メモ書き

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ルーブルの回復と、ババを引く人|陸路を失った一帯一路

経済制裁下のロシア、ルーブル決済を原油穀物にも拡大か

www.yomiuri.co.jp

暴落したルーブルが、石油クーポン券になり、今度は穀物クーポン券になり、回復していく。
……といっても、完全に「戻った」とまでは言えない。

ルーブル/円で見れば、そう感じるかもしれないけど、下がり続けている円を基準にしたらダメ。

円、ルーブルに次ぐ弱さ 1~3月の主要25通貨で

www.nikkei.com

下がってる理由は、金利
他の方が儲かりそうなら、そっちに行く。
銀行に預金する際、金利が高い方に預ける感じで。

国債買入オペとは何ですか?

www.boj.or.jp

円安が決定的にまったのは、先月末の買入オペ辺り。

なんで、やるのかと言えば、他の手法を取れないから。
金利は上げるか、下げるかしかない。

上げれば借りる人は減り、預ける人が増える。市場から金が減る。
下げれば借りる人が増え、預ける人が減る。市場に金が溢れる。
このバランスを取り、経済はまわしていくもの。

市場に金が溢れた方が、新しいビジネスは生まれやすし、投資も活発化される。
ただし、行き過ぎれば過熱感が暴騰や暴落、過度なインフレを生むことも……。
だから、金利は調整される。その時々で。

ところが、日本は金利を下げても、な~んにも動かない。
ばら撒いても、使わずにタンス貯金と言われる所以。
かといって、金利を上げたらローン勢が苦しくなるし、今よりも投資が縮小する可能性が高まる。

その辺が厄介なところ。
まぁ、本筋に関係ないので、この辺にして……。

* * *

ルーブルが戻ったと言っても、商品の「ルーブル払い」で通貨の価値を買い支えている背景がある。
外貨は得られない、と書く予定だったけど、決められたレートでユーロ払いでも交換すると言っていたかな。
もはや、外貨の使い道も限られているかもしれないけど……。

そういう意味では、本当に地域クーポン券として、限られた用途のサービス券としての価格なのかも。

ロシアのエネルギー輸出による今年の収入は3210億ドル(約39兆4000億円)に上り、前年を3割余り上回るだろうと、ブルームバーグ・エコノミクスは予想。国際金融協会(IIF)はロシアの経常黒字は過去最大に上るペースで、今年通年で2400億ドルに達する可能性があるとみている。
<中略>
石油とガスはロシアの輸出のほぼ半分を占め、昨年の歳入の約40%に寄与した。
ロシア、エネルギー輸出で今年約40兆円の収入へ-禁輸なければ

www.bloomberg.co.jp

ちなみに、今年は去年以上にエネルギーで稼げる見込みというニュースも。
これを見て思ったのは、「個人投資家にババを引かせる気じゃないか」というもの。

こういうニュースで「あれ? もしや買いじゃね」と思わせ、釣りあげ、高値掴みさせて、自分が買った在庫を処分してトンズラ。
いつも、最後に買うのは個人投資家

来月、口にする言葉は「Sell in May」か、「塩漬け」か。

まぁ、単にリスク分散で色んな“サイド”の資産を持っておきたいだけかもしれないけど。

リトアニア、ロシア産ガス輸入を完全停止 EU

www.nikkei.com

現に、こういう動きがあるわけで……。
EU全体としては、全会一致じゃないとダメだけどね。

ゼレンスキー氏は「メルケル前独首相、サルコジ元仏大統領は(虐殺が起きた)ブチャに来て、ロシアへの譲歩政策の結果を見るべきだ。拷問されたウクライナ人たちを自分の目で見てほしい」と当時の独仏首脳を名指しで批判した。

www.sankei.com

市場は、地政学を織り込まないからなぁ。
捕らぬ狸の皮算用で「売り上げ凄いぞ」と言っても、政策一つでひっくり返る。

買わないとなれば、それまで。
あれだけ増産しないスタンスのアメリカでさえ、“儲かるようになった”ので増産。

米シェール、日量100万バレル増産へ ロシア産を代替

www.nikkei.com

“儲かるようになった”というのは、採掘コストの話。
たくさん掘らないとダメなケースと、軽く掘るだけでいいケースでは、コストが違う。
採れるのが同じ石油だとしたら、コストがかさむ方は安売り合戦がキツい。ところが、ローコストの石油の需要が減り、石油価格が高止まりすれば、ハイコストでも儲けを出せる。

これがシェールで稼ぐときに大事なこと。たぶん。

この辺を見れば、よく言われる「漁夫の利」は、アメリカ。
だって、自分の国に何でもあるんだもの。食糧も資源も……。

* * *

逆に、「漁夫の利」で語られがちな中国は、さっぱり。

欧州連合EU)はまだロシア経由の輸入を正式には禁止していないが、貨物輸送業者によると、ロシアからEUに入る鉄道貨物輸送はほぼ凍結されている。中国からロシアを通って英国に至る7500マイル(約1万1200キロ)の回廊に沿ったコンテナの輸送は、中国の「一帯一路」構想にとって不可欠な要素となっている。

jp.wsj.com

陸の一帯一路は、モスクワを通っているわけです。

ジョージアのルートと言えど、隣のアゼルバイジャンは、ロシアの影響力低下で……。

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EUは、中国にとってのお得意様。
陸の運搬ルートを塞がれ、上海はゼロコロナでロックダウン。
ロックダウンしたら貨物も止まるので、コンテナ船と言う電車が終点にたどり着く前に途中下車が続いている状態。

あっちこっち寄るから費用を抑えられているのに、そこで降ろせないと後が詰まる。
この影響は、他の国にも及ぶ……。

そのうち、いつロックダウンするかわからない国は、ルートに入れたくないとなったら、陸に続いて海のルートも消え去る。

陸にしても、「なんで、モスクワを通れないのか」が説明されないと、納得できない人も増えてくるでしょう。
今までのように「親ロシア報道」も……。

というか、アノニマスは中国にも海外メディアの報道を流してみたらと、思わなくもない。

プーチン大帝は私のアイドル!」 中国人女性に増える熱烈プーチンファン

courrier.jp

あるいは、ロシアに向けて「国外退避」の文字とアラーム音を響きならすとか、もしくは「解放されたウクライナを見に行こう」と言うか……。
で、実際に行ったら現実を知ると。

* * *

【追記】

そもそも、ルーブルに換えられないんだよね。
私が使っている証券会社だと、外国為替取引の注文でルーブルだけ「買い」が無い。
確か、3月1日から無い。
なので、取り引きできないから、海外の人の動きで上下しない。
つまり、ロシア国内かあっち系の国でしか取引されないから、為替操作が可能。ガス代として入るユーロを好きな価格でルーブルに換えれば、好きな価格を維持できる。
ということは、その数字は需要を測る指標としては参考にならない。
今の額でほしい人が海外にいないなら、その数字だけの価値は無いでしょう。

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