メモ書き

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「不死身のスーパー耐性菌 抗生物質が効かない未来」の感想

アメリカの畜産業界が“薬漬け”の飼料を使った結果、新種の耐性菌が世界に広まった例も指摘される。インドの妊婦の間にまん延する耐性菌の報告も。

www.nhk.jp

2019年、ドイツのドキュメンタリーの感想です。

番組の内容は、「薬剤耐性(AMR)に起因する死亡者数の推定(オニールレポート)」をベースに、薬に耐性を持った菌による被害を追及する感じ。

2013年現在のAMRに起因する死亡者数は低く見積もって70万人

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000189799.pdf


厚生労働省健康局の資料によれば、日本における薬剤耐性菌の検出割合は高いです。

病院で、アホみたいに薬出しますからね。
保険の適用もあるでしょうが……と、条件反射的に思ってしまいますけども、ルート的には食肉の飼育過程。

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家畜への抗生物質の大量投与が、菌が耐性を得るポイントでしょうか。
なんで家畜に抗生物質を使うのかと言うと、その方が効率がいいからですね。
狭い環境で飼育し、病気が発生して出荷できなくなるより、薬漬けにしてでも病気を防いで出荷できた方がいい。
まぁ、そんなところ。

番組では、微生物学の研究者 慶應義塾大学医学部教授 渡邊力氏の論文も出てきます。
この人が「多剤耐性因子(R factor)」と名付けたようですね。

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抗生物質が効かないと、どうなるのか。
シンプルに「効果のある薬が減る」ので、治す手段が限られていくわけですね。

せっかく開発した抗生物質が意味をなさなくなる。
製薬会社にとっては、開発費の回収も危ういので、耐性菌が広がるスピードが増すほど、誰も新たな抗生物質に手を出さなくなるという恐れも……。
その点に関しては、反論もあったかな。

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まぁ、そんな感じの内容で、具体的な抗菌薬の名前も出たりしました。
コリスチンとか。

WHOが極めて重要な抗菌薬と位置付ける「コリスチン」に耐性となる遺伝子mcr-1が日本にも存在することを確認

www.amed.go.jp


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これを見て思った感想は、ふたつ。

「新型コロナの次は、これか」
「肥育ホルモンの投与みたいだな」

肥育ホルモンに関しては、前にメモで書きましたね。

att3200.hatenablog.com

あと、そうですね。

「日本における薬剤耐性菌の検出割合は高い」のに、なんで平均寿命が……。
それとも、これからなのか。

一方で、「長生き」という社会課題もあるわけで、人類は生物としてのリセットに向かっている気もしないでもない。
蓄積された叡智の一部を失うことで、またスタートラインに立たされる。
そこで、目指すべきゴールを今一度、問い直される感じの。