売れない物を作りたがる商売人はいない。
その前提で見れば、市場を作るのは消費者自身。
消費者がモノを買わなくなれば作り手は減り、モノ自体も減っていく。
それでも生産を続け、ペイしていくとしたら、そこには値上げが必要。売れる数が少ない分、単価でコストを補わないといけない。
しかし、値上げによって客離れが起きるなら、それはもう撤退ライン。生産をやめることになる……。
「モノが無いのは困る」
撤退ラインまで追い詰められた後、消費者が騒ぎ出しても遅い。
利益が出ないのに、ボランティアで作れと言われても……。
それが作り手の意見になるでしょう。
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これは、消費者に都合の良い「安くて良い商品」を維持するには、膨大な消費が要るって話。
だって、そうでしょ?
安い商品だから、単価は低い。
低い単価で利益を出すには、数が要る。
つまりは、膨大な消費。
だから、資本主義には、浪費家が必要という理屈。
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「買いたいモノもないし……」
「別に、買わなくて済むし……」
そのマインドこそ、インフレのスタートラインかもしれない。
こうなると、先に買っていた者勝ちになる可能性が出てくる。
モノの値段は上がっていく。
お金の価値は変わらない。
としたら、相対的には「お金の価値が下がっている」ことに。
「昔は100円で買えたのに、今は200円出さないとダメ」というなら、昔のうちに100円で買っていた方が「お得だった」となるでしょう。
とは言っても、現物を持っておくスペースが無いというなら、「将来、それを買う権利」を買っておく。今のうちに……。
こうして、市場で値付けがされていくわけですよ。
あらゆるモノとサービスに値札を貼る。
そのシンプルな発想こそ、資本主義の原点かも。
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それを踏まえたうえで、医療の話。
利用者に都合の良い「安くて良い医療」を維持するには、膨大な患者が要る……。
先に書いた文章を当てはめると、上のようになります。
ケガの治療で最先端を目指すなら、患者は多い方が経験が積める。
その点で言うなら、ケガ人が増えそうなスポーツの発展、交通状況が……。
病気の治療で最先端を目指すなら、患者は多い方が経験が積める。
老いるほど体にガタは来るので、不摂生の老人が増えそうなことを……。
という風に考えられないのは、健康保険があるから。
患者の負担割合が1~3割だとすれば、安さのツケは別へ。
現役世代にツケを回す以上、医療が充実するほど高齢化が進み、貧しくなっていくでしょう。
次世代を担う人が「自分に投資できない状態」になる一方、その原因を作った側は納めた以上の金をもらい、テレビを見るだけの日々を送っている。
金を貯めなかったクセに長生きするなと思っても、それは今更変えようがないこと。
何も生み出さず、社会的リソースを食うと問題視したら、それは生きることへの批判となって支持を失う。
そんな公約は誰も掲げられないから、選挙の一票で「高齢者重視の政策から脱却」は幻想でしかない。
彼らは重視しないと、死ぬんだもの……。
人命軽視で受かるような社会でもあるまいに。
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インフレは貯蓄で生きていく側には不利。
デフレは貯蓄で生きていく側に有利。
若者の革命は、選挙ではなく、インフレと賃上げにある。
そこで買うしかない者から、取れる範囲で取っていき、過剰なサービスは控える。商売はボランティアじゃない。
今の彼らを救うことで、未来の自分たちを失うのも滑稽な話。
ピンチはチャンスと苦労話をする人には、チャンスこそ与えるべき。
スタグフレーションになったら、アレだけど。
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それは、それとして……。
治療して、長きするほどに医療費がかさむ。
頑張るほど、将来的には負担増。
サービスが充実するほど、将来的には負担増。
そういう視点で見ると、何なんだろうと思わなくもない。
人より長い時間、テレビを見られた人生の意義とは一体……。
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最初は、今の日本人の節約思考が資本主義として不利。
向いてないメモにするつもりだった。
アメリカの凄さは、浪費家精神にあるって感じの。
後先考えずに、買うでしょ? 割と。
だから、いろんなサービスが生まれる。