

なんだかんだ言って、郷に入れば郷に従えが道理。

水資源に乏しい場所に行き、大量の水を使おうとすれば、そりゃ怒られるってもの。
来訪者の信条がどうであれ、その土地に根付いたルールはあるもの。
みんなで生きるためのルールってヤツが……。

だから、厳しい気候の場所ほど一神教
他の神を受け入れれば、その思想がルールを乱し、「みんなで生きる」ことが脅かされるもの……。


と、話がそれてきたけど、基本的には鉱物資源の話でした。

* * *

以下は、それ絡みのメモ。

www.nikkei.com

 

www.enecho.meti.go.jp

北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務

www.saga-u.ac.jp

www.businessinsider.jp

 

www.yomiuri.co.jp

www.jogmec.go.jp

* * *

でもって、今後の需要について。

mric.jogmec.go.jp

mric.jogmec.go.jp


株価は地政学を折り込まないと、誰かが言っていましたが、なかなかどうして……。
いや、これはコモディティ投資の話か。
金とかなら、ハーモニー・ゴールド・マイニングみたいな銘柄もチェックされるんでしょうけど。

きのこたけのこ戦争|その勝敗は、名称で決していた

明治のチョコレートスナック菓子「きのこの山」と「たけのこの里」の話です。

きのこたけのこ戦争は、どっちが美味しいかの論争。

www.meiji.co.jp


で、思ったのです。

戦争名には法則性があり、勝者が先に来ることが多いと……。

普仏戦争プロイセン・フランス)
露土戦争ロシア帝国オスマン帝国


逆に、日本に馴染みがある、または距離が近い方を先にするケースも……。

清仏戦争フランス共和国・大清帝国
独ソ戦(ドイツ・ソ連


日本(大日本帝国)が戦っている場合は……。

日清戦争
日露戦争
日中戦争

……と勝敗に関係ない。

東西南北順になっているケースもあるようですが、基本は「主体」となる存在が先。

何を言いたいのかと言いますと、「きのこの山」がメインであり、「たけのこの里」じゃないのです。
戦争名としては、きのこの勝利が宣言されている……。


でもね、その「きのこの山」ですら、誕生の経緯を探れば、「アポロ」の派生品。

「アポロ」が、あの「きのこの山」の生みの親!
「アポロチョコ」のあのカタチは、かわいい!と好評ですが、同じ機械からもっといろいろなカタチが出来ないかと、工夫を重ねて作られたのが、チョコスナックのパイオニアといわれる「きのこの山」なのです。その発売は、「アポロ」発売後に開発を始めて約5年後のことでした。

www.meiji.co.jp


ちなみに、アポロは月面着陸を成功したアポロ宇宙船からとなっていますが、商標登録は明治のアポロが先だとか。
元は太陽神由来だったのに、流行りに乗っかったんですかね。


関係ないですが、「きこりの切株」はブルボンです。

www.bourbon.co.jp

サイトが一緒なので、「きこりの切株」と対をなす存在は「エブリバーガー」と思うでしょう?

でも、ブルボン「チョコあ~んぱん」のサイトに行くと、「きこりの切株」のキャラクターである「きこりのおじさん」と、「チョコあ~んぱん」の「あんぱのじさん」が親友だと書かれています。

www.bourbon.co.jp


なかなか、お菓子の関係性も複雑ですね。

 

mobile.twitter.com

アフガニスタン撤退の際に、お土産ワクチン

米軍のアフガニスタン撤退を受け、いろんなニュースを見る近頃。

ふと、変なことを思いついたのでメモ。

* * *

「撤退する米軍が、“地域医療のため、医療従事者向けに新型コロナ用のワクチンを”と、人道的な配慮から置いていったら、どうなる?」

1.中身を怪しむタリバンが破壊
2.自分が優先だと、タリバン幹部が接種
3.使う派と使わない派で言い争う
4.言われた通りに医療従事者に使用し、国際社会へ変化をアピール
5.管理できなくてダメにする

人は、限りあるものを与えられると意見が割れ、対立が起こるもの……。

彼らの視線を「撤退」から逸らしたい場合、「別の何か」で注意を引くのが手っ取り早い。
その一例を考えてみたけど、なんか、イマイチ……。
どの辺がイマイチなんだろう?

軍事的な視点で撤退を見ている人からしたら、「回収できなかった金銀財宝」なる情報で釣って、集まったところをドカーンの方が興味をひくかもしれない。

性善説を唱える人であれば、返報性の原理から「もらった分は返す」と、撤退期限に融通を利かすことに言及するかもしれない。

「数の足りなさ」を問題視している人にとっては、「彼らより、自分を優先してよ」になるでしょう。

そんな感じで、立場や考えによって「興味」を抱くポイントが違うでしょう。
それを踏まえると、この置き土産が響きそうな層って、よくわからない……。
誰かにとっての「都合のよさ」が不明瞭だもの。

嫌いな奴がいるのなら、それを叩くのに全振りした内容の方が、需要は見込める。
そういった尖った個所が無いことが、イマイチに思える理由かも。

* * *


徹底解説 タリバン支配の今後と米中対立【豊島晋作のテレ東ワールドポリティクス】(2021年8月25日)

youtu.be

今後のアフガニスタンを考えられるほど、私には あの地域に関する知識はない……。

今まで、どれだけの費用を費やし、どのくらいの犠牲があったのか。
それは、上の動画で語られているけれど、それを見たところで、そこで暮らす人たちが何を重視し、生活しているのかは わからない。

ただ、言えるのは、武力で制圧した後に必要な能力は、今まで使ってきた武力じゃないってこと。
その点において、優秀な文民の不足くらいは想像する……。

 

www.fnn.jp

技術的な理由で日本人がいるのか、今後の外交のために必要なのか、はたまた人質がほしいのか……。
それは定かではないけれど、国際的な孤立は望んでいないように見えます。

まぁ、中国やロシアの領事館は、開けているみたいなので、そっち側に与するのは容易いかもしれません。
かつてはソ連の侵攻もありましたが、その際のアフガン側の英雄は、今のタリバンとは対立しているので、敵の敵は味方なんでしょうかね。

そして、ウイグル……。

アフガニスタンは中国と隣接することもあり、「タリバンに加わるウイグル人」は2000年代から報告されてきた。

<中略>
今回の外交団は「中国に敵対する者にはアフガニスタンの土地を使わせない」と踏み込んだ表現をしている。当然そこにはウイグル人も含まれることになる。
引用元:

news.yahoo.co.jp


それから、資金源……。

ネブラスカオマハ大学のハニフ・スフィザーダ教授は2020年のタリバンの収入を16億ドルと見積もり、「メガリッチ」と表現する。

この推計によると、パキスタンサウジアラビアなど海外のスポンサーからの支援が約1億ドル、海外の個人からの寄付が2.4億ドルだったのに対して、麻薬取引(約4.2億ドル)、鉱物などの違法採掘(約4億ドル)、支配地域での徴税(約1.6億ドル)など、タリバンの自前の資金源の方がはるかに多い。
引用元:

www.newsweekjapan.jp

 あれこれ考えると、中国の協力者を増やしたようにも思えるし、一歩間違えば帝国の墓場リストの更新に繋がるかもしれない。
協力者を増やしたと言っても、付き合っちゃダメなタイプの存在だけど。

でも、どうでしょうね。
ここ一年、世界の主導権は感染症が握っています。
今後、アフガニスタンで「誰が感染爆発させるのか」によって、状況は一変するかもしれません。

ロイターの感染状況を見ると、アフガニスタンの西にあるイランは多く、南のパキスタンは少ない印象。
きちんとしたデータが出ていない可能性もありますが、進行するなら西より東……。

* * *

【追記】

今後の問題としては、「救助」した中に紛れ込む「テロリスト」の存在でしょうかね。

「我こそは、お前らの敵である」という名乗りや身なりをして、相手を攻撃する時代でもないし。

「遺族とマスコミ ~京アニ事件が投げかけた問い~」の感想

NNNドキュメント「遺族とマスコミ ~京アニ事件が投げかけた問い~」の感想です。

www.ntv.co.jp

実名報道をめぐるドキュメンタリーです。

構成としては……
・実名を公表し、取材対応も受ける判断をした遺族の理由。
・非公表を選択し、代理人を通しての取材のみ受けることを選択した遺族の理由。
・ジャーナリズムを研究し、教える側の視点
佐世保小六女児同級生殺害事件
・番組ディレクターの見解
といったところ。

公表に踏みっ切った遺族は、事件で犠牲になった「36人のうちの誰か」ではなく、個人として名前と顔を知ってほしい。
京アニ」に対する献花ではなく、そこで働いていた個人を知って、献花してほしい……。
そういった感じの理由でした。

非公表を選択した遺族の理由は、気持ちの整理もできない状態だから、そっとしておいてほしい。
「伝わりませんよ」とか、そういうことも言われたけど、伝えたいときに自分で話したいとも。
最後の方では、「自分の生活を壊されたくない」という気持ちも語られていました。

* * *

こういった意見の違いがあるわけですが、「実名報道は使命である」といった理由から、メディアは全員の実名を報道したわけです。
なので、悪い言い方をすれば「あの実名報道を正当化するための番組」という先入観みたいなものが働き、録画したものを見る気になれずにいました。
それを今、なんとなくで見てしまったと……。

で、予想外に「踏み込んでいるな。そして、迷っているな」という印象を受けました。

個人的な評価ポイントは「佐世保小六女児同級生殺害事件」への言及です。

普段、被害者を取材する側の新聞記者が、ある日 唐突に被害者遺族になってしまった。
「小学生による同級生の殺人」という衝撃的な事件として、当時は報道されていたように記憶していますが、一方で「被害者遺族となったメディア」という側面もあります。

娘を殺され、そのことを同業者に訊かれる。
「本当は話せる状態じゃない」と、メディア側の人間が発した瞬間、それはひとつのキッカケになりえたように思います。

佐世保支局には社員が3人くらいしかいなくて、社屋と住居が一体化。
社員の家族の顔も知っている……。
その同僚に、知っている子の事件について訊く。
「ろくでもない仕事」と評した社員は、どんな気持ちだったんでしょうね。

そして、被害者の兄の登場。
事件の日、インタビューに答える父を見て、「どうして、そこにいるのか。当時は納得いかなかった」というコメント。
事件当時、中学生だった少年からすれば、辛いことがあったのに、家族がそばにいない。
それは納得のいく状況ではなかったでしょう。
後になって、自分がインタビューに答えなければ、他の家族のところに行くから、それを避けるためと話したそうです。
嫌な言い方をすれば、マスコミの「手口」を知っているから、警戒できたんですよね……。

「謝るなら、いつでもおいで」という事件の本があるらしいのですが、このタイトルは被害者兄のものだとか。
彼も、ずっと報道と向き合ってきたんでしょうね……。

私は、この事件のことになると、毎日新聞が入っているパレスサイドビルの地下にある食堂にあった「御手洗君の葬儀の件で」みたいな張り紙を思い出します。
会社で葬儀をやることを検討したけど、本人の希望でやめました的な……。
何かこう、いろいろと考えてしまうんですよね。あの張り紙に。

※ 食堂の名は、たぶん「まいにち食堂」です。いわゆる社食。専用のカードで食券を買うタイプだったはず。同じビルには、アラスカという高いカレー屋もあったんですよ。1回しか行ってないけど。

* * *

続いて、ジャーナリズムを教える側の視点。

授業では、具体例を用いてディスカッションしているようでした。

記者「取材した内容は掲載されるかもしれないし、されないかもしれません」
取材対象「掲載されなかったら、取材した時間が無駄になる。協力したんだから、ギャラをよこせ」

といったシチュエーションで、ギャラを出すべきか訊くと、最初は半数以上が「出すべき」だったそうです。
ところが……どうだったかな?

ギャラを出すようになれば、ギャラを目当てに取材を受ける人が出てくる。
最悪、知らないことを知っているといえば、取材対象になって収入に繋がるから、嘘をつく人も出てくるでしょう。

報道の観点から見れば、そこに問題はないかという論調だった気がします。

これを受け、ギャラを出すべきではないという結論が増えるとか。

ところが、以下のようなシチュエーションでは、意見は変わりづらい。
幼い子が事故で亡くなった家に取材に行くと、両親から実名報道と顔写真の公表はやめてと言われ、絶対にしないと約束して会社に戻る。
すると、上司に「ダメだ。公表するのが使命」みたいに言われると……。

この件に関しては、ディスカッションしても、公表に反対する学生が多かったそうです。

この一件を踏まえ、番組ディレクターは取材対象者から逆に問われていました。
「あなたなら、どうするか?」と。

ディレクターは「迷っている」と言っていました。
この事件にかかわる前は公表派だったけど、考え方が変わっていったと……。

そういえば、京アニの遺族に「遺族の方と、メディアの差」を訊いたら、同じ質問を投げ返されていました。
アレコレ答えていましたが、答えに迷っているせいか、何も答えていないような……。
そんな回答になっていた気がします。

逆に、そのあとに遺族の方が語られた内容の方が、理路整然として入ってきやすかったです。


* * *

番組に対する感想は、こんなところ。
後はオマケです。

取材協力者への報酬によって、その情報の質が歪むというなら、ジャーナリズムとして見過ごせない課題があります。

メディア側が、興行主になることです。

「主催:XX新聞」

テレビ中継される野球の試合で、バックネットに書かれていることもあるでしょう。
この主催者側になるという行為は、報道機関としての中立性の放棄でもあります。
自分らが金を出し、成功を願っている興行。
それを悪く言おうものなら、自分で自分の首をしめるようなもの。
興行主としては、「このイベントは素晴らしい」と“報道(宣伝)”し、さらなる成功へと持っていきたいでしょう。

海外だと、公平性を保つためにイベントのスポンサーにならないと、聞いた気がします。
クロスオーナーシップの件を含め、この辺をスルーして「ジャーナリズムの使命」を語るので、「報道しない自由」とか揶揄されるのかも。

しかし、「使命」ってなんでしょうね。
誰から任命されたんだか……。
権力の監視と言いつつ、世論を動かす権力となったメディアには、その使命を果たすべき立場にあるのでしょうか……。

個人メディアこそが、実は最良の担い手なのかも?

* * *

かつては、多くの人に情報を届けられるのはメディアだけでした。

しかし、今はネットを通して誰もが発信者になれる。
テレビ局じゃなくても、世界中に映像を流せる。
新聞社じゃなくても、世界中に文章を発信できる。

「語りたいと思える日が来たら、語る」

それが以前より容易になりました。
誰かに不本意な編集をされることもなく、自分の意見を届けられる……。

有名人の生の声は、当人のSNSで。

災害の当事者は、自らが撮った映像で、状況を語る……。

テレビに出る暇がない専門家は、空き時間に その専門性をもって話題のテーマに言及……。

そうなれば、何かの専門家でもなく、当事者でもないし、有名人でもないメディアの存在意義は、彼らの言動を集めてダイジェスト化する……。
そう、まとめサイトと同じ存在意義になるかも。


ということを考えたというメモです。

* * *

【追記】

「似たような事件の防止」という側面をもった報道について、遺族側で言及なされた人もいました。

人に危害を加えるためにサラダ油をもって電車に乗る人も出た例にもれず、模倣犯のリスクの方が防止効果より高い気がします。感覚的には。

あと、テレビに出たことで街で知らない人に声を掛けられるケース……。
佐世保の被害者の兄が語っていましたが、事件の当事者として知られるリスクって、こういうのもあるんですよね。
嫌でしょう? 日常で何度も「事件」を掘り起こされるのは。
自分が望まないタイミングで、意図しない相手から……。

一生、無名の一個人でいたい私としては、報道は脅威。

「ウガンダ ベーシックインカム社会実験」の感想


BS世界のドキュメンタリーの感想です。

 

www.nhk.jp


番組の制作はベルギーで、実験期間は2年。
場所は、ウガンダのブジビ村。
実験内容は、毎月お金をあげるだけ。
額は、成人なら一ヵ月16ユーロ、子供は8ユーロ。
ただし、子供が受け取るのではなく、母親が代理で受け取ります。

この実験への参加は自由なので、「金を受け取らない」という選択もあり。
参加することで負う義務は無い……とはいえ、実験に関してアレコレ聞かれ、撮影されるので、その辺が代償と言えなくもない。

感想を一言で言えば、「貧すれば鈍する」からの脱却。
ベーシックインカム云々ではなく、上記の感想に尽きますね。

原題が「CRAZY MONEY」なので、邦題の問題かもしれませんが……。

* * *

一番驚いたのは、「受け取らない」ことを選んだ人の理由。
「なんか怪しげな奴が来て、怪しいことを言い出したから裏がある」という発想は理解できます
ただ、まさかのイルミナティ……。

「この金の裏には秘密結社イルミナティがいて、受け取った者は5年以内に殺される」

この理由を目にしたとき、どこから そういうのが流れてくるんだろうと、不思議に思いつつも、なんか可笑しくなりました。

このイルミナティ説を信じた人の奥さんは、金を受け取ったら離婚すると言われ、途方に暮れた感じ……。
旦那の言い分は、あとで奥さんの親に妻の死因を訊かれた際に、イルミナティや金のことを説明したくないというもの。

まぁ、最終的には彼も受け取るんですがね。
で、あのときは信憑性が高い話だと思った言うんですよ。

う~ん……。
お金を受け取った人を殺すことで、イルミナティに どんな得があると思ったんでしょうね。
お金をあげる手間、それを受け取った人だけを殺害する手間……。
何のために? 強欲な人の抹殺とか?
無理にそう考えたとしても、もっと違う方法がありそうなもの。

どうして、この手の話は世界レベルで広まるのか。
なかなか、興味深い点ですね。

* * *

他の人たちは……

「どうせ(野郎は)酒に使うと思ってんだろ?」
「妻は、金持ちでもないのに、高級品ばかり買おうとする」
「女は子供の分ももらっている。何に使うか、夫に教えるべきだ」
「私はプロジェクトに感謝している。この辺で靴下を履いているのは、ブジビ村の子だけだ」
「家を建てます」
「山羊と鶏を買います」
パイロットになりたいです」
「貯金して、貯まったら家を建てる」

といった感じ。
イルミナティの次に驚いたのは、半年くらいで利回り5%の預金。

あとは、道路の建設。
医者に診てもらうために近くの街まで行くには、バイクをつかまえて1.5ユーロくらい要るとか言っていたような。
それが、道路を作ってからは、75シリングくらいだったような……。
見返して確認すればいいんですけど、面倒なので数字は大体の値。

見返しても、道路づくりに使っていた「KOMATSU」の建設機械や、「Mitsubishi」のダンプに目が行っちゃうし……。

なんかね、土木シーンもですが、家を建てているシーンとか、楽しそうに見えちゃうんですよね。
いい感じの石を割って、自転車で運んで、レンガ感覚で組み立て。
間に塗る土は、深く掘ったところから採取。

「ここがキッチンで、ここがトイレで……」

壁ができた家の中で、そう話す女性も楽しそうでした。

一方で、別の問題も起こっていました。
環境破壊絡みですね。
湿地で伐採してどうのとか……。

伐採する側の理由は、バナナの木のそばにユーカリがあると、水分を全部 持っていって、バナナが枯れるとか。
あとは、毛虫が大量発生したので、どこかで切って流れを止めないとダメだとか、話していた気がします。

* * *

最後は、ブジビ村民を集めて、プロジェクト企画者が協力のお礼。

集まったブジビ村民の身なりが、2年前と比べて格段に良くなっていて、「結果は、その服でわかる」という状態に。

ただ、これは2年間という制約があるから、その後の「働き」も考えて行動しているんですよね。
家畜を買うとか、道路の整備とか。

もしも、未来永劫16ユーロがもらえますって話だったら、もっと違う結果になったかもしれません。
最初の数ヵ月の消費行動こそ同じであれ、「収入を得る方法」を考える時間に差は出たでしょう。
そんな感想を抱いたというメモです。

* * *

【追記】

「実験」としての精度を上げるなら、給付の期間が1年、2年、5年で、どんな変化がみられるか……。
いや、くじ引きで個々人の給付年数を決め、その差が買い物やライフプランにどう影響するのかを調べるのが、より有意義な「実験」に繋がる気がします。

「混迷ミャンマー 軍弾圧の闇に迫る」の感想

NHKスペシャルの感想です。

www.nhk.jp

見終わって思うのは、信念という病について。

ミャンマー国軍の“同じ国の民を容易に殺せるメンタリティ”の背景――

言葉にすると無味乾燥な感じはしますが、もしも自分の近所に住んでいる人同士が、殺す側の職業と、殺される側の職業に分かれるとしたら……。
そう考えると、国軍側が誰かを殺せば、その報復で国軍側の家族が……。
あるいは、誤って国軍側の家族を誰かが……。

そういう可能性を考えていたのですが、どうも事情は想像以上に悪いようでした。

そもそも、軍関係者は住んでいる場所が違うんだそうです。
でもって、そこで受ける教育は洗脳に近いもの。
民主化を唱える者は危険人物」みたいな前提のもと、民主化派閥には軍関係者を殺害した過去があると教えられるんだとか。

情報ソースは、国軍から抜けた人の証言でした。
脱走すると厳罰に……と言っていましたが、彼らは今後どうなるのやら。

軍は隔離された場所で、検閲済みの情報にしか接しない。
こういう背景があるから、ためらいもなく同じ国の人間を撃てるんですね……。

う~ん……。
こういう人を相手にデモをしたところで、意味はないでしょうね。
反撃すれば「やっぱり、危険人物だ」という教えを強固にしてしまうでしょう。

* * *

市民側に視点を移すと、「平和的なデモが解決策」と信じて、集まっては散ってを繰り返している。

これはこれで、危うい信念だなと。

相手側の立場に立てば、「デモで自分たちの行動を非難している奴らがいる」というのは、「面倒なのが集まっている。一気に叩く好機だ」となるわけです。

デモで非難されたからといって、それを聞き入れても得はない。
なら、消えてもらう方を選ぶもの。

デモは、解決策ではなく、崩壊を加速する手段。
であれば、相手にとっての不都合を考えるべき……。

国軍は、何をされたら嫌なのか。
おそらくは軍関係者の家族の襲撃でしょうが、これをやったら誰からも支持されないでしょう。

番組内では、北部の集落に行ってゲリラ訓練を受けた元工場勤務の青年が出てきましたが、最終的には攻撃にあって仲間は殺され、生き残ったのは彼を含めて2名。
着の身着のままで逃亡中と……。

その青年に対し、「相手を殺したら、軍と変わらないんじゃないか」と突っ込んでいましたが、最終手段に出るしかないと答えていたような……。

これも、う~ん……。
その先にある未来は、なんでしょうね。

仮に、彼ら国軍を打倒し、政権を奪取したとして、武力での制圧が繰り返されただけ。
洗脳が解けない元国軍兵などはいるでしょうから、内戦が続いていく未来を想像してしまいます。

* * *

番組としては、バゴーで何があったのかを探るとか……。

mainichi.jp


国軍系企業のハッキングによって得た資料の解析。
それで得た「MEHL」「MEC」の金の流れ……。

www.amnesty.or.jp

関係する海外企業とか、あとは中国からのパイプライン。
日本では、「ヤンゴン市内都市開発(Y Complex事業)」のこと。

 

jp.reuters.com

 

mekongwatch.org

といったことにも触れ、資金の流れを止めろというデモが、日本でもあったことが出ていました。
日本でのデモと言えば、番組の冒頭と〆は、五輪会場の外で行っていたデモ……。
そこはデモ会場じゃないのに。
感染拡大を避けたいなら、中核派みたいなことは……。

あとは、いつもの国連の風景。
中国、ロシアの反対で否決みたいな?

そりゃ、アンチ民主化の国は、民主化を望む市民には……ね。

* * *

個人的な感想としては、最初に書いた洗脳教育が背景にあるなら、この問題は相当厄介であり、それを「国際社会」に「丸投げ」するのって、どうなんよと。

困ったときは、「見捨てるな、助けるべきだ」と言うも、こちらが困っていることにはスルーでは、なんだかねぇ……。

 

news.mynavi.jp


もしも、国際社会による制裁によって国軍が衰退したとして、そのあとの未来絵図は誰が描くのだろう。
自分がトップに立つんだと部族対立が起こったり、望む新政府の理想が違ったりで、国内でドンパチが続くのであれば、国軍の組織は解体せずに頭だけ付け替えた方が……。
そう思うところも出てくるかもしれない。

何れにせよ、この国のハッピーエンドは見えない。
それが、率直な気持ち。

* * *

【追記】

元軍部の人に聞くべきは、「なぜ、あなたは抜け出せたのか?」「どうして軍部の教育に染まらなかったのか」の2点だった気も。
情報が限られた社会の人を相手にする場合、事実を知らせるのが効果的という発想は、割とよくあるとは思うけど……。
風船を使って新聞を飛ばすみたいな感じで。

ただ、染まり切った相手だと、相手がデマを流してきたで終わるんでしょうね。