欲望の資本主義2022夏 特別編 「メタバースの衝撃 デジタル経済のパラドックス」の感想です。
年初にやってる番組ですが、たまに特別編をやりますよね。
で、今回のテーマはメタバース。
ぶっちゃけ、タイミングが悪いというか、チョイスのセンスがないというか……。
マーク・ザッカーバーグ氏、自社メタバース内での“自撮り”写真を投稿するも「あまりにもクオリティーが低い」と騒然
ザッカーバーグ氏、メタ事業計画が「楽観的過ぎた」と認める
上記のようなニュースが出た後のタイミングで「メタバースの衝撃」と言われたら、大コケの衝撃かと思ってしまう。
見る前は「これからはメタバースだ、 NFTだ」みたいなノリだろうと思っていましたが、前半の展開は基本それ、後半にNFT。そして、批判的見解。
楽しめたのは後半のトッドが出てきたあたりからで、序盤はメタバースに取り組む人たちの紹介程度。
「仮想通貨で失敗しました」と言いそうな人たちを見るような生暖かい目で、関係者を見ることに……。
新しいことへ挑戦するのは良いと思いますが、変なコンサルとかにのせられただけなら、もう目も当てられない。
0.001%の割合であっても、メタバース絡みで成功者を出し、今後は“その0.001%”がメタバースの代名詞となるなら、それはそれでハッピーエンドですが、そうなったとしたら別の用語で語られるんでしょうね。
てか、メタバースの定義が曖昧過ぎて、SDGsビジネスのよう……。
これ、よく言われているオンラインゲームをしてる人と、そうでない人でメタバースの評価が段違いみたいなアレを見せつけられた気も。
ということで、退屈な前半でした。
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NFT価格が乱高下 「最初のツイート」100分の1に
続いてNFT。
新しい用語に飛びつき、次の最先端を取ったつもりになる……。
その繰り返しの先は、常にあるもの。
ただまぁ、初期の暴騰は「値決め」できないものが誕生し、評価する人間が混乱したが故の何かなんですよね。
「ブランドの評価をせよ」と言われて、何を基準に値決めしたらいいか わからない。そんな感じの。
真新しい分野で、解釈の難しい事業をする会社が上場すると、似たようなことが起きます。
IPOバブル的な?
ちなみに、番組内で子供がアイテムを作って販売していたRobloxだと、今のところ去年の11月がピーク。
個人的には、ウルティマオンラインでの土地売買とか、懐かしさで思い出す感じだけど。
⇒ Roblox(NYSE: RBLX)
ただ、賢いと思うのは、そこで得た価値が留まること。
記憶違いかもしれないけど、確かゲーム内で得た独自通貨のようなものは、そこでの買い物で使え、ゲーム内にあり続けたはず。
一見すると普通なことだけど、いちいち換金しない点が賢い。
例えば、フリマアプリでモノを売って得たお金が、アプリ内に“預金”された状態になれば、今度はアプリ内で“買い物”をしようとする。こうして、そこで得た収入が、その中で消費され、一種のサイクルとなっていくわけです。
いちいち換金していたら、アプリの外で使われる確率が増します。その辺が、よくできているように思った気がしますね。それを知ったときは。
続いて、中央集権的な政府に管理されない、国を超えた通貨としてのクリプトカレンシー。
ブロックチェーンによって偽造できないから云々……。
法定通貨は国が価値を保証しているので、そこがまず違いますよね。
仮想通貨はブロックチェーンによって保証? いや、国が使用禁止にしたら、そこでの価値は消滅。ブロックチェーンに参加する人が減少しても消滅……という可能性もあるのでは?
「かかっているのはたかだか国家の存亡だ。個人の自由と権利に比べれば大した価値のあるものじゃない」
銀英伝のセリフで上のようなのがありますが、「個人の自由と権利」を保証しているのが国家である以上、国家の存亡によって失うのは「個人の自由と権利」という危険性もあるわけです。
国家に属さなくても「人権ガー」という発想もありますが、難民の生活を見れば もう……。
まぁ、作品を通してみると、戦場で鼓舞する目的の演説って感じで、深堀するのは野暮ったい気もしますがね。セリフに関しては。
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さて、こういったデータ世界の価値が特集され、個人的には「モノに足をすくわれるよ」という思いでした。
データ、データ言っても、その背後には物質があるわけです。
彼らが扱う電子機器に使われている希少金属。それなくして、データの価値もない。
その希少金属を握られ、武器として使われたら、新しい価値どころの話じゃない。
そんなんだから、ヨーロッパはリスク分散を怠ってエネルギーをロシアに依存し、手痛い目に遭っているじゃないかと思っていたら、トッドがエネルギーの話をし始めたので苦笑。
あまり好きなタイプの人じゃないので、似たような意見を持ったのがむず痒い。
あと、彼がフリードリッヒ・リストの名前を出し、保護貿易的観点と脱中国を言い始めたとき、ようやく“この番組らしく”なってきた気がしました。
でもって、フランツ・リストの曲を流すな。どっちもリストで紛らわしい。
結局さ、彼が言うような生産の再分配ってのは、反グローバルな側面もあるわけですよ。
得意な商品を得意な場所で山ほどというグローバル。それだと、その得意な場所が壊滅するか、反社会的存在になったら終了するから、分散せよって話。
自国の安定や安全のために、自国内で生産すべきもの。
複数の国に頼るべきもの……。
安定供給と価格のバランス。
それを追及するには、GDPという指標は……という解釈もできるわけです。
「今後は、民主主義の価値観が近い国同士で連携していきましょう」
新グローバル指数でも生み出したら、また胡散臭いコンサルが湧きそうで、ゲンナリしますね。
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【ゼロリスク】成田悠輔「昭和的なおじさんよりカッコいい」若者は恋愛や出世で失敗したくない?
にしても、よく見ますね。この人。
あ、そうだ。
「Oculus Quest 2(現:Meta Quest 2 )」を持ってますけど、使ってないですね。
目の周りの圧迫感が凄いですし、バンドを緩めると没入感が微妙になるので、髪型や顔の跡が気になる人には売れないという印象。
サングラスくらいにならないと、根本的なハードルは下がらないと思います。
まぁ、VRはメタバースの1つで、他の雑多なデジタル空間こそ、メタバースの本命と思ってそうですけど。
とはいえ、「Oculus Quest 2」を買ったところで、身体を動かして遊ぶ有料のゲームを買う気になれず、無料の体験だけで「あぁ、こんな感じか。知れてよかった」で終了してるので、ガジェット好き向けの商品感は拭えません。
次の商品で、どうなるかは不明ですが……。