メモ書き

****

「メガバンク最終決戦」の感想

メガバンク最終決戦」というドラマの感想です。

https://www.amazon.co.jp/dp/B07BC59FHR/

タイトルだけ見ると、特撮もの映画みたいですが、普通に銀行が舞台のストーリー。
作品内の銀行名は、東西帝都EFG銀行と、三菱UFJ銀行みたいな名前。

三菱UFJも、私が口座を開設した時の名前は三菱東京UFJ銀行でした。
同じくらい長い……。

東西帝都EFG銀行は、帝都グループの帝都銀行が元。
そのあとに傾いた東西銀行、関西のEFGなどを吸収した流れ……。
でもって、出身行によって社内ヒエラルキーが存在。

う~ん。

これは、フィクションですか?

冗談はさておき、原作の小説を書いた波多野聖氏は、その業界にいた人なので、現実に近い設定にした方が書きやすいのでしょう。

物語の筋としては、その銀行の買収劇ですね。
乗っ取り側が勝つか、現経営陣側が勝つか……。
そういう展開の前に、どこが買収を有利に進めるか……。
さらには、国債の暴落を仕掛けて云々と、盛り上げる要素たっぷり。

話は二転三転しますが、一貫して「投資の神様」の存在が語られるので、「インサイダー、ダメ絶対」と、「自分を信じる」というディーラー向けの言葉が、テーマとして印象に残りました。

今となっては懐かしい「TPP」や「東京オリンピック」に絡む金の話も出てきます。

このドラマは、2016年にWOWOWで放送されたみたいですけど、その年にアメリカの大統領になったトランプから、「TPPは、最悪の協定だ」と言われるのを考えると、「あぁ、当時はTPPが日本の農業を滅ぼす」論が主流だったかなと、妙な気持ちになります。

東京オリンピック絡みで金が要るからと、40年もの国債を買わせられる銀行。
それと引き換えに、帝都銀行の名前に戻してと頭を下げる頭取。
……なんていうか、日本的ですよね。

作中で何度となく叫ばれるグローバリゼーションも、コロナ禍にあっては「お前ら、未来を知らないから、そんなことを言うんだ」とさえ……。

そう、時事問題を入れてしまうと、別方向に世界が進んでしまった場合、「なつかしさ」が先に来てしまう。ソ連は崩壊したのに、100年後のソ連が出てくるような違和感。
その怖さを思い知らされてしまった。そんな感想を抱いてしまった作品です。

ストーリーとしては楽しかったのですが、変に落ち着きのないカメラワークと、心を病んでいる家族の描写が鬱陶しく、その辺が興をそぐんですよね。

個人的には、ギラギラした戦いだけを見せてほしかった。

主人公ポジションは、東西銀行出身の現役ディーラー専務。
そのサポートに就く若手は、ヒエラルキー最下層出身者で、第二の主人公といったところ。

先の病んだ家族は若手の妻なんですが、羽毛だらけの部屋のシーンがしつこい。別に、彼が独身でも話は進んだろうに、なんで……まぁ、いいや。

それを差し引いても……。
とは書けないですね。
あのカメラワークで酔わない人で、買収劇が好きな人なら、楽しめるんじゃないでしょうか。

* * *

以下は、余談。

確か、東西帝都EFG銀行の株価は、1株200~400円で推移していたはず。
メガバンクで、この価格帯は……。

8316 三井住友フィナンシャルグループ 2,902円(発行済み 1,374,040,061株)

8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ 414.1円(発行済み 13,581,995,120株)

8411 みずほフィナンシャルグループ 132.9円(発行済み 25,392,498,945株)

※ 価格は、2020/08/07の終値

このドラマを見る前に「マージン・コール」という映画を見ていまして、「なんか、すっきりしない終わり方だなぁ」と思っていたので、本作の結末は わかってはいても落ち着くなと思った次第です。

マージン・コール」のあとに、映画の「ハゲタカ」も見たんですけど、こっちはテレビドラマ版を見ていないと、わからない箇所が多そうなので、感想は書きづらいですね。