メモ書き

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「最近の若者は、所帯を持つ苦労をしない」

「最近の若者は、所帯を持つ苦労をしない」

病院の待合室で聞いた言葉です。

発したのは、おじいさん。
彼の話し相手は、その人を介護している若い女性。

介護している人の返しは、「お金が無いですからね」というもの。

その後の二人のやり取りは覚えていませんが、その言葉だけは今でも覚えています。
もう数ヶ月経つのに……。

心に引っかかるところが、あったのも。

どんな気持ちで「所帯を持つ苦労をしない」と言ったのかは知る由もないけど、よくもまぁ自分の世話をしてくれている人に、否定的な言葉を言えるよなと、そんな気持ちになりました。

払ったこともないであろう介護保険料の恩恵を受け……
おそらくは1割負担の医療費で、残り9割を……
そして、払った額以上の年金を……

そこまでは考えませんでしたが、端的に不快でした。

現状を知らなければ、仕方がない。
そう考えることもできるでしょうが、向こうが“配慮”していないのに、こちらだけ“配慮”する気にもなれない。
それじゃ、人として対等じゃないですからね。

と、ここまで書いたところで、「対等という意識はない」と思ってしまいました。
なんて言うんですかね、ハンムラビ法典で「子が親の所有物」だったような感覚が、まだ残ってるんじゃないかと。

歴史に触れる際、時代背景を考慮に入れるよう、配慮の仕方を変えるなら……。
ん~。
なんか違うな。

なお、下記は「お金の無さ」を示すデータです。

年齢別貯金額
20歳代 中央値 5万円
30歳代 中央値 77万円
40歳代 中央値 50万円

life.insweb.co.jp

 

別のデータもあります。

平成28年 貯蓄額中央値
20代 215万円
30代 410万

www.nomura.co.jp

 ※ 上の2つのリンク先は証券会社。

国民の所得に占める税金や社会保険料などの負担の割合は、44.6%と過去最高
www3.nhk.or.jp

 

そりゃ、低所得なのに給与の半分も取られたら、「所帯を持つ苦労」どころじゃないわな。

「昔って、税負担が少なくて、貯金するだけで資産が増えて、楽そうですよね。事務仕事なんて、読み書きできれば済んだんでしょ? 覚えること、少なそうでイイデスネ☆」

こんな煽りをしたら、あの老人はなんて答えたのだろう?

ものすごく長い苦労話、いや、説教を聞かされていたのかも。

「村役場じゃ、昼から酒を飲んでいたんだ」とかだったら、アレだけど。


* * *

ふと、メターテ職人のことを思い出しました。
昔あったカカオ豆を挽く職人のことです。

石のメターテで、カカオ豆を挽く専門職。
これで、一生 食っていくのです。
長いチョコレートの製造工程の一部分だけを延々と続ける。

逆に言えば、それさえマスターすれば、食っていける。
「新しいことを覚えなきゃいけない」というプレッシャーもなく、ひたすらに挽くことに専念する。

変化の早い時代にあっては、ちょっとした羨ましさすら、覚えますね。
無い物ねだりでしょうか。