メモ書き

****

「ウガンダ ベーシックインカム社会実験」の感想


BS世界のドキュメンタリーの感想です。

 

www.nhk.jp


番組の制作はベルギーで、実験期間は2年。
場所は、ウガンダのブジビ村。
実験内容は、毎月お金をあげるだけ。
額は、成人なら一ヵ月16ユーロ、子供は8ユーロ。
ただし、子供が受け取るのではなく、母親が代理で受け取ります。

この実験への参加は自由なので、「金を受け取らない」という選択もあり。
参加することで負う義務は無い……とはいえ、実験に関してアレコレ聞かれ、撮影されるので、その辺が代償と言えなくもない。

感想を一言で言えば、「貧すれば鈍する」からの脱却。
ベーシックインカム云々ではなく、上記の感想に尽きますね。

原題が「CRAZY MONEY」なので、邦題の問題かもしれませんが……。

* * *

一番驚いたのは、「受け取らない」ことを選んだ人の理由。
「なんか怪しげな奴が来て、怪しいことを言い出したから裏がある」という発想は理解できます
ただ、まさかのイルミナティ……。

「この金の裏には秘密結社イルミナティがいて、受け取った者は5年以内に殺される」

この理由を目にしたとき、どこから そういうのが流れてくるんだろうと、不思議に思いつつも、なんか可笑しくなりました。

このイルミナティ説を信じた人の奥さんは、金を受け取ったら離婚すると言われ、途方に暮れた感じ……。
旦那の言い分は、あとで奥さんの親に妻の死因を訊かれた際に、イルミナティや金のことを説明したくないというもの。

まぁ、最終的には彼も受け取るんですがね。
で、あのときは信憑性が高い話だと思った言うんですよ。

う~ん……。
お金を受け取った人を殺すことで、イルミナティに どんな得があると思ったんでしょうね。
お金をあげる手間、それを受け取った人だけを殺害する手間……。
何のために? 強欲な人の抹殺とか?
無理にそう考えたとしても、もっと違う方法がありそうなもの。

どうして、この手の話は世界レベルで広まるのか。
なかなか、興味深い点ですね。

* * *

他の人たちは……

「どうせ(野郎は)酒に使うと思ってんだろ?」
「妻は、金持ちでもないのに、高級品ばかり買おうとする」
「女は子供の分ももらっている。何に使うか、夫に教えるべきだ」
「私はプロジェクトに感謝している。この辺で靴下を履いているのは、ブジビ村の子だけだ」
「家を建てます」
「山羊と鶏を買います」
パイロットになりたいです」
「貯金して、貯まったら家を建てる」

といった感じ。
イルミナティの次に驚いたのは、半年くらいで利回り5%の預金。

あとは、道路の建設。
医者に診てもらうために近くの街まで行くには、バイクをつかまえて1.5ユーロくらい要るとか言っていたような。
それが、道路を作ってからは、75シリングくらいだったような……。
見返して確認すればいいんですけど、面倒なので数字は大体の値。

見返しても、道路づくりに使っていた「KOMATSU」の建設機械や、「Mitsubishi」のダンプに目が行っちゃうし……。

なんかね、土木シーンもですが、家を建てているシーンとか、楽しそうに見えちゃうんですよね。
いい感じの石を割って、自転車で運んで、レンガ感覚で組み立て。
間に塗る土は、深く掘ったところから採取。

「ここがキッチンで、ここがトイレで……」

壁ができた家の中で、そう話す女性も楽しそうでした。

一方で、別の問題も起こっていました。
環境破壊絡みですね。
湿地で伐採してどうのとか……。

伐採する側の理由は、バナナの木のそばにユーカリがあると、水分を全部 持っていって、バナナが枯れるとか。
あとは、毛虫が大量発生したので、どこかで切って流れを止めないとダメだとか、話していた気がします。

* * *

最後は、ブジビ村民を集めて、プロジェクト企画者が協力のお礼。

集まったブジビ村民の身なりが、2年前と比べて格段に良くなっていて、「結果は、その服でわかる」という状態に。

ただ、これは2年間という制約があるから、その後の「働き」も考えて行動しているんですよね。
家畜を買うとか、道路の整備とか。

もしも、未来永劫16ユーロがもらえますって話だったら、もっと違う結果になったかもしれません。
最初の数ヵ月の消費行動こそ同じであれ、「収入を得る方法」を考える時間に差は出たでしょう。
そんな感想を抱いたというメモです。

* * *

【追記】

「実験」としての精度を上げるなら、給付の期間が1年、2年、5年で、どんな変化がみられるか……。
いや、くじ引きで個々人の給付年数を決め、その差が買い物やライフプランにどう影響するのかを調べるのが、より有意義な「実験」に繋がる気がします。