昔、ECサイトの運営をしていました。
ある日、ある人が購入導線をチェックしました。
「どういうページを経由して、カートに入れたのか」を知ることで、販売促進につなげるためです。
で、その結果わかったのは、「お買い物ガイドを見ている人の購入確率が高い」ということ。
それを受け、「お買い物ガイドを見た人が買うから、もっと目立たせよう!」という主張に。
この後、渋々ガイドへの誘導を増やしたような……。
それで、目立った数値の変化は、現れなかったはず。
その理由は簡単です。
「お買い物ガイドのページを見たから買う」のではなく、「買い方を知るために見ていた」のです。
「買う」という気持ちが既にあるから、その方法を確認するために「お買い物ガイド」を見る。
逆なんですよね、順序が……。
その辺の心理を踏まえないと、データの解釈が変になる。
* * *
もうひとつ、似たような事例があります。
あるキャンペーンをした日から、売り上げがグンッと上がりました。
「このキャンペーンは成功だ! 先週の1.5倍は売れている」
大喜びです。
この成功体験が忘れられず、翌月も同じことをしますが、サッパリです。
「飽きられたんだ!」
そんな主張がされ始めましたが、その翌週に売り上げが1.5倍ほどに……。
「おかしい! 何も手を打っていないのに」
これ、原因は何だと思います?
正解は、日付です。
1.5倍になる日付が同じ。
その日が休日だった場合は、大抵は前倒しされます。
そう、給料日。
給料日で お金が入ったから、買う人が増えた。
それで1.5倍。
キャンペーンとか、そういうのは関係ない。
店側の都合だけでデータを見てはいけないし、何に効果があったのか知りたいのなら、購入者に訊くのが一番。
話としては、そんなところ。
* * *
ソシャゲーで言うなら、月初の課金額が増えます。
月単位での制限がリセットされるから……。
だから、そこにイベントをぶつけていた……ような?
いずれにせよ、昔の話です。
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なんかね、データを集めて「数値的根拠がある」と言う人の中には、数値の背景を気にしていない人もいるんで、注意しないといけませんね。
でもまぁ、そういう人がいるから、こういう感想を抱く機会があるわけで、それはそれで有難いのかも。
「データの見方が、わかっていない人の話」なんて、偉そうなタイトルを付けましたが、自分も わかっていない側になる可能性もありますからね。
以下は余談。
動画では、飲食店が苦境に陥り、「みかじめ料」が取れなくなった暴力団の話が出てきます。
「風が吹けば桶屋が儲かる」じゃないですが、こういうのもデータを見る上では、必要な背景かもしれませんね。
単純に、「不景気で犯罪が増える」というのは簡単。
でも、実際に犯罪に走っているのは誰なのかで、問題の背景も違ってくるでしょう。
飲食店が潰れる
⇒みかじめ料が取れない
⇒詐欺で稼ごうとする
キャバクラやホストを含め、飲食に全振りしている暴力団ほど、キツい懐事情になっているかも。