メモ書き

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超過死亡が減った事実に、どう向き合うのか

超過死亡率は、本来想定される「死亡率(期待値)」の取りうる「値(信頼区間)」を超過した割合、らしい。

平たく言えば、例年このくらい亡くなっているので、今年は このくらいだろうみたいな数値の範囲。
予想を大きく超えて亡くなった場合、「何かがあった」と見るべき指標になるでしょう。

例えば、今までにない感染症が爆発的に拡大し、多くの人が亡くなった……。
前例がないため、検査が不十分で、別の死因になっている可能性がある……。
そんなとき、こういった指標を用いて、「実際には、このくらいの死者数だったのではないか」と、予想を上回った数値の分だけ推定する感じ。

で、それが減ったという話。

jp.wsj.com

ソースは上記の記事。
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版の有料会員じゃないと読めないので、私は読んでいません。読んだ人が「内容を紹介している」のを見ただけ。

その内容としては、半円で表された新型コロナによる死者数の周りに、超過死亡総数の分だけ上積みされたグラフがあって……というもの。
海外、特にロシアは超過死亡総数が多いのに、日本は超過死亡がマイナスになったとか。

他に、マイナスになった国には、台湾、ジョージア(旧:グルジア)、オーストラリアがあります。

※10月くらいまでのデータ。

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他の情報源も見て見ます。

47都道府県(全国)の超過死亡数の積算は1408-15538で、最も多くの超過死亡数が確認された月は8月でした(1066-5500)。過去2017-2019年の1-9月の超過死亡数は、1812-31207(2019年)、1821-30863(2018年)、297-22248(2017年)でした。

我が国におけるすべての死因を含む超過死亡の推定(2020年12月)


上記は、国立感染症研究所の記事。
以下は、数値の範囲の説明。

Q. 超過死亡数「XX-YY」人の解釈を教えてください。
A. XX=予測死亡数の95%片側予測区間(上限)と観測死亡数の差分、YY=予測死亡数の点推定値と観測死亡数の差分になります。実際の超過死亡数はこの範囲内に含まれるだろうと解釈できます。ただ後者(YY値)については、毎週の死亡者数の偶然の変動(ばらつき)も含まれてしまっていることには注意が必要です。予測死亡数の点推定値は、言うなれば過去の観測値に対して平均値をとったようなものですので、観測値との差分は容易に出ます。(実際、点推定値と観測死亡数の差分がゼロを超える週は、期間中のみならず過去の多くの時点に存在します)。

すべての死因を含む超過死亡数の推定に関するQ&A(2020年12月23日時点版)

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一時期、感染を恐れての受診控えによる「隠れコロナ死」が騒がれましたが、騒いだだけだったのかも。

「翻って日本では、そもそも欧米の流行地の100分の1くらいの死亡しか報告されていません。この状況で、まず『過剰死亡があるかもしれない』と考えることにかなり無理があると私は感じます」


「実際に計算しても最新のデータだけが平年に比べて大きいというわけではないのです。それは超過死亡のなかに人口増加や高齢化の影響が含まれているからです」
「隠れコロナ」の死亡者はそんなにいるのか? メディアで話題の「超過死亡」について検証する

 

また、国によって死因の基準が違うので、一概には比較できないでしょう。
極端な例をあげれば、交通事故で亡くなったとして、その人が感染していたら、死因コロナにカウントするのかという……。
「感染者の死亡」と見れば、それはカウント対象。でも、主な死因ではない。
同じ理屈で、基礎疾患がある場合は、カウントしない国もある模様。

そういう視点で見ても、参考にしづらい数値かなと……。

それに、「行動変容」が起こった場合、例年のデータからの推測は……という疑問も。
というのは、外出の自粛で交通量が減ったら、交通事故も減るはずなので。
うがい手洗いが広まれば、他の感染症にも効果が出るでしょうし……。

まぁ、そういうことです。
ただ、交通量が減ったのをいいことに、ガラガラの高速道路でレースをし始め、それで事故って死ぬ人が増えれば、上の推測も虚しい限り。

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日本の感染状況は、昨年末から酷くなっているので、検証するには早すぎた。
そんな見方もできるでしょうが、個人的に思ったのは「そこまで重視する数値じゃないのかも」というもの。

何というか、今はもうカウントできるようになっているのなら、「本当は、これくらい いたんじゃないか……」というデータは、必要性が薄れた気がするんです。

あくまで、未知すぎた初期の状態を推測するものであって、書きたい記事ありきで利用する数字じゃない。

それよりも、『インフル患者報告数、昨年同時期の1000分の1以下』みたいな点に、注目すべきかも。
「行動変容」で防げた死亡例が、幾つもあった。
そう捉えれば、「元の社会」に戻すのではなく、「より死ににくい社会」に作り変えるべきだと……。

もちろん、同時流行しない「ウイルス干渉」説もあるので、行動変容万能論を唱える気はないですが、よりベターな感染対処社会を目指すに越したことは無いでしょう。
ダブルで感染した人もいたし……。

同じように、無駄にも気づいたはず。
外食需要が減って「食糧廃棄」が取り上げられていますが、見方を変えれば「無駄に生産」しているのです。
外食需要が戻れば、他で「食糧廃棄」が始まる。
コンビニの弁当だったり、スーパーの商品だったり……。

持続可能な開発目標とやらを掲げるなら、こういうのってどうなんでしょうね。
変えるべき機会かもしれませんよ?

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今は、犠牲者としての飲食店がクローズアップされていますが、ちょっと前まで何が問題になっていたのか……。

 

www.fnn.jp

youtu.be


「感染対策しています」アピールも、過去のそれを思い出すと、「本当?」という心境になることも……。

飲食業「なんで、飲食ばかり」

そういう声もありましたが、GoToの恩恵を受けた業界には、飲食も含まれるわけです。

他業界「なんで、飲食・観光ばかり」

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なんか、話がどんどん変な方向に……。

結局のところ、いつも「都合よく切り取られた一面」しか見せられていない。
それに慣れて、洗脳されて、受け取る情報のままに、自分の意見に置き換えていやしないか……。

そういう感想になるんですかね。

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追記


「なんで、飲食」という疑問への回答は……

発生場所は、飲食店が860件で最も多く、企業などが777件、病院などの医療機関で650件発生している。

www.fnn.jp

になるんですかね。
企業なら、濃厚接触者を追いやすいですが、飲食店は そうじゃない。
そういう面もあるでしょう。