メモ書き

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少子高齢化の解決策は、労働力人口の増加なのか

少子高齢化による問題が語られる際、移民の受け入れ、子供を産みやすい環境づくり、一人一人の労働生産性の向上などが、重要な議題として扱われているように思えます。

その中でも、子供を産みやすい環境づくりをテーマにしたときに交わされるやりとりは、自分たちの生活基盤を維持するために、新たな生命を誕生させようとしている風に聞こえてきます。

「俺たちの為に生まれてこい。でも、俺は生まれてきて良かったなんて、一度も思ったことがないけどね」

だったら、酷い話です。
というか、「良かった」と思える社会をつくらずに、「もっと産めよ」もないわけですが……。
「行ってよかった」と思う場所は、他の人も連れて行きたくなりますが、「行かなきゃよかった」ところには連れて行かない。それと同じようなこと。

仮に、出生率が上がったとしても、亡くなってしまったのなら、労働力人口は増えないでしょう。

15~39歳の各年代の死因の第1位は、自殺

こんな状態では、「生まれてきて良かった」と言える人は、ポジティブかつラッキーなのかも。

自殺については、報道の在り方にも言及したいです。
いわゆるウェルテル効果の話。

「好きな有名人の後追い自殺」という認識の人もいるかもしれませんが、自殺者と同じ境遇の人が後追い自殺するみたいな内容になります。
ニュースが高齢者の自殺を取り上げれば、同じ方法で高齢者が自殺を図るということ。

地方の高校生が電車に飛び込んだら、別の地方に住む高校生が同じことをする。そんな連鎖を生む可能性があるので、「自殺を予防する自殺事例報道のあり方」というWHO(世界保健機関)の勧告があります。

誰かの自殺を詳細に伝える必要性なんてない。悪影響があるだけ。
個人的には、そう思います。

この自殺データをウェルテル効果に繋げたフィリップスは、他のデータからも類似性を指摘しています。
それは、大きなネットワークのニュースで、ボクシングのヘビー級タイトルマッチが取り上げられると、アメリカにおける殺人発生率がかなり上昇するというもの。
試合で負けたのが黒人選手なら、若い黒人男性が殺される事件が急増。白人男性が負ければ、犠牲者は白人男性になったそうです。

この手の話の極めつけは、模倣犯罪でしょう。
FBIの法医学専門家によれば、国中で広く報道される事件が一つ起こるたび、平均で30件は同種の事件が起こるようです。

地方の学校で銃乱射事件が起これば、別の地方の学校で同様の事件が起こる。
類似した社会条件の場所で、同種の事件が続くのは、人は真似をする生き物であり、より自分に近い存在の影響を受けやすい表れかもしれません。

引用元 うつ病患者が避けるべき情報|ウェルテル効果の条件 - うつアフィ

 

「じゃあ、少子高齢化の解決策は」と訊かれたら、「衰退を受け入れる」と答えます。
どうしたって減っていくのが目に見えているなら、それを前提に作り直していく……。もしくは、準備をしていくのです。

現状で無理が来ているのであれば、それを維持するのにカツカツになり、「苦しいだけの人生だ」という人を増やしても仕方ない。

諦めてもよさそうなものは、諦めた方が楽になる。そんな話です。

嫌な言い方をすれば、「無くなったら少し不便になる程度の仕事の為に、健康を害するのはバカらしい」ので、許容できる不便は受け入れていこうというもの。

世の中には、生活基盤に影響が少ない仕事と、そうでない仕事があるわけです。
職業に貴賤なしとは言いますが、生活する上で必要性が高いのと、そうでないのがあるのは事実。
そして、必要性が低いのに華やかに見える仕事があるのも事実。

でも、労働力が減っていくのがわかっているなら、担い手がいないと社会が成り立たない仕事は何か。それを知る機会が増えてもいいように思えます。

そのうえで、「どうすれば、緩やかな衰退になるか」を考える。

負の遺産をたくさん遺して、「先人に感謝しろ」「敬え」と言っている人を見て、そんなことを思いました。