何かを批准しただの、法整備だの言っても、誰も守らなければ、ただの文章でしかない。
守らせるためのペナルティーがあるのか。抜け道はないのか……。
そういった諸々を考えると、国際法を守るメリットよりも、国際的な世論ごと無視したほうが自国の利益になると判断する人も出てきたなって感想です。
これを書いている時点では、イランの攻撃にイスラエルが報復しないよう、いろんな国が自制を求めているけど、すでに「やる」という結論が出た段階。
まぁ、「やる」と言っても、イランの「それ」のように、予告と対処を見込んだものであれば、ヤクザの作法っぽい感じも……。
互いのメンツを保って、落としどころ的なやりあいと犠牲者を選ぶと。
イラン軍トップ、イスラエルの報復けん制 「作戦終了」と表明
イラン「これで手打ちだ(全面的にやりあう余裕はないし、かといって無反応でいたらメンツが保てないうえに、国民が黙っちゃいない)」
イスラエル「報復する(さすがに本土を攻撃されたら、やり返さないわけにはいかないけど、支援国の機嫌を損ねたくないなぁ。アメリカが言うから、引っ込めたという言い訳をしようかな? それで向こうの顔をも立てられるし)」
ヨルダン「人の国の上を勝手に通るな!」
アメリカ「反撃するな(今年は選挙なんで、大統領が支持者の顔色を窺っている……)」
NYT「ネタニヤフ氏、バイデン氏と電話会談後にイラン報復攻撃計画を撤回」
* * *
冒頭に戻れば、そのアメリカに連絡することもなくシリアの大使館をやったんだし、自制がきかない気もするんだけど……。
報復といっても、いつもの倍返しではなく、違った攻撃を選ぶことで、微妙に反撃感が薄れるという選択肢もあるよね。
例えば、サイバー空間で何かをどうとか。
船舶の拿捕的なものをやり返すとか……。
物理的に「やる」にしても、向こうの市民に犠牲が出るのは、相手の結束力を増すだけ。市民に嫌われてそうな相手なら別だけど。
そういや、フーシ派は中国の船にも手を出してたね。
イエメンのフーシ派、中国とロシアの船は標的にしないと通告
紅海で中国所有のタンカーがフーシ派のミサイルに攻撃をうける: 米中央軍
イランの子分的なフーシ派が、これ。
組織の末端の統率なんて、期待できないでしょう。どっちも。
すぐに宗教対立で書かれるけど、イスラエルがどこから石油を買ってるかといえば、イスラムの国もあるわけで……。
相手を封じたいなら、そっちを止めればとも言えるし、反イスラムというなら買うなよとも言える。
結局、自国の利益が最優先なので、買ってくれる相手を手放しはしない。
ホルムズ海峡の封鎖で困るのは、石油しか売り物がない国。そういう点を見ても、宗教は下々を動かす上級国民の何かなのだなと思えてくる。
イスラエルは図7のとおり、主にトルコやロシアから原油輸入を行っている。
ブルームバーグは10月20日、アゼルバイジャンから原油を輸送するタンカーがエイラート港に向かっている
https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1009585/1009925.html
あと、親に暴力を振るわれて育った子が、自分の子に同じことをするように、かつては被害者であっても「選択肢に暴力」が刻み込まれたら、それは「選択肢に暴力がない」社会とは馴染まないのだなと。
であるなら、誰かを憎むような教育を行い、思想が歪められた人々……。
抑圧されて自由を知らず、自分で考える機会を得られなかった人々に関しては、そちらで潰しあってくださいというのが、「選択肢に暴力がない」社会にとってはベストなのかもしれないという気がした。