メモ書き

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貧民街を救ったら、問題が増える説|性格の悪い貧乏人が出てこないファンタジー

転生ファンタジーのネタとして、奴隷身分の美少女を養うのと同じくらい見かけるのが、貧民街ネタ。

主人公を虐げる側にはできないから、何らかの手段で救って「主人公、スゲー」にするしかないわけだけど、現実的には思ったようにいかないだろうなと。

まず、素直に感謝されるとは思えない。
人間は他人の人生をトレースできるほど想像力が豊かじゃないから、ついつい自分目線で考えがち。助けてもらったら「ありがとう」と言えるのは、そういう教育を受けたからであり、そう言える環境だったからだ。
生まれてからずっと、食うために奪ってきたのなら、感謝の言葉すら知らないかもしれない。

金銭的な余裕がなくなっても、生活レベルを落とせないように、人間の変わらない部分はしつこい。
そういう意味では、火垂るの墓みたいな感情のリアルさは……。
いや、ああいう戦時下でアレな状況でも、受け入れてくれた家で何もせず、食つなぐことが大事なのにスイカを買ってしまうあたりに……という指摘なんだけど。

まぁ、ああいうのを見ても楽しい気分にはならない。
なもんで、転生ファンタジーの貧民街は行儀がいい。
性格の悪い貧乏人が出てこない。

与えれば、必ず感謝してくれる。
まるで、恋愛シミュレーションの好感度アップ・アイテムを渡した後のような反応だ。
これなら、弱者救済で「優しい自分、えらい感」を味わえる。

間違っても「助けるなら、もっと早く助けてくれよ」とか「もっと、くれ」とか言わない。
救済に慣れ、働かずにクレクレする輩が出てこない。この行儀良さが、エンタメでは大事。
子供らしい意味不明さがフィクションだと出てこないように、舞台装置としての貧民街は評判アップのイベントでしかない。

食糧難で消えるはずだった命を救ったら、それが反政府的な繋がりと……とか。
識字率が低くて、最低限の知識や教養もないので、働き口を見つけるのが一苦労で、結局は色んな物資を浪費するだけの存在になり、救ったら問題が増えたね的な可能性もある。
可能性はあるんだけど、そういうのを描いて面白くさせるには、「主人公、スゲー」という路線では難しい。
理想を掲げるも挫折し、時には手を汚しながらも成長していく系の主人公じゃないとダメだろう……。


ということを思ったというメモ。

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話変わるけど、各国のスラムを比較すると、国民性を感じるよね。