アメリカ側からすれば、このあと人口が増えていくインドを取り込み、ロシアとの縁を切らせて制裁を強化したいし、中国への牽制にもしたい。
ヨーロッパと日本も、同様。
ロシア側からすれば、今後もインドに武器を売りたいし、安くてもいいから石油を買ってほしいし、制裁には加わらないでほしい。
中国側からすれば、国境で小競り合いがあるけど大事にしたくないし、核を持ってる隣国を敵にしたくないし、ひとつの中国の邪魔をしないでほしい。
ということで、インド側からすれば「かぐや姫なみのアプローチ」を各国から受けている。
「こっちへおいでよ、インド」状態。
当の本人は、どれが国益にマッチするか吟味中。
あるいは、おいしいとこ取り。
だけど、本当に欲しいのは「大国」としての地位かも。
国際社会での大きな発言権、G8としての参加みたいな……。
西側が気にしていない“大国意識”があるから、他が脅すような物言いや上から目線で言ってくると、ぷいっと横を向く。
「インドは欧州連合(EU)や西側の自由な諸国と友人になりたいが、助けが必要な弱い友人としてではない」と明言した。
それはそれとしても、購入した武器のメンテを考えると、ロシアとの付き合いを切りづらい。
でも、その性能に懸念事項が山積み。
であれば、アメリカあたりが自国の武器の交換と訓練を申し出れば……。
国民感情を抜きに考えると、そういう可能性もある気がして、前にメモしたことがありました。
もし、上記のようなことが実現すると脅威に感じそうなのが、中国やパキスタンあたり。
パキスタンは、政府と国民で中国への意識に隔たりがありそうなだけに、対中をめぐって何か新たな展開がありそう……。インドが絡まなくても。
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という地域関係を気にしていると、難民問題がよぎるわけです。
インドの東は、バングラにミャンマー。
西は、パキスタン、アフガン、イラン、イラク、シリア……。
インドが経済発展したら、周辺国から集まって来る人も増えるでしょう。
お金を稼ぎに山のような人が押し寄せる。
ということは、ヨーロッパへの移民が減るかもしれない。
それこそが、移民問題に悩む西側の狙いのひとつじゃないかと思ったというメモです。
さらに言えば、今のロシアが倒れて民主政権が誕生し、そこからの資源が問題なく西側に供給されるとしたら、中東産資源の需要が減少する……。
心置きなくイスラムにサヨナラし、同じ価値観の世界を再構成。
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その頃になると、インドの大国意識から「印パ戦争、再び」みたいな展開に。
やっぱり、そういう国に投資するのはダメだよねと、欧米が梯子を外し始めて成長が途中で頓挫。
経済発展すれば民主主義的で先進的な発想になるという妄想は、今回も妄想で終わる……。
戦後の日本を見て“成功例”だと確信したアメリカが、同じようなことを試みて失敗しているのも……。
感染拡大期に、ロックダウンで抑え込んだのを成功例とし、ゼロコロナを続ける中国も……。
電撃的なクリミア併合に酔いしれ、同じことが可能だと思ったロシアも……。
結局、過去の成功例から脱しきれない中年サラリーマンみたいな存在に見えてくる。
くたびれたオッサンは、いつだって若者に見向きもされない。
まぁ、一周回って過去のトレンドを追うこともあるけど。
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