NHKスペシャルの感想と言うか、ある人の言葉のメモ。
発言主は、レシィ・ヤキムチュクさん。29歳。
留学先のアメリカから、救援物資を持って故郷ウクライナに戻った方。
『ウクライナの人が怒っているのは
ロシアが侵略をしてきたという理由だけではありません。
みんなロシア人に怒っています。
プーチンにではなく
ロシアの普通の人々に怒っているのです。
ロシア人はもう20年も
プーチンに何もしていない。
もし大統領が気に入らなければ
国から追放すればいい。
私たちがマイダン革命でやったように。
そして ロシア人が
「私たちの責任ではない」
「なぜ私たちは制裁のために苦しむのか」
「戦争は私たちのせいではない」と言うのなら
私たちは本当に怒っています。
自分の政府には
自分で責任を持たなければならない。
もし何もしないのなら
その政府を肯定しているのと同じです。
それは政府を支持し
人を殺すことを支持していることになる』
世界は、2014年に「併合」という認識でスルーした問題のツケを今、払わされている。
武力で脅せば、国境を変えられる。
そんな前例を許してしまえば、世界は再び大きな争いの中に入っていく。
その瀬戸際にいる。
……といった話をそのうち書こうと思っていたけど、その2014年前後は私の健康状態が最悪過ぎて、あまり記憶にない。
世の中の流れも、多くの人の意見も、何もない……。
ほかにも、仕事が忙しすぎて「ニュース」と言うべき情報がゴッソリ抜けている年もある。
だからこそ、調べることで当時を捉え直そうと思っていたけど、その際に振り返るべき言葉があった気がしたので、こうしてメモした次第。
* * *
番組では、ロシアにいる人のコメントも、顔をぼかした状態でありました。
「俺らに、何ができるっていうんだ」
というもの。
デモをすれば捕まるし、職を失うかもしれない。
あの反プーチンのノーバヤ・ガゼータだって、出版停止になった。
そこには無力感があるのかもしれないけど、受け入れている「大多数」がいる時点で負けなんじゃないの?
経済制裁のことでインタビューすれば、「私は配給券の時代も知ってるのよ」と自慢げ。
なんか、ズレているよね。
きっと、制裁をする側を憎んで終わりな人も多いでしょう。制裁される理由を気にすることなく、居心地のいい被害者という立場を選ぶ……。
そういう情報しか受け取っていないという見方も勿論あるでしょう。
投票者が誤解するような「おかしな投票用紙」を使っていて、それが絡む問題もあるでしょう。
ただ、プーチンが言うところの“民族”という視点を敢えて持ち込むと、別の事情も見えてきます。
かつて、ソ連時代の宇宙開発の主要部分を担っていたのは、今のウクライナ。
技術があったから、チェルノブイリもあるし、ムリーヤもある。
24:07「タタール人は働き者」
24:22「キーロフは衰退していっているイメージ」
例えば、ロシア=白人碧眼の国という認識である。確かに、テレビに映るロシア人は、みなそのように見える。しかし、ロシア連邦におけるロシア人の割合は80%程度にとどまり(しかも、諸民族との混血が進んでいる)、200以上の少数民族が暮らす多民族国家である。そして実は、こうした少数民族出身者が政府の要職についている例も多い。アントン・ワイノ大統領府長官はエストニア人、セルゲイ・ショイグ国防大臣はトゥヴァ人だ。あるいは芸能界でも、“ロシアの北島三郎”ともいわれた歌手の故ヨシフ・コブゾンはユダヤ系など、例をあげればきりがない。
「国民性」に似たイメージが「民族」にもある。
場合によって、それは民主主義が向く国と、向かない国として語られることも。
不正や賄賂が根強いほど、民主主義から遠ざかる“偏見”が私にはあるけど、別の側面もあるでしょう。
Q.ソ連崩壊直後のロシアの人は、資本主義経済や市場経済主義が入ると豊かになるという希望は持っていたと思うのですが、なぜ国民は民主主義に幻滅してしまったのでしょう?
(北野さん)
「西側から資本主義が入ってくるとルーブルが暴落し続けているのでインフレが進んでいって、自分たちの両親が30年、40年働いて溜めた貯金がほとんど無価値になってしまった。国民の約96%の人が、ソ連時代より貧しくなってしまったんです。それは資本主義の結果なのですが、資本主義と民主主義がセットになって入ってきたせいで、『資本主義のせいで自分たちは貧しくなった』と思わずに、『民主主義のせいで自分たちは貧しくなった』と勘違いをしてしまったんです」
引用元の続きを見れば、株券の話が出てきます。
それを見ていて思ったのは、基本的に怠惰なんだなと。
資源国には、よくあること。
技術開発や競争をしなくても、掘れば売れるものが出てくるというのは、怠惰な精神を養うもの。「とにかく掘ればいい」だと、人は考えなくなる。
でもって、何を糧にしてきた民族なのかは、その精神構造に影響を与える。
農耕民族が五穀豊穣を祈願するくらいに、暮らしや風習に根差していく。その結果の民族性。
怠惰になるほど「誰か何とかして」と言い、自分は行動しなくなる。
行動しないくせに、努力不足で困難にぶち当たると「社会が悪い」だの、「隣の国が悪い」だの、「メディアが悪い」だの、「政治が悪い」だの言う。
ゆえに、お金がない人ほど、愚痴っぽい。
まぁ、そういう印象があるってだけの話。
* * *
個人的には、「デモ」という手法で何かが変わるとは思わないし、有効な手法だとも思えない。
意思表示はできるけど、それは「声」を届けるくらいのもの。
今回の場合、有効な行動方法は「国を捨てる」になると思っています。
これも「支持しない」という意思表示。
多くの人が捨てれば、社会は維持できない。
誰も子育てしていない国に未来はないし、子どもの幸せな未来を想像しづらい国で、育てるべきじゃない。