メモ書き

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田舎の怖さは、時が止まっていることにある

都市部で働いていたころ、たまに実家に戻ると「何も変わっていない」ことに、恐怖のようなものを覚えました。

そこで暮らす人々は老けたり、成長したりしていますが、見える景色は変わらない。

「あの店が潰れた」なんてこともあるけど、元から半分は潰れているような個人商店ばかりなので、「遂に」と思うだけで驚きが無い……。

この「変わらなさ」に飲み込まれると、自分も 田舎という「時の止まった空間」に閉じ込められそうで、嫌だったんだと思います。
それゆえの恐怖感。

今となっては その田舎に住んでいるので、あの焦りに似た恐怖感は、都会で暮らす者を飲み込む「変化の強要」だった気もしてきます。

一時的に「変化の強要」から逃れ、田舎の「変わらなさ」に触れると、途端にやることを失い、早く戻りたいと思ってしまう。
田舎に来たんだから、田舎でしかできないことをすればいいのに、相も変わらずスマホの画面を見続けたのは、「変化の強要」に囚われたままだったからかも。

いや、もしかしたら、田舎という「時の止まった空間」に閉じ込められないための抵抗だった……。

* * *

一時的に田舎に戻ったときは気付かなくても、実際には色々と変わっているもの。

その変化に気づいたとき、「あぁ、時は動いていた」とは思わずに、喪失感のようなものを覚えるのは、何故なんでしょうね。

そんなことを線香の匂いを嗅ぎながら、思いました。