何かと話題にされる中小企業の生産性。
中小企業者の定義
製造業その他:資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
改めて定義を確認すると、製造業は上のような感じ。
国内の比率は、次の通り。
中小企業は、我が国421万企業のうち99.7%を占める。
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/chushoKigyouZentai9wari.pdf
生産性の計算方法に関しては、前に取り上げたメモがある。
で、気になっていたことのメモ。
それが「解雇しづらさ」と「中小企業」の話。
* * *
42ヵ国中28位。世間的なイメージとは異なり、日本は世界でも「解雇しやすい国」に分類されるといっていいでしょう。
えっと、まず……。
順位付け的には、解雇しやすい国という分類。
とはいえ、解雇しにくさが高いのは、チェコ、トルコ、オランダ、ポルトガル……。
問題は、解雇しやすさ、解雇しにくさが経済に与える影響。
少なくとも、「You're fired!」のあとに、荷物を入れた段ボールを抱えた社員が、大量に出てくるような社会じゃない。
法的なアレコレではなく、社会的な“慣習”として「社員は家族」みたいなノリがあり、解雇しづらさに繋がっているとしたら……。
さらには、健康保険やら労働組合やら徴税やら、業界や国単位でケアせずに、会社に任せている点を見ても、他国よりも会社が個人の人生に及ぼす影響は大きい気がする。
前に比べ、転職が当たり前になってきたしても。
ってなことを書いて、何に触れたいのかと言えば、会社側の都合。
「人員整理」がしにくいなら、稼げない部門の発生後は、雇った社員の再教育・再配置が必須。
コストを気にすれば、採用は慎重になり、不採算事業からの撤退も遅くなる。
「新たに稼げる場」を与えないと、使えない社員は「出費」でしかないから……。
業種によっては、忙しい時期と暇な時期が極端なところもあるでしょう。
「人員整理」がしやすいなら、必要な時だけ増やし、要らなくなれば減らせる。
だけど、そんないつ切られるかわからないところじゃ長く働けないし、スキルも磨きづらい。
その点、必要な分だけ外注するスタイルなら、新たに雇う必要もなく、キャパオーバー分だけ発注すれば事足りる。
問題は、どこに発注するか。
そう考えると、中小企業の便利さが出てくる。
大手になると、組織が大きい分「小ロットは嫌です」みたいな発想になるかもしれないので、小回りが利く中小企業に仕事が回る。
中小企業側も……と書いても、伝わらないかな。
大手企業「Aが500いる。うちでの生産は、450くらい。50増やすために増員しても、半年後にはAは450で済む。雇いたくないなぁ」
中小企業「うちなら、Aを50用意できますよ」
大手企業「でも、半年後には頼まなくなるよ」
中小企業「半年後には、他から受注するんで」
……そんな感じ?
解雇できない分、外部への発注で調整しているとしたら、社会的な生産調整の意義もあるでしょう。誰かの仕事人生を不安定にしない仕組みとして。
一方で、スケールメリットは享受できない。
これが欠点として映るのでしょう。
ただ、だからって合併して大手にクラスチェンジしたとしたら、事務作業系人材の必要数は減り、結構な失業者を出すことに……。
経理は10人もいらねぇ~よ的な感じで。
あとはそう、規模が小さいと研究開発に費用を回せない。
この辺は、産学官連携でカバー……って、役所が絡むと機能不全に陥るんかもしれないよね。資料の提出という煩雑な業務と、理解の無さで。
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物事は一長一短。
世界に失業の嵐が吹き荒れたとき、どんな風に耐えられ、どんな風には飛ばされるのか……。
それを注視したいところ。
かつてバブル華やかなりし頃、民間の給与が良かった時代に官僚になった人々がトップに立っているとしたら、民間への負の感情があって……。
それ以前に、その時代時代で賢い人が就く業種というか、人気業種は変わってきたのを思うと、バブル期に就職した公務員って、どんな人が多いんでしょうね。