メモ書き

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「メルケルが残したもの -16年間の足跡-」の感想

www.nhk.jp

2021年、フランスのドキュメンタリーの感想です。

基本、メルケル氏に好意的なつくりとなっています。
他の国のトップとは違う彼女、権力者の野郎とは違う彼女、冷静で論理的とか何とか、そんな見方をしている制作者の映像。

でもって、ポイントは「2021年の制作」だということ。
つまり、ウクライナ侵攻の前……。

現状を踏まえると、制作者に対して「お気の毒に。早過ぎたね」という感想になりました。

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「お気の毒」の理由は、彼女が推し進めたエネルギー政策の結果のひとつとして、現在のロシアの立ち位置があるから。
まぁ、その辺の評価は前に書いたかな。

att3200.hatenablog.com

ドイツのエネルギー事情は、ロシア依存。
ロシアからのガスや石油で動いている……。

彼女が脱原発を決めたもんだから、今じゃ石炭火力が唯一の計算できる発電に……。

総発電量に占める風力の割合は20年時点で約26%で、石炭の約25%を上回り、最も多い供給源に成長した。

globe.asahi.com

 

ロシアはドイツにとって最大のエネルギー供給国で、天然ガスと石炭の半分以上、原油の3分の1を供給している。対価として、ドイツはロシアに1日2億ドル以上を支払っている。この資金が現在、戦争の元手になっているのだ。

natgeo.nikkeibp.co.jp

上のような文章を書かれる日が来ることを、下の文章を書いた人は想像していただろうか。

www.jaif.or.jp

侵攻資金の提供者が老獪とは、これ如何に。

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彼女の16年間を振り返ると、安全保障の観点に欠けていると思えてしまう……。

彼女だけのか、あるいはドイツ自体がなのかは不明だけど、ドイツの軍備事情を見るに、そうなんだろうなと。

移民の受け入れに関しても、「おいで、おいで」したら、それは周辺諸国も巻き込むことになる。
ドイツを目指すルートにある国にも影響することだし、自国の受け入れ態勢次第では治安悪化に……。

だからまぁ、対極的な政党が躍進するんでしょう。
左に寄り過ぎれば、右に寄ってバランスを取ろうとするのは、自然の流れ。

だけど、どっち寄りという以前に、主観で判断してるようにしか見えない。
ドキュメンタリーで言われていたリーマンショック時の「ギリシャを見捨てる」系の発言も、「怠け者は助けない」という道徳的見地とかあったけど、単なる主観じゃないのかってね。
EUという経済圏で見て、判断しなきゃならないでしょうに。

リーマンショックアメリカの問題」という見方に関しては、彼女が嫌いなトランプの「コロナは脅威ではない」を思い出してしまう……。
割と、似ているところがあるんじゃない?

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ドキュメンタリーとして興味深かったのは、生い立ちから始まったこと。

牧師の父の影響を受け、東ドイツで育つ……。
学生時代は地味なガリ勉扱いだけど、成績は優秀。
物理を選んだのは、プロパガンダが入り込む余地がないから。

ベルリンの壁崩壊を受け、“直感的”に政治家を志す。
ほら、この辺からして主観の人なんですよ。物理学んでも、判断は論理じゃない。
いや、目に見える範囲では論理的かもしれないけど、将来における予測範囲が……まぁ、いいや。

政治は結果がすべて。
だけど、あとでアレコレ言うのは簡単ということにしておきます。

生い立ちにおける重要点は、牧師の父でしょうか。
影響が大きそうです。作中でも、次のような言葉が出てきます。

聖書の一節『静かにすれば救われ、信頼すれば力を得る』

シュレイダー相手の討論で暴言を吐かれた際のもの。
これも今となっては、ロシアの何を信頼して、どんな力を得たのか……。そういう見方に。

下品な言い方をすれば、ドイツはロシアにタマを握られたまま、中国と抱き合ってきた。
それを成果だというのか?

彼女の16年間は、失敗しか していないのでは ないか……。

厳しい見方をすれば、そう言いたくなる人もいるかもですよ?

jbpress.ismedia.jp

中国が台湾侵攻したら、二大侵略国と仲良くしたトップってことになる。

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正直、途中で眠りかけたので、記憶違いがあるかも。
退屈とまではいかないけど、16年もあった割に、色々とあった割に、面白みに欠ける……。

ゴルビーのドキュメンタリーよりは、退屈しなかったけど。

www.nhk.jp

共産圏って、話つまんない人 多くない?

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【おまけ】

漁礁としての兵器

karapaia.com