メモ書き

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30年前の家電が今も当時の価格で販売していたら、売れるのか?

www.nhk.or.jp

上の番組を見ました。
番組内では、次のような発言があります。

「今は2倍とか働かないと、おやじに聞いた単価には到底及ばないです」
「生まれた世代が悪いからじゃないですか。同じ仕事をやっているのに、理不尽ですよね」

電気設備工事をしている男性の言葉ですが、色々と考えさせられるところがありました。

そのまま受け取れば「世代間格差」になるでしょうか。
嫌な言い方をすれば「昔の人は、楽でよかったね」みたいな?

番組の作りとしては、「働く女性がコロナでピンチ」が主題なので、この発言は「男性の収入減によって働かざるを得ない女性」みたいな側面もあるでしょう。
それはそれとしても、「労働価値の低下」という問題は、30年間も給与水準が上がっていないことと、無関係ではないでしょう。

こいつは、いかんな。
何が原因なんだ……。
そんな思いを抱いたのが最初の感想。

media.moneyforward.com

一方で、違った見方もしてしまいます。
「同じ仕事が、30年間も同じ賃金であり続けられるのか」という疑問から……。

例えていうなら、30年前の家電が今も当時の価格で販売していたら、売れるのか?

……我ながら、嫌なたとえですね。
でも、要はそういうこと。
時代が進むにつれ、作業価値は変わるもの。

炊飯器の働きは、今も昔も米を炊く。
家電としての働きは同じであっても、価格は安くなっていくもの。
性能面での改善がされていくもの……。
それは人が行う仕事にも言えるのではないか。

そのキッカケになるのは、誰かの提案。

どこかが「もっと安くできまっせ」と言えば、そこは仕事を受注できますが、業界の単価は下がるでしょう。
安くできる理由が合理的で、かつ利益を上げられるものなら、発展と言えるでしょうが、やせ我慢なら終わりに向かうだけ。

また、「その作業に大金は出せない」という依頼者が増えれば、作業者は低い単価で仕事をするしかなくなる……。

需要と供給。
就業者人口の増加による競争激化、減少による作業の稀少化。
イノベーションによる価格変動。

そういった事情を考えると、何十年も「同じ単価」が継続されるというのは、幻想に近いもののような気もします。

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経済成長が資本主義の前提であるなら、成長しない分野は割を食う。
利益を上げ続けるには、次の技術やサービスに投資をし、新しい価値を生み出していくしかない。

その投資の必要性も、「今日、食べるパンが無い」人には、無駄な金にしか映らないでしょう。

「宇宙開発に何億も使うなら、貧しい人に金を配れ」
「軍事費につぎ込むくらいなら……」

こういった批判は、彼らの目線で考えれば正しい。
しかし、後先を考えると、今は大丈夫だから保険を解約する、セキュリティソフトを消す、治水工事に反対する……に近いのかも。

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こんなことを書くと、「もっと番組出演者に同情しろよ」と言われるかもしれません。

反対に、『超貧困JKうらら』のことを持ち出したい人もいるでしょう。

でもまぁ、私がメモしておきたいのは、そういうのじゃないんで、こんなことを書きました。


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ついでに、感想メモ。

「女性が活躍って、政府は言うけれど、全然活躍できてない」という発言もありました。
「一億総活躍社会の実現」の「活躍」って、「みんな、働け」って意味でしょうから、働いてる時点で活躍してる気がします。
「キラキラ輝く」みたいな活躍とは違う「活躍」ですから。

あと、持ち家があるなら、貸し出した方が収入が増える……。
ってなことを書き出すと、なんか言われそうですね。

世渡りが下手だと、「誰も教えてくれなかった」という話の展開になり、そういった教育の必要性が出てきます。それはそれで要りますが、知識には別の側面もあるんですよね。

その知識がゼロサムゲームの場合、知識を持つ者は与えるだけ損をします。
「この方法で稼げますよ」と教えた瞬間、教えられた側もライバルになり、競争が激化する……。
そういう意味では、誰も何も教えないのは当たり前。
教えたら、自分の優位性が消えるもの……。

なのに、自分は何も与えないのに、人の時間をタダで使おうとする人が多かった。
私が関わってきた人には。

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なんだか、話が変な方向に進みましたが、「30年前と同じ仕事の価値」を自分なりに考えてみました。
気持ちの整理をするために。