ローンを組んで家を建てる。
すると、その家の評価価値分の資産を持つことになる。
ここに「家という資産」を持つ人が誕生するが、その人が支払った額は評価価値には遠く及ばない。
もちろん、ローンの支払い義務があるので、負債も同時に背負っているといえるし、維持費用や固定資産税を考えると、出ていく金が増えるので「家は負債」ではないかという見方もある。
でも、買った時点だけを見れば、少額で大きな資産を手にしている。
同じようなことを大勢の人が行えば、その時代の人は「資産を持つ」のが普通となり、資産があふれた社会になる……。
とはいえ、支払いが残っているということは、未来への制約でもある。
未来の収入に対し、使い道を決める行為。
同時に、それはローンを組ませた側にとっては、約束された収入でもある。
そういう意味で「お金は、未来からやってくる」というタイトルにしたけど、この皮算用を保証する仕組みこそが、「今」を劇的に豊かにする発明だったのかもしれない。
何せ、評価価値には上がる可能性があり、多くの人が求めている事実があれば、需要増となって加速度的に上がるのだから。
この土地神話みたいな原理を別のものに見出すとする。
「S&P 500って、なんだかんだ言って、ずっと上がっているよね」
そう思う人が多くいて、それを行動に移す人が大半になったとする。
すると、未来から取り寄せたお金を使い、先に多くを買ったもん勝ちに……。
問題は、キャピタル・ゲインを得るには売る必要がること。
一気に売れば暴落につながるので、誰もが引き際を気にしている……。
まぁ、なんだかんだで上がるので、上下の波はあっても、持ち続けていれば損から益になる。そう思われているからこそ、次々に買い手が現れるというもの。
逆に言えば、売りたい人だけがいる出来高の少ない銘柄は悲惨であり、もはや価値がなくなっている。
インカム・ゲインが得られるのであれば、売却を考えずに積み立てていくのが、精神的に楽でいいとは思うけど。
ETFは。
* * *
日本では、新築が中古になった瞬間に、価値が暴落する……。
結局のところ、新築信仰がダメなのかも。
新築を安く建てたいという要望が、業者の手抜きスキルを鍛え上げた。ベクトルが「安く」だから。
手抜きは修繕や補強を必要とし、そこにつけ入る変な業者を生み出した。
新築・中古を問わず、より丈夫で快適な物件を求める傾向にあったのなら、鍛え上げられたのは手抜きスキルではなく、別の何かだったのかもしれない。
まぁ、色んなハウスメーカーはあると思うけど……。
なんか、話が変な方向に進んでしまった。
誰かの借金は誰かの収入みたいな話をして、お金を借りやすい世の中であり、借りた大金でビッグなチャレンジをできるのが、成長には要るんじゃないかって書きたかった気がする。
最初の書き出しを家のローンにしたために、どうも家に引っ張られている……。
おかげで、昔のメモを見る始末。
『売買は中古と新築では違うが、だいたい売買金額の5~6%の雑費がかかる。
仲介手数料、登記費用、収入印紙代等だ。
新築は仲介手数料はないが、マンションの値下がり具合は大きい。
マンション完成から約十年までは速いスピードで下がり続け、そこからは緩やかな下りカーブになる。なので、買うならその辺。
A氏(知人)が買ったある物件など、売り出し時は2400万だったのに、彼が買った時は700万だった。その当時で築19年程』
懐かしい。
こんなこと、やってたな。