メモ書き

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中国、地方政府債務の増加|融資平台ショックは、2800兆円規模

地方財政が依存度を高めてきた土地収入も落ち込む。地方政府が国有地の使用権を不動産開発企業に売って稼いだ20年の収入は税収の5割超に相当した。ただ習近平(シー・ジンピン)指導部が不動産金融の規制を強めたことで、土地の売買も停滞している。

www.nikkei.com

見出しだけ見れば、地方都市の「破綻」にしか思えないかもしれませんが、夕張のそれとは違う背景があるわけです。

いや、どっちも炭鉱で栄えた場所だけどさ……。

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共産圏は、財産も共有。
土地の個人所有は認めない。
でも、「土地利用権」は認めよう。

その発想一つで、今まで無かった「土地の使用」という商品が発生。
急に財産が発生した状態に。

これは、土地の所有者が存在しないから使えた手段で、それも一回きり爆上げ現象……。

しかし、土地は無限にあるわけでもなく、価値のある土地が多いわけでもない。
自然と、売れ残りが放置されていくことに……。

なのに、いつまでも無限に土地があると思い、その土地利用権に頼り切った“やりくり”をしていると、首が回らなくなる“終わり”が早まる。

それを融資平台ショックと呼称しただけのメモ。

習近平政権は2020年末頃から、「隠れ債務」を含む地方政府債務の増大を経済の安定性を左右する問題と見なし、解決に向けた方針を示すようになった。隠れ債務とは、地方政府がインフラ整備の資金調達目的で設立した地方融資平台(以下、LGFV)の債務を指す。国際通貨基金IMF)は、LGFV債務を独自に試算し、LGFV債務の急増が政府債務全体の増加の主因と指摘している。

www.jri.co.jp

「2800兆円規模」と書いたのは、次の文章から。

この融資平台の累積債務残高は公式発表でも2020年段階で40兆元(700兆円)を超えるとされていたが、実際は公表数値の4倍程度だろうと見られている。つまり160兆元(2800兆円)に達するのではないかというわけである。

gendai.ismedia.jp


次のページは、桁違いの数字もあるけど。

朱鎔基・元首相の息子で中国の金融界の実力者である朱雲来氏は、2018年に行われたクローズドの会合で、中国の総債務は2017年末の段階で669兆元(1京2000兆円)に達すると述べていた。ただしこの総債務は中国政府、企業、個人の債務の総合計であり、中国政府だけの債務ではない。

朱雲来氏は中国の債務が年率16.6%で増えてきたことを指摘しているので、仮に同じ割合で2017年末から2021年末の4年間でも増え続けているとすれば、なんと1236兆元(2京2000兆円)まで膨れ上がっていることになる。

リーマンショック後、世界経済の牽引役として存在感を放った中国。
しかし、それは最後の輝きだったのかもしれない。

人口ボーナスと、一度きりの土地利用カード。
成長ブーストの後に、何が残るのか。

人口オーナスと、感染症絡みのヘイトと、土地バブル崩壊の後遺症……。

ある投資家はライオン戦略と称し、他者が逃げだした相場を買い向かう。
「中国が嫌いだから買わないはダメ」と逃げ出した人の理由を分析するけど、そうじゃない。
一人っ子政策による人口ピラミッド、土地に絡む問題、突如として切り替わる政府の方針、そういったリスクを鑑みての“逃げ”なのだ。
まぁ、有名企業で働いたとしても、短い期間で得られるものは少ない。その辺を踏まえて、支持する人は、見ていった方がいい気がする。

UBSとモルガン・スタンレーは不動産開発業者の資金調達を容易にするための措置を予想している。UBSのエコノミストらは与信の伸びが10月に底を打ち、「今後数か月で緩やかに回復する」と予測した。

www.bloomberg.co.jp

規制緩和だから買い? 今は下げ過ぎ?
リスクを知った市場に、どれほど戻ると……。

それとも、「買い」を推奨して、引いてしまったババを誰かに渡したいのか?

 

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中国の土地使用権の売買は1990年代初期に解禁され、一部の地方都市は独自で土地使用権の譲渡に関する条例を策定し、使用年限を20年~70年に設定した。浙江省温州市では、2016年4月に、一部の住宅における20年の使用年限が満了する事例があり、この際、市は土地使用権の更新料として新たに土地使用権譲渡金の支払いを要求したが、その額があまりに過大なものであったため、全国に不安が広がることとなった。

www.nli-research.co.jp