ドラマ「石つぶて ~外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち~」の感想です
山一のドラマを見たら、レコメンド機能で出てきたので、こちらも見ました。
勧められたのは、同じ原作者のドラマだからでしょうね。
というか、WOWOWのドラマを続けて見ていると、キャストの被りっぷりが……。
それが最初の感想。
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「石つぶて」は、外務省機密費流用事件の話です。
個人的には、当時の記憶がありません。
仕事で、いっぱいいっぱいだったんですよ、確か。
9.11の映像を見て、「世の中は、こんなことになっているのか」と思うくらい、ニュースから遠ざかったまま生きる日々でした。2000年代初めは。
なもんで、どのくらい演出が入ったノンフィクションなのかは気にせずに、普通にドラマとして鑑賞しました。
山一のドラマを見た後なので、「また、江口洋介が異動してきて始まるドラマか」と最初は思いましたが、今回の役どころは すぐに手が出るタイプなので、山一のキャラとの違いは大きいです。
とはいえ、「何か、いいことを言ってやるぞ」という顔で演技しているように思えてしまい、どうも苦手だなと……。
今回は、萩原聖人が上司ですが、彼の外見的な特徴からすれば、ああいう役どころになるでしょうね……。
むしろ、気になったのは、司馬遷リスペクト。
誰かを尊敬していて、その人の言葉を引用するのは、キャラを立たせるという意味で定番ですけど、まとめサイトの名言から引っ張ってきたんじゃないかという……。
「司馬遷曰はく、隗より始めよ」とかありましたが、その言葉だけで調べると「郭隗」が出てきます。
「司馬遷」で調べれば、「隗より始めよ」も出てきますが……。
私も、そこまで中国の古代史に詳しくないので強くは言えませんが、なんか浅い気がしたってだけのこと。気のせいかもね。
まぁ、それよりも気になるのは、仕事部屋に置かれたデカい人形でしょうね。
公私の区別がついてない公務員が、横領(仮)に対峙するのか……。
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人間関係上の展開としては、最初は非協力的だった人と協力関係になり、大きな敵に向き合う熱さがあります。
結果から言えば、「完全に倒した」にはならないので、普通のドラマ的なスッキリさを求めると、「これで終わりなの!?」ってなるかも。
何というか、その大きな敵を倒せないラストなので……。
ノンキャリア三人の逮捕どまり。
そう言ってしまうこともできますし、2010年の政権交代でアレが認められたから、それをもってハッピーエンドと感じられる人もいるでしょう。
まぁ、政権交代で~と出て思い浮かべたのは、杉村太蔵でしたけどね。
何も考えずにポンポン喋っちゃうから、それまで不明瞭だったことが明らかになっていくアレ。それと同じイメージを抱いたという……。
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ドラマの流れ上、大きな敵と書きましたが、必要悪な側面もあるんじゃないかと思いました。
「官僚=パブリックエネミー」みたいな感覚の人が見ると、「行けー! やっちまえ」になるでしょうし、「不正を許すな」は正論です。
ただ、「外交は生もの」とか、「外交機密」という特殊性を鑑みると、生まれるべくして生まれた事件という気もしてきます。
個人を責めるより、そのシステムを……。マイルドに表現すれば、そんなところ。
外交という業務の性質上、秘密裏に動く必要性があるでしょう。
でもって国際情勢は急変しますし、相手は他国の人間だったりするので、日本の慣習や経理手順が通用しないことも多いはず。
そういった点を踏まえれば、緊急時に自由に使える予算というのは、必須。
その性質がある以上、追求されない予算が組まれるでしょうし、使う人が居続けるでしょう。
ということは、誤魔化しやすい環境が、常にあり続けるわけですよね?
こいつはまぁ、何というか……。
伏魔殿と呼ばれるようになるのは、必然かなと。
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いっそ、サミットとか辞めちゃって、電話会議でいいでしょ?
ほら、ホテルの予約も要らないし、警備も要らない。
無駄な金を使うなよっていう……。
そうすると、お金を使う機会が減って、経済がまわんない。
なかなか、業が深いですよね。
そんな感じの経済視点でドラマを見ると、サミットはオリンピックのように見えてきますし、外務省のロジスティックスが電通に見えてくるかも……。
主人公サイドが言う「国民の血税を何だと思っているんだ」に対しても、「ちょっと違うんでない?」と。
お金は市場に流通して、初めて通貨として存在するようになります。
国庫に入っているうちは、言うなれば出荷前。
給与を自主返納とか言って、政府関係者が受け取らなければ、国庫から出るはずのものが戻るだけ。お札を刷ったけど、使わない……。
何というか、銀行にある金のすべてが預金者の金じゃないように、血税が……という話。
だとしても、海外の高級ワインに使われたら、国内に金を落としていないので、恩恵は向こうになるんですけどね。
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単純に、メインターゲットとなった彼の働きぶりは、凄いものがありました。
あの能力が活かされないのは、勿体無いですよね。
だからといって、それが有効に機能しているのか……。
組織として、どうなのかについては、次の質問に対する答えがすべてでしょう。
「日本は、外交上手か?」
政治は、結果がすべてですからね。
メインターゲットを演じた人に関しては、不思議な存在感がありました。
演じたキャラは滅私奉公タイプ。そう表現されて納得する点と、そうでない点がありますね。
後者は、ベッドシーンの彼にあります。
泡風呂に着衣のまま飛び込むとか、布団に潜っての甘えっぷりとか、プライベートでもしているんじゃないかという自然さで、ある意味 気持ち悪かったですね。
それはそれとして、悪役だけが性描写を許されるのは、何ででしょうね。
こういうドラマで、警察側のそういうシーンは出てきません。性=悪?
まぁ、競走馬・女・高価なものに金をつぎ込んだ人物なので、それを強調するなら、他の人のそれを省くでしょうし、このドラマで警察側のそれを描く必要もないですけど。
滅私奉公タイプと聞いて納得する点としては、「大きな仕事をしたぜ」という描写がないこと。
代わりあるのは「疲れたよ~、あかね~」といって、愛人に抱き着くシーン……。
賭けマージャンが終わった後、淡々と金を数えてるのも、「あぁ、仕事なんだな」という気にさせます。
よく接待なんたらと聞きますが、あんな勝ちを譲ってもらう勝負をして喜ぶって、どんな神経をしてるんでしょうね。不思議です。
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悪役と書きましたが、対する主人公サイドである警察に関しても、いわゆる自白強要問題が語られ、それを必要悪とする節もありました。
外務省との繋がりから事件を「塩漬け」する展開もありましたし、面倒な部署間の対立も描かれています。
そういう意味では、孤軍奮闘系と言いますか、ほとんどが敵。
悪役に囲まれて、下っ端が奮戦する展開ともいえるでしょう。
なもんで、普段から使えない上司に悩んでいる人には、勧めづらい作品ですね。
長い物には巻かれると出世し、そうじゃないと報復人事を食らう流れなので……。
何でしょうね、組織って。
そんな疑問を持ちたい人には、オススメです。