メモ書き

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2000年代のゴジラが描いたもの

ミレニアムから、ファイナルウォーズまでの感想です。
今までのゴジラ映画の感想は下記の通り。

「記録」として楽しむゴジラ - メモ書き

続:「記録」として楽しむゴジラ - メモ書き

ゴジラで振り返るバブル崩壊 - メモ書き


う~ん、長かった。
2000年代のゴジラに関しては、世界観が続いてるのは釈さんが出てるやつくらいなので、見る順番を気にしなくていいのが特徴かも。
世界観としての共通項は、ゴジラが出現済みの設定。初登場は1作目がベース。

それぞれの制作スタッフの特色が出てる感じで、特にメインとなる女性には、作り手の好みが反映しているような印象を持ちました。
あと、演技がどうも……。


当然のようにネタバレな感想を書いているので、見ている人向けの文章です。
と言っても、まとまりなく書いてるので、誰が読んでも面白くないでしょう。

ゴジラ2000ミレニアム

1999年公開の23作目。
この頃、「ミレニアム」という名が付けられた商品が多かったなぁ~と思いながらの視聴。

冒頭、アンテナでの観測シーンから始まり、専門用語のオンパレードだったので、「今回は科学的な方面を強化しました」アピールを感じました。
とはいえ、海からやってきて、船が被害を受けるという“いつもの始まり”です。

本作では、ゴジラ予知ネットワークが存在するので、既に最初の登場は終えた世界観になります。

展開としては、ゴジラの出現と同時進行で、海底に沈んでいた隕石が浮上し、円盤となって飛ぶ流れ。
この円盤が岩石の塊状態で飛ぶ姿は、ヘドラの飛行形態みたい……。
いや、気のせいです。
で、岩石部分が剥がれた後は、「ナビゲーター(ナビゲイター)」という1986年の映画っぽいUFOデザインに。

コイツが生物としての形を持たないので、ゴジラに興味を持ってコピーしようとする。
そんな話。
名前は、宇宙怪獣オルガ。
本編では聞かなかった気がするけど、クレジットでは「オルガ」とありました。
たぶん、ゴジラ細胞を研究して分かった復元要素「オルガナイザーG1」からの命名でしょう。

ちなみに、コイツの動力源は光。
なもんで、今回の対決はエコ・エネルギーVS核エネルギー。

光が動力源なので、晴れの日に強い。逆に、曇ってると微妙。
対するゴジラさんは、天候に左右されない。
まるで、電力を安定供給できないエコ発電と何かのよう……。

コイツを一時的に弱らせたいなら、ヨウ化銀で人工降雨を……。
まぁ、降った後が怖いけど。

最終的には、やっぱりデカい生物の戦いになって終わり。

時代的なポイントは、パソコンの普及です。
VAIOのノートパソコン、iMac、MOディスクと、当時を思い出す懐かし品が次々に出てきます。
今でいうガラケーっぽい携帯電話が出たのも、シリーズでは最初かな。

冒頭でフィルムのカメラで撮影していましたが、個人的には既にデジカメを買っていたはず。
でもまぁ、まだ画素が全然ない頃なので、フィルムの方が色々と良かったんでしょう。

ゴジラのデザインに関しては、背中のゴツゴツが刺々しくなり、というか遠目だとサンゴを背負ってる雰囲気に。
目が可愛らしいので、リトルが大きくなった流れかなと、勝手に思って見てました。
熱線は、溜めて吐く感じになってます。

東海村に向かおうとしたとき、すぐに停止するよう働きかけるシーンがありました。
東海村jco臨界事故は、1999年9月。
この映画は、同年12月11日に公開。
事故を受けて変更するには日がないでしょうから、何というか。。。

ゴジラ対策としては、自分を攻撃する存在に向かってくるという特性を把握し、攻撃による誘導を試みているので、超音波で操るといった次元に比べればいいです。
今までは爆破系のミサイルだったけど、ゴジラ用に貫通型を用意したというのも、対策している感があっていいですね。対戦車ミサイルより凄いんでしょう、きっと。
人が持てるサイズの血液凝固剤を撃っていた頃が懐かしい。

ゴジラは人が生み出すエネルギーを憎む」「科学の暴走」「怪獣は、俺たちの中にいる」という聴き飽きたセルフが繰り返されるので、個人的には見ている時間が長く感じられる映画でした。

一番ワクワクしたのは、ゴジラの登場でも、街の破壊でもなく、阿部寛の登場でした。
出演者をチェックせずに見てたら、ヌッと出てきて驚きました。

あと、西田尚美さんが気になりまして、見た後に調べて白い巨塔の人かと納得。

 
ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』

2000年公開の24作目。
世界観の長い説明ナレーションで始まる本作。
その姿勢に、子供向けじゃなく、コアな層向けなのかなと思いながら見始めました。

その説明を簡単に書くと次の通り。
ゴジラの登場は1作目と同じものの、首都が大阪になり、原発が永久破棄され、プラズマ発電を開発するも、エネルギーに寄っていくゴジラによって破壊された世界。
まぁ、同じ日本ですけど、歴史が違うパラレルワールドとして、構築しなおしたんですね。

登場パターンは1作目と同じですが、白黒映像の使いまわしではなく、リメイク映像になっています。

ゴジラ映画のドラマパートは、ゴジラに翻弄される複数の人々という感じでしたが、今回は田中美里さんが演じる女性が、人間側の主役として物語の中心にいます。

ゴジラに上官を殺され、その遺志を継いだ戦う女性。
まぁ、「だから、何?」って感じなんですけどね。その設定が無くてもいい内容なので。

「怖い時こそ戦う」みたいな言葉もありましたが、そんな描写もなかったしね……。
手が震えているとか、恐れと使命との葛藤みたいなのもないし。
何より、かつぜつがイマイチなので、そっちにハラハラしてました。「科学技術」が言いにくそうで、大丈夫かなぁ~って。

彼女の良かった点は、腹筋運動後に起き上がる時の姿勢と、髪をストレートロングにしてなびかせた姿。個人的には。

その彼女の相手役ポジションに、秋葉原のジャンク屋にいる発明家がいるんですが、初登場は子供に手品を見せるシーンでした。
でも、そのからくりは小さなロボットで、彼女が種明かしをしたら、子供たちが「なんだ」と言って去っていきます……。
いやいや、手品よりロボットの方がすごくて、驚くだろ? このシーンで何を見せたいの? 彼女の洞察力? ロボットを作れる腕? もっと違うスカウトシーンにした方が、しっくりきたんじゃない?

でもって、彼がゴジラ対策の特殊機関に迎えられるわけですが、どうも某ネルフを彷彿と……。
まぁ、伊武雅刀さんに関しては、この映画の後に放映される2003年版の白い巨塔の印象が強いせいか、そのうち「財前君」とか言いだしそうな顔に見えて仕方なかったです。

この機関の目的は、ゴジラの抹殺。
真の目的は、エネルギーに寄っていくゴジラを消すことで、密かに開発していたプラズマ発電関連施設を見つからないようにすること。

抹殺方法は、マイクロブラックホールです。
ゴジラを倒す兵器は、ゴジラ以上の脅威になる。
その1作目のテーゼに対し、本作の科学者のノリは軽いです。使い終わったら、設計図ごと焼却と、後で言っていますが。

この装置を試験運用した際、時空の歪みができて、それ絡みでメガギラスの卵が……。
でもって、それを拾った少年が……となるのですが、その事実を知ってなお、あれを使おうとする辺り、赤字になるのを知っていても、GOサインが出された公共事業はするという……以下略。

個人的には、この卵を拾った昆虫博士と呼ばれる少年の親が気になりましたね。
母親は出て来るのに、父の話題も出て来るのに、その父は謎のまま。なので、そこが気になるのです。どうでもいいポイントですけど。
ちなみに、母親役は かとうかず子さん。
だからって、そのまんま東ではないでしょうけど。

メガギラスの卵のユニークなところは、大きな卵の周りに小さな卵が付いていて、その小さい方が孵化してデカい卵に栄養を持ってくる点。
デストロイアの集まって巨大化より、いいですね。
序盤では、小さな謎の怪獣に人を襲わせ、パニック映画にして恐怖心を刺激したい。
後半は、巨大な怪獣を出してゴジラと対決させたいなら、流れとしてはキレイです。

ただ、原始的なトンボなのは わかりますが、ヤゴからの脱皮。
尻尾でのエネルギー吸収は、まるでドラゴンボールのセルを……というのも、カップルの襲撃カットが、妙に思い出させるんですよね。

正直、前作もなんですが、前に何処かで見たのを見ているような感じになることがあります。まるで、好きな作品の良いシーンを集めてみました動画を見ているみたいな。
あと、怪獣映画からSFショーになったなという感じもあります。ドラマではなく、ショーです。

あと、マイクロブラックホールが好きになれない。
どの地点まで進むのか、その調整をどうしているんですかね、あれ。

ロックオンした場所までの距離を算出するとも考えましたが、後半は引力に引っ張られて落下中の発射ですしね……。
というか、燃料切れで落下って何? 人工衛星なんでしょ? 重力と遠心力の釣り合う場所に打ち上げたんじゃないの?

打ちあげたら、どこへでも撃てるみたいなことを言ってたけど、周回軌道によるんじゃないのかとか、色々と考えました。そういうこと、あまり詳しくないですけど。
あと、落下時に「摩擦熱が」と言っていましたが、大気圏突入時の熱は断熱圧縮。空気が押しつぶされることで起きるらしいですね。

とまぁ、不満点を書いたので、個人的なお楽しみポイントを幾つか。
逃げる人々ですが、渋谷にコギャルがいました。ガングロメイクです。
ルーズソックスも見れます。自然にいたのではなく、手配した感がありますけど。

他に気になるのは、バイク用リュックです。
なんて言えばいいんでしょう?
ハードシェルのバックパック? 一時期はやった金属製のアレです。
でもって、消費者金融の看板の多さ。アコムだらけです。

メガギラスの高速移動は、良かったんじゃないですかね。
スピード重視系の怪獣がいても、いいと思います。個性があってね。

グリフォン(飛行機)」をゴジラにぶつけた後、脱出した彼女が市民プールに落ちるのは、なんか可笑しかったです。
緊迫した映像が続いたのに、急に「市民プール」の文字と、そこにバシャーンと入る絵は、「彼女は無事だよ」アピール以上に、茶番劇っぽさを増していて好きです。一周まわって。

今回、原始的なトンボ「メガネウラ」モチーフのメガギラスだったからか、極楽とんぼがキャスティングされています。今となっては、二人そろって見ることはないかも。
他には、山寺宏一さんのオッハーが見れます。

本作では、完成したフジテレビ新社屋前で戦うので、いわば新社屋のお披露目映画。
前は、建設中でしたからね。

 
ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』

2001年公開の25作目。
SFショーからの怪奇ホラー。
ゴジラは、伝説やホラーの素材としても使えることを証明した作品です。たぶん。
ビジュアル的には、白目のゴジラが怖い。

演出的には、怪獣に遭遇するモブが主役の映画。
ゴジラが近くを歩くことで、家の中が縦に揺れ、皿が落ちるのは、よく撮ったなぁ~と。

さらに、二度もゴジラに遭遇する篠原ともえの美味しい役どころ。
構図としては、ゴジラの真下から見上げるアングルは良かったですが、再利用されると微妙。
盛り上がる波も二度ほど使われていましたが、こちらは違和感も……。
なんか、見ていて心地よくない。

日常の中に、突如として現れた怪獣との遭遇を丁寧に描いた。そんな印象があります。
逃げるだけじゃなく、写真を撮ろうとする人もいて、どこかコミカル。
一方で、被害に遭った人が病院に行き、治療を受けている姿を描くのは、珍しい気も。
前作にも、入院シーンはあるけど、大勢の被害者は映していないという意味で。

あと、前作に出ていた人が、違う役回りで出ているのが、興味深かったです。
まぁ、他作品との繋がりのない映画なので、同じ役回りは無理なんですけどね。

独立した一本ですが、過去にゴジラが現れていて、1作目のような倒し方をしたけど、その事実は伏せられている世界観となっています。

「かつて、ゴジラに襲われた」という設定にすることで、ある手間が省けます。
1作目やシン・ゴジラ、海外版ゴジラのように、謎の怪獣が現れたとなると、「ゴジラ」と呼ぶに至る過程が必要です。
面倒ですからね。ああだこうだ理由をつけて、ゴジラの由来を考えるのも、説明するのも。
その手間が省けるので、前にもいた設定は便利。

演出面での主役は襲われるモブと書きましたが、ストーリー上の主役は新山千春さんが演じるテレビ番組の制作スタッフ。
彼女の父親が防衛軍に所属しているので、親子の話としても見れます。

さらに見方を変えれば、胡散臭い番組を作っていた彼女が、生中継で前線を報道し、戦う人々を称える。その姿勢に、大手マスコミに対する ある種の皮肉さえ感じます。

前作は戦う女性、今回は働く女性が主役ですが、それで女性の社会進出がどうとか、言うつもりはありません。
たぶん、メインターゲットである男性ファンにとって、キレイどころが目立った方が嬉しいみたいな感じでしょう。

メカ、怪獣、女性と、男が好きなものを揃えたわけです。
でもって、水に濡れさせる。
前回も今回も、海水に浸ける。
そして、濡れて肌につく衣服。
体のラインを出すことでスケベ心を刺激し、それで絵を持たせるのは、アクション映画が得意なイメージがあります。
ゴジラシリーズでは、超能力少女がマフィアに捕まり、ベッドに拘束されているシーンが、一番エロく見えましたが……。

戦いの興奮とエロは似ているらしく、脳は錯覚しやすいとか。
「ケンカした後にセックスすると、気持ちいい」とか言うカップルがいるのは、そのためみたいな話も聞きます。
戦いの中でのエロス。それは、戦いの高揚感を増す意味があるのかも。
な~んて書いた後に言うのもなんですが、本作の彼女の場合はエロくないです。まったく。
「髪が濡れた方が、キレイに見えるんじゃない?」くらいの感想しか抱きませんでした。

そんな彼女がテレビクルーとして追うのは、古代に国を護った聖獣の伝説。
何と、宇宙怪獣としてヒール役だったキングギドラが、人類の味方側に!
とくれば、ゴジラは恐怖の対象であり、完全なるヒール役。戦争のメタファーでもあります。

聖獣には、モスラとバラゴンもいます。
……バラゴンって何?
この映画の為に、新しく作ったのかと思いましたが、『怪獣総進撃』にも出ていました。
まったく覚えていないし、印象にもない……。

怪獣としてのデビュー作は『フランケンシュタイン対地底怪獣』らしいですけど、私にはキング・シーサーとアンギラスを足して二で割った印象。今となっては。
特技は穴掘りと、モゲラを思い出します。モゲラの方が後なのに。

でもまぁ、覚えなくてもいいです。
映画のタイトルにも入っていませんし、本編では ずっと「赤い怪獣」呼ばわりなので。
あまり赤くないんだけどね……。
後半に光の粒子となって出てきたときには、「そういや、いたっけな」と懐かしくなるくらい、存在が希薄。

モスラにしても、早々に成虫になって、大して活躍せずにやられたような……。
前田愛前田亜季が出たときは、双子だから歌うのかと期待しましたが、どうやら単なるサービスだった模様。一言で言えば、台詞無しのモブ。
「私たちはコスモス」とか言ったりしません。

復活時点でのキングギドラ(この時点ではギドラ)も、スゲー弱いです。
「首の付け根が面白いなぁ~」と思ってみていたら、あっさり負けて「おいおい」な感じに。
その後、モスラの光の粉が降り注ぎ、覚醒した感じになっても、イマイチ強くない。歴代の中でも、弱い部類かも。
というか、キングギドラは水中戦に向いてないよね。
飛べる利点を捨てたら、ダメ。3つも頭があるんだから、ちゃんと考えてほしい。
それとも、船頭多くして船 山に上るですか。

最後は、特殊潜航艇がゴジラ胃カメラとなり、傷ついた箇所を中から攻撃し、熱線漏れで破裂みたいな感じだったかな。

何というか、怪獣が好きな人向けに、怪獣プロレスを見せてる映画という印象。
序盤のゴジラ対バラゴンで、報道ヘリに乗ってる人が実況していますが、あのシーンが本作の縮図かも。

怪獣と書きましたが、モスラが「巨大昆虫」と呼ばれる場面もあり、なんか「怪獣失格」扱いみたいで可笑しかったです。
わかっちゃいるけど、怪獣扱いしてよ……。

撮影された当時の記録として気になったのは、まだ存在する暴走族。
お手本のようなヤンキーによる煽り運転
彼らが、年をとっても昔のままだから、問題になっていたりして……。
新潟のトンネル崩落で中越地震を思い出しましたが、この映画の3年後なんですよね。

鹿児島では、パーリーピーポーの商店略奪、番犬を沈めるという胸糞なシーンがあり、そこに登場するモスラさんを引き立てています。

ヤンキー、パーリーピーポーと、オタクの敵(?)が続いたので、キングギドラの復活には一体どんな人がと期待していたら、自殺志願者でした。首吊りをネクタイでかよ……。

ガラケー、ホームページのアクセス数を気にする警察、チューヤンと、当時を思い出させる要素が幾つかあります。
魔女伝説の映画で村に人が来るように……という話題もありました。
よく知らないのですが、1999年公開のアメリカ映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のこと?

一番、懐かしいと思ったのは、ガラケーの画面で見れる流れる文字。マーキーですね。
タグはもう非推奨ですよね、とっくに。 えっ、廃止?
コレ⇒<marquee>流れる文字</marquee>

全体を通しての感想ですが、なんか長く感じますし、実際に長いです。
映画が1時間半もなかった頃の方が、展開が早くて見やすかった。
そう思いましたが、もしかしたらBGM効果かもしれません。

本作では、よく使われる定番の曲の出番が少ないです。
それどころか、BGM自体を使うシーンも限られています。
いつもの音楽に乗れば、時間が過ぎるのも早い。それがないので長く感じる……。

でも、前作も長く感じたんですよね。ミレニアムもです。
続けてみたので、飽きてきたんでしょうか……。
それとも、旧作は古い映像だから資料として楽しめたけど、それがない新しい映像だからでしょうか。
いやいや、必要以上に力んで喋る一部の役者の演技が……。

でも、あと2作。最後まで見るつもりです。
※ 『ゴジラ×メカゴジラ』は、一年以内に見たはずなんで、今回は見ない。


ゴジラ×メカゴジラ

2002年公開の第26作目。
前に金曜ロードショーで見たので、今回はパス。

 

ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS

2003年公開の第27作目。
第26作目から続く世界観。
前作を見たはずなのに、メカゴジラの名前しか覚えてなかった……。

1作目みたいな倒し方をして、残った骨でアレを作ったの? へぇ~……。
ヤバいくらい覚えてない……。
前作のドラマパートに関しては、小さな女の子と約束してるシーンを何とか思い出す程度。

で、本作の感想を一言で言うなら「墓を掘り起こすな」であり、1作目という掘りつくされた墓への別れを暗示させる内容に。
そう勝手に解釈しました。次で終わるしね。
死骸となって漂着した怪獣カメーバも、調べたら『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』に出てた奴らしいので、掘り起こし感はありますね。

別の感想としては、「人類は、メカモスラを作るべきだった」というのも。
よく考えてみてください。
ゴジラの勝率が高い怪獣は、モスラです。
突き詰めれば、あの糸と鱗粉があればいい。

モスラの最大の欠点は、それが同時に存在しないこと。
幼虫から成虫になれば、糸は失われる。しかし、鱗粉が得られる。
モスラほど、成長に葛藤がある怪獣もいないでしょう。

その葛藤があるから、映画のタイトルに入ってる回数が多いのかも。
単純に、人気だから出番を増やされたとも考えられますが、個人的には「蛾なのに、人気って……」と懐疑的になってしまいます。
人気なら、フィギュア化も多いだろう。でも、調べるのもアレだし、検索でヒットする件数でも見てみよう。そう思い、チェックしたのが次の数字。

ゴジラ フィギュア」で約 12,600,000 件
キングギドラ フィギュア」で約 1,110,000 件
モスラ フィギュア」で約 789,000 件
メカゴジラ フィギュア」で約 773,000 件
ジェットジャガー フィギュア」で約 568,000 件
ラドン フィギュア」で約 456,000 件
デストロイア フィギュア」で約 402,000 件
ビオランテ フィギュア」で約 247,000 件
ガイガン フィギュア」で約 177,000 件
ヘドラ フィギュア」で約 148,000 件
アンギラス フィギュア」で約 141,000 件
「メガロ フィギュア」で約 122,000 件
「ミニラ フィギュア」で約 75,500 件
「エビラ フィギュア」で約 47,400 件
「モゲラ フィギュア」で約 46,700 件
「メガギラス フィギュア」で約 34,400 件
「クモンガ フィギュア」で約 9,890 件
「スーパーX フィギュア」で約 36,400,000 件

結構ヒットしているので、人気なんでしょう。
多くの作品では小美人がセットで出てくるので、そういうバックボーン的な魅力もあるのかも。
インファント島なんかは、当時の南の島への憧れみたいなものを感じましたが、実際は どうなんでしょうね。
検索してたら、「南洋群島とインファント島 - 新潟大学」というのが出てきて驚き。

話をメカモスラに戻します。

ゴジラが脅威だ ⇒ 同じゴジラを作って対抗だ」
わかりやすい発想ですが、より費用対効果の良い対抗策を考えるなら、ゴジラの形状を真似る必要性はないし、武器を似せる必要もない。
効果的に倒すことだけを考えれば、有用だったモスラの糸を開発した方がいい。
それに、鱗粉を研究し、熱線対策をする。

しかし、それでは大きな問題が発生してしまいます。
完璧に対策できたら、ドラマになりません。
ゴジラ出現、倒して、終わりです。

いや、よく考えたら、本作も その流れでした。
ゴジラの脅威を排除するため、それ以上の脅威に手を染めるか否かの葛藤。
その脅威によって起こる心境や関係性の変化。
そういうのが あまり感じられないせいか、出てきて戦って終わり。
出てくるのが同じ怪獣なので、戦いも過去作で見た感じで、映像が新しいだけ。
そういう見方になると、退屈してしまっても無理ないかも。

当時を振り返る意味での個人的お楽しみポイントは、六本木ヒルズという単語に「すでにあったんだ」とか、何作も出てるけど変わっていない中尾彬とか、そんなところ。

 

ゴジラ FINAL WARS

2004年公開の28作目。

もしかして、人間同士の方が戦ってない?
そんな映画。

人間同士って言っても、ミュータントだったり、宇宙人だったりするんですけどね。
でも、驚いたのはドン・フライ(吹き替え:玄田哲章)かも。

今まで、海外の登場人物は英語字幕、もしくは外人っぽいメイクをした日本人が演じていて日本語を話す、日本語ができる海外タレントが日本語を話すでしたが、吹き替えで来るとは……。
ついでに、ケイン・コスギも吹き替えてほしかったです。なんか、喋ると緊迫感が薄れるんで。

人間同士の方が戦っている印象が強い本作ですが、出てくる怪獣も戦いも多いです。
主に昭和の怪獣が暴れている感じで、長いことファンをしている人向けなんだろうなと。
まさか、ヘドラまで出て来るとは思いませんでした。
いや、それを言うならエメリッヒ版ゴジラでしょうか。
ディスるために登場したような感想を見た記憶がありますが、こんな感じだったんですね。勝手に、複数がわらわらと出てきて、踏まれているのかと……。

錆びついた感じのガイガンを見たときは、これが暴れだして再びゴジラが血を流すのかと思いましたが、あまり強くなかった印象。
モスラの羽が切られるシーンは、ようやく見れた感もありますが、急な高速移動で相手を破壊するのは、一体どこで攻撃すれば ああなるのかという疑問も。

「長いことファンをしている人向け」と言えば聞こえはいいですが、過去作をあまり見ていない状態だったら、内輪ネタで盛り上がる感じに受け取れたかもしれません。

バトルに関しては、序盤のマトリックスっぽいカメラぐるぐる撮影で嫌になったり、切り替えの早さに目が疲れたりしたので、「あぁ、こういうアクションがしたかったのね」と、方向性が自分に合わない感じがしました。
なので、序盤は本当に苦痛でした。ここでやめてたら、クソ映画としか書けなかったでしょう。

終わってみれば、怪獣祭りとしての楽しみ、超人格闘対決としての面白みは、あったんじゃないかと。
でも、振り返ってみても、やっぱり序盤のテラフォーマーズ感は拭えない。
あの映画、見てないけど、予告を見る限り近い感じ。

にしても、海底軍艦轟天号妖星ゴラスと、個人的には「どっかで聞いた名前」が続き、昭和の特撮を懐かしめる人には、私とは違った映画に見えたんだろうなと。
そういうのに興味がない人からすれば、きっと子供のおもちゃが暴れる映画です。

X星人は瞬きしない設定、脚フェチかと思えるような撮影アングル、シートベルトをするミニラ、少林サッカーっぽいアンギラス・ボールの怪獣サッカー、怪獣ジェットストリームタックで踏み台にされるアンギラスと、そういう点が個人的には「おっ」と思ったところでした。
「おっ」の種類が、どれも違いますが。

あと、エビラを倒した後に「エビは嫌いなんだよ」と言ったのを見て、「エビって言うか、ザリガニだよね」と、前と同じ感想を言いたくなりました。

1980年代のSFアニメのような冒頭ナレーションから始まり、「昨日の自分を超える」というセリフが出て、ボディーガードする対象の文句を言っていたら本人が後ろにいるパターンを見せられた時には、これは楽しめない映画かもと心配しましたが、思っていたよりも楽しめました。

小さな怪獣の味方をしたことで、それが大きな怪獣の攻撃停止に繋がる。
ラストのミニラは、ベタだけどベターな使い方でした。
その起点となるのが、子供という点も含めて。

それだけに、もっと序盤に掴みが欲しかったかなと。
今後の展開が気になる要素が少ないまま、意識高い系の不要な人間アクション、いろんな怪獣の世界での暴れっぷりを見せられても、それだけだとなんだかねぇ……。