メモ書き

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「欲望の資本主義2022 成長と分配のジレンマを越えて」の感想

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NHKの番組「欲望の資本主義2022 成長と分配のジレンマを越えて」の感想です。

内容を端的に説明すれば、マルクスを学んで社会主義に何かを期待している学者が、社会主義の下で苦労してきた人に現実を突きつけられる対談がメイン。

学者は自分の意見への共感を期待し、それを否定され……。
資本主義と社会主義の定義に論点はズレ、コモンの復活にコモンズの悲劇で返され……。
いやまぁ、「コモン(共有地)」の話を出した時点で、私でも共有地の悲劇が返ってくると予感したもの。

なんかね、学者の相手に認めてもらいたい感が強く出てて、痛々しい雰囲気が漂っていて……よかった。
そう、よかった。
そこに、社会主義に理想を抱く若者の代表感があって。
でもって、しっかりと否定してもらえたことに。


二人の対談を見終わった後、冒頭の引用文を見ると、番組の意図が見えてくる気がします。

『今 世論は資本主義を目の敵にしており
 資本主義とその成果をすべて批判するのが
 議論におけるエチケットになっている
  ヨーゼフ・シュンペーター 1942年』

資本主義に行き詰まりを感じると、「資本主義じゃない何か」に過度な期待を寄せるけど、それが資本主義より優れている根拠はひとつもない。
その危うさへの警鐘が主題でしょう、たぶん。

そもそもですよ?
学ぶべきことが多々あるのに、マルクスを選んでいるあたりに、もはやセンスが無い。

人間、努力したことには価値があると思いたいもの。
無駄なものを学んだとは思いたくないから、いつまで経っても得た知識にすがりつく……。
学んだものが無価値だと思いたくないから、良い面を必死に探そうとしたり、都合よく解釈してしまう。

ソ連を知識でしか知らない人と、パンを買うのに行列ができているニュースを見聞きした人、あるいは現場にいた人では、現実としての把握度が違うもの。

www.nippon.com


たまに、「マルクスが再注目」みたいなニュースがあって、その道の人が嬉々として「ようやく若者も目覚めた」とか言っているのを見ると、すがり方が違うと思うよと言いたくなる。

若者のそれは、今じゃない何か。
現在の否定。
その先に、たまたま あっただけ。

学生運動 華やかなりしころとは、ノリが違う。

おそらく彼らは、身近に北朝鮮という独裁国家のダメな例が無ければ、独裁だって支持したでしょう。
若さなんて、そんなもの。
騙されやすく、熱しやすいから、カモられる……。

北朝鮮とか、学生運動とか書くと、日本赤軍のことを思い出す。
今も逃走中らしいですね。

www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp


それはそれとして、ソーラーパネルの共有化とか言い出した時には、マンションの管理でも揉めてるのに? と言いたくなった。
結局、何一つ現実と向き合っていないというか、人を見ていないのかもね。

人間同士のトラブルの中に身を投じれば、あの学者の意見もかわるでしょう。
社会的ジレンマを経験してほしい。

* * *

対談以外では、日本株への投資で下手を打ったっぽいジム・ロジャーズが何か言っていたのと……。

toyokeizai.net

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著名な経済学者の孫とか出てきたような。
でもって、Linuxの話をしていたけど、説明なさ過ぎて、あれじゃ伝わらないでしょう。
オープンソースの説明をしないと、半分も伝わらない。

ってなことを思ったというメモ。
去年よりは面白かった気もしますが、知識を得たい人には微妙かな。
あくまで、あの対談をどう見るかが評価の分かれ目。
ただひたすらに不快という人もいるでしょう……。

去年は日本の金融サイドがバブルを連呼していましたが、今年は控えめ。
今年こそ、中国の恒大集団絡みでバブルを言うべきだったのに。
土地の使用権を担保に、あれやこれ……。
土地の値上がりを期待し、開発する気ないのに購入し、柱だけ立てて放置とか……。
といった類を流すと、中国での撮影に支障をきたすのかな?

インフレの話は出るけど、テーパリングがスルーな辺りも、片手落ち感があります。

www.dir.co.jp

投資に興味を持つ大学生の映像もありましたが、今年の相場はムズいと思うなぁ。
金融相場から業績相場へ移行するタイミングとか、キツいと思うけど。

金利が上がれば、わざわざリスクを負ってリターンを求めなくても、そこそこのリターンを低リスクで得られるんだもの。
今、リスクを取りたいのは、一発逆転屋と運用で稼がなきゃいけない職業人が主じゃないの?

あとはまぁ、スウェーデン二酸化炭素の排出を減らし、賃金も伸びているという話。
そこには「レーン=メイドナー・モデル」があり、生産性の低い会社を救わず、潰すことで人材が生産性の高い会社へと移行する流れが云々。

水力発電できる国という点を説明しないと、どこの国でもできそうに思えて、なんかね。

あと、福祉国家アピールがセオリーになってるけど、犯罪率は上がっていたような。
でもって、武器輸出国なんだよね。
他国の殺し合いに貢献する福祉国家って、ねぇ……。

 

www.anzen.mofa.go.jp

 

www.thelocal.se

globalnewsview.org


なんか、キレイな面ばかり強調されると、どうかなって思うわけですよ。


* * *

あぁ、そうだ。
成長と分配。

分配って、気軽に言い過ぎだよね。

「誰が分配」するのかを考えたら、どれだけヤバいのかわかるでしょうに。

誰に、どれだけ、分配するのか――

それを決められる人が権力を握るって、わかるでしょ?

公平に分配。
で、その公平は誰が決めるの?
分配する人だよね。

その辺を抜きにして、公平に分配するものと信じて疑わないから、夢想家は間違い続ける。

日本で行う成長と分配?
その分配は誰がやるの? どうせ、財務省でしょ。
税金で取るだけ取って、それを返すから感謝しろという感じに。
「取り上げておいて、なんだ」とか言ったら、もう分配しないぞ。これ。

「特技が人の話を聞くこと」「スピード感をもってやる」
この相反する方向性を進めるのは難しい。
人の話を聞くには時間がかかるから、スピード感はなくなる。
スピード感を出すには、人の話は全部聞けない。
つまり、一部の人の話を聞いて、すぐに動いちゃう……。

* * *

これからの日本の戦略とか、そういうの考える人が多いけど、個人的には「後だしジャンケンで勝っていく」以外の方向性は無さそうな気がする。
他国が実施して、うまくいっていたら取り入れる。
先に実験した国に「お疲れ様」と言いながら。

要は、うまくパクるよ、どこまでも。

大事なのは、何でもかんでも真似せずに、「ありゃ、失敗だろうな」ってのは、スルーすること。
さらに、途中で失敗に気づいたら撤収すること。

決定は覆らない精神だけは、何とかしてほしいなぁ。