フランスのドキュメンタリーの感想です。
内容は、軍拡が叫ばれていた頃に、核ミサイルの配備に反対した女性たちの活動記録。
タイトルのグリーナムコモンは、イギリスのバークシャーにあるグリーナム・コモン空軍基地のこと。
ここに核ミサイルが持ってこられるのを反対し、基地の周りにキャンプを張ってアレコレしています。
反対する歌を歌ったり、互いに手を繋いで基地を取り囲んだり、基地に侵入して踊ったり、基地のゲートを自転車鍵で施錠したり……。
当然、取り締まりの対象になるので、逮捕される人も出てくる。
それでも続け、世界が軍縮の流れになった際、撤去されるミサイルを見て「自分たちの成果だ」と思ったという感じの内容。
※ 軍縮の最たる理由は、予算の問題だと個人的には思いますが、それは置いておくとしましょう。
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以下は、関係者のその後。
レベッカ・ジョンソンは「ICAN」=核兵器廃絶国際キャンペーンの創立メンバーとなった
ビーバン・キドロンは映像作家になり、子どもの権利保護の活動を行っている
グウィン・カークはジェンダー、人権、環境問題の研究者になった
クレア・ハドソンはジャーナリストを続け、BBCで働いている
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番組のスタンスは、活動に参加した人を肯定的に捉えたものです。
ですが、個人的には彼女らに好感を抱くことはなく、不快感の方が強かったですね。
やっていることを見れば、夜中に不法侵入して騒ぐとか、軍人の仕事を邪魔しているだけなので……。
でもって、驚くべきなのは年月。
かなり長い間、あの場所でキャンプをしていたわけです。
人は生きてるだけで金がかかるのに、どうやってキャンプ費用を……。
そういう疑問を抜きにしても、あの場所で費やす時間の膨大さを考えるに、職業人としての経験やスキルの乏しい人を生むキッカケになってはいないか。
それでいて、騒いで問題を発生させれば稼げるという成功体験にしていないか。
「経験やスキルの乏しい人」が続けている現状を見て、「経験やスキルの乏しい人」でも問題ないなら、「自分も」と参加者が増えていたとしたら、それは大きな社会的損失になるのではないか。
優秀な何かになっていた人を叫ぶだけの人に変えてしまってはいないか。
……ということを考えさせられました。
「女性の権利」系のドキュメンタリーとして見たとしても、例えばそう「RBG 最強と呼ばれた女性判事 女性たち 百年のリレー」あたりと比較すると、取材対象に肩入れし過ぎていて、取材対象のマイナス面を伝えきれていない感が強いですね。
伝えきれていないじゃなくて、伝える気がないか、気づけていないくらい。
戦争で人手不足になり、軍需工場で女性を雇うようになったのが進出のキッカケとか、この番組ではフェイクとして扱われそうな、そんな感じのノリ。
……という感想を数日前に抱いたのですが、別に書くこともないと思っていました。
なのに、とある動画を見て思い出し、モヤモヤを吐き出したくなったと。
🇬🇧ロンドンのデパートにて、ヴィーガン活動家たちが、酪農業に抗議するために店の商品である牛乳を床に撒き散らした。そして、この活動への参加を呼びかけている。pic.twitter.com/ThBITgwh2U
— J Sato (@j_sato) 2022年8月10日
生産者への蔑視があるとか、そういう言及もあったけど、どうにも迷惑系なんちゃらと同列に見えてしまうんですよね。
やってることは、迷惑行為なので。
どんな信条があろうと、その行為が美しくなければ、そういうもんでしょう。
「軍縮」が攻め込もうとしている敵からすれば「歓迎」されるように、何らかの競合からすれば……いや、やめておこう。