メモ書き

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「感情」を議論のテーマにしても、意味がない|許す、許さないのライン

チラッと見かけたツイートに思ったことのメモ。

古市憲寿さん 過熱する小山田圭吾いじめ糾弾は“正義の暴走”「死ぬまで許さない社会はやっぱり違う」」 これは勇気ある発言。キャンセルカルチャーへの疑問はここに集約されます。ちなみにアメリカでは10年以上この議論をやっても結論が出ず、罵詈雑言の応酬が続いています。

https://twitter.com/ak_tch/status/1417414677303230467


「いつ、許すのか」は、個々の感情の問題なので、「ここで線引き!」と誰かが言ったところで、「私のラインは、そこじゃない」となるだけ。
互いの心の定規を比べあっても、解決には ならないでしょう。みんな違っていないと、同一個体みたいじゃないの。

議論というのは、客観性のある数値や法則性を前提に、より妥当な答えを導き出す行為。
「こう思うべきだよね」という気持ちのラインを決める行為じゃないし、間違っても「相手を叩きのめす場」じゃない。

議論には、議題があって、結論を出すのが目的。
より良い結論を目指さない流れになったら、参加者全員の“負け”が確定する。

だからこそ、参加者の選出は慎重にならないとダメ。
「三人寄れば文殊の知恵」には、ならないもの……。
語源である文殊菩薩が たいしたことない設定なら、それでもいいんだろうけど。

* * *

無知が三人集まっても、出せる見解は無知の極み。

1人のメンバーが個人として問題を解ける確率をpとすると、n人からなるグループの正答に達する確率Pは……
という「プロセスの損失」の話を書いてもアレだけど、「グループの遂行は平均メンバーの遂行より優れているが、最良メンバーの水準には達しない」という研究結果があります。

優秀な人がグループの成果を底上げしてくれるけど、その優秀な人のベストな成果には及ばないという話。
優秀な人からすれば、「足を引っ張られたな。一人でやった方がマシ」な展開。

おそらく、「三人寄れば文殊の知恵」と思ったのは、平均よりも劣った人だったのでしょう。
であれば、筋が通る。

「たくさん集まった方が、いい結果になるんじゃね?」と。

* * *

ところがですよ?

先のケースは、優秀な人と そうでない人が、混ざっているという“レア”ケース。
レアじゃないのは、きっと「エコーチェンバー現象」みたいなこと。

 

【エコーチェンバー現象】
価値観の似た者同士で交流し、共感し合うことにより、特定の意見や思想が増幅されて影響力をもつ現象。

kotobank.jp


よくあるじゃないですか、「みんな、言っている」の「みんな」は、その人の周りの人だけ。
でもって、同じようなタイプで群れている……。

そう、お互いを理解しやすいのは、同じような価値観を持ち、同じような能力の人。
似たような人ほど、一緒にいやすい。

子供が子供同士で遊ぶように、仲間は同じレベルから選出されるもの。

類は友を呼ぶ。
ゆえに、『愚者は、愚者を相談相手に選ぶ』のです。

愚者「友人に相談したら、間違ってないって」
愚者「やっぱりね」
愚者「ほら、みんな言っている」
賢者「……」

人には、それぞれ秀でた部分があり、すべての面で劣っている、あるいは優れているケースは少ないかもしれません。
が、わかりやすく愚者と賢者に分ければ、上記のような感じでは?

* * *

ってなことを思ったというメモです。

冒頭の「許す」線引きですが、「永遠に非難し続ける」可能性を憂慮し、区切りを模索しようとする気持ちは、わからないではないです。

ただ、何らかの事件があった際に、被害者と加害者の間で交わされる「許す」「許さない」に、いろんな“カタチ”があるように、誰かがゴールを決めるものでもないでしょう。

嫌いなものは永久に嫌いでいいし、許せないなら許せないでいい。
心の自由は奪えないし、奪っては いけないもの。
洗脳を良しとしないのであれば。

もちろん、許せないからといって、私刑に類する行いをしていい理屈には ならない。
罰は、法的に加えられるもの。個人の仕事じゃない。

法治国家で できるのは、法に背いた行為に対して、法律に沿った処罰を加え、それをもって法による処理を終えること。

う~ん。
こんなことを私が書いてもな。

多くの人が取り上げている話題に突っ込んで、誰かが書きそうなことを書いても、なんか違う気がしてくる。

「人の噂も七十五日」じゃないけど、線引きも何も、飽きたら世間は「忘れる」んだよね。

「いじめ」に対する明確なペナルティ事例として、道徳の教科書にでも載れば抑制効果に……とか、可能性について書こうと思ったけど、無理な話か。
やる側は、授業をまともに聞いてなさそうだもの。
人の話も聞けないから、そういうことをする……。

* * *

ここから下は、おまけ。

もしも、問題の当事者となった場合で、ネット上に残るデータが気になるなら、コンテンツの削除をリクエストするのも手。

support.google.com

ポルノ被害なら、「ぱっぷす:PAPS - 性的搾取に終止符を打つためのプロジェクト」という団体もある。

www.paps.jp


ああ、そうだ。
思い出した。

議論の禁じ手。

「私、あなたの発言に傷ついたの! 謝って」

なんか、議論で都合が悪くなると、感情至上主義を持ち出す人っているよね。
何なの? あれ?

「君の感情は、議題にない」
「その発言で議論が滞った。謝って!」

とか返したら、なんて言ったんだろうなぁ。