メモ書き

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「欲望の時代の哲学2023」の感想

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「難解」と呼ばれるものには種類がある。
文字通り内容が難しいもの、伝達者が口下手で理解しづらいもの、その両方。そして、実は中身がないものだ。

この番組は私にとって、一番最後の意味で難解でした。

* * *

取材対象の哲学者が何をどう語り、それをどう編集したのか……。
把握できていない部分がある以上、番組構成上の“伝えるのが下手”という可能性は否定できないけど、特に見るべき価値は無かったように思う。

彼が主張するのは、倫理資本主義。
「人間ならば、こうする」という倫理的な云々な話。

具体的なアプローチとしては、社内に倫理を担当する部署というか、コンプライアンス部みたいなものを作れ的な?
どうにも、旧ツイッターを解雇された広報部みたいなものを想像してしまう……。

そう、そうなんだよね。
倫理と一口に言っても、社会の流れみたいに“ふわっ”としたものを遵守しちゃうケースだってあるわけで、不変の倫理なんてものはないわけ。

一部の国と地域で重要視されているポリコレ的なそれも然り。ああいうのをどう見るのさ。
競争社会においては、競争に勝つことが求められる。なら、その競争に勝つべき人員配置が行われるべき。
それを男女の比率がどうの……。人種がどうの……。それって競争に関係ある?
競争原理に反する要素を持ち込んだら、本来の目的を果たせなくなるだろうに。

人には向き不向きがあり、それは区別すべき。
不向きな人に基準を合わせたら、優しい社会ではなく、競争できない社会になるかもよ?
じゃ、競争をやめろって? 何も発展しないうえに解決もない停滞した世界は、ごめんだね

差別とは、生まれ持った変えようのない何かを理由に、言われなき仕打ちを受けること。
それを一緒くたに……まぁ、いいや。

日本においては、「切断(カット)」がどうのと……。
読心術がどうのもあったけど、その辺の外国人旅行客が飲み屋で喋ってそうな内容じゃん。
あるいは、下記のNHKの番組に出てる日本在住の彼らとかが。

COOL JAPAN 発掘!かっこいいニッポン

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※ 上の番組、出演者が割とYouTubeで出てる。他者のチャンネルでゲスト的に。中には、番組で言えないような本音トークしたり、陰謀論っぽい番組に出たりとか。

* * *

ん~……何がダメだと感じたんだろう?
真っ先に思うのは、「これがこうだから、こう」みたいな納得できる構成がなく、だらだらしたトークを部分的に見せられただけだから?

主張する内容が、発見も驚きも無かったから?

そもそも、哲学の価値って何?

あらゆる学問の祖? それって、化学における錬金術の立ち位置でしょ?
つまり、今じゃ誰も研究しない誤ったアプローチ。

そういう意味じゃ、文系学問は再現性もなく、ひたすらに主観ばかりの暗記科目みたいなもの。
ジャンル分けされたデータ収録勝負。

まったく異なる文化圏に行けば、当たり前だと思っていた「時間」と「存在」に関する概念も吹き飛ぶでしょう。

ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観

https://www.amazon.co.jp/dp/4622076535

しかしまぁ、この「欲望の~」系列は、「根拠」→「主張」という構成にならないね。
欲望の資本主義もだけど、現在の資本主義に警鐘を鳴らしたいだけに見えて、何とも。

欲望がなきゃ、人は何もしない。
なのに、欲望は悪だと否定し続け、あらゆる低迷を招いている。その辺から、追求し直した方がいいんじゃない?