メモ書き

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世界のこれから|ESG投資バブルと脱・脱炭素

間違った者は、間違い続ける――

過ちは受け入れがたく、正当化するために新たな過ちを犯す。
ゆえに、大きな間違いを犯す者は、その前にも間違いを犯している。

* * *

「世界のこれから」を考えるにあたって、流れを見極めるポイントは、上記のようなところにあるのかなぁ~と漠然と思っている……。

そんな私が現状を整理したメモです、これは。

* * *

アメリカの株価を押し上げてきたビッグ・テックも、その成長率に陰りが見えている現状。

感染症の流行で在宅需要が増し、パソコンが売れ、ネットで買い物し、通信しまくった……。
その売り上げの爆増が去年であれば、前年比で見れば成長率は鈍るもの。
「そろそろ外に出た~い」な心境と、ワクチンの普及があれば、次の需要は別の方向性を持つ。

様々な活動が本格的に再開すれば、それだけエネルギーが必要になる。
もちろん、化石燃料も。

であれば、そういった企業の前年比が上がるのは、想像しやすい。

Devon Energy (NYSE:DVN)は米国の独立系シェールオイルおよび天然ガス生産者であり、今年回復したエネルギー・セクターの中でも特に顕著なリターンを創出している企業だ。
エネルギー価格の上昇や世界的な需要の回復の恩恵を受け、同社は2021年に堅調なリターンを記録した。年初来同社の株価は3倍に上昇、S&P 500種指数の年初来リターンが25%である中で、同社は190%と今年の上昇率上位銘柄に君臨している。

jp.investing.com

 


営業利益は前年同期比22%減の48億5200万ドル(約5510億円)で、純利益は前年同期比50%減の31億5600万ドル(約3590億円)でした。
<中略>
成長を維持したのはサブスクリプションサービスとAWSのサービス関連で、サブスクリプションサービスは前年同期比23%増の81億4800万ドル(約9260億円)で、AWSは前年同期比39%増の161億1000万円(約1兆8300億円)という売上でした。
gigazine.net


「これからはエネルギーだ」と、シンプルに考えれば、そうなるでしょう。
しかし、ESG投資ってやつがある。

環境(E: Environment)
社会(S: Social)
ガバナンス(G: Governance)

問題になるのは「E」です。
石油を悪者にしてきたので、化石燃料絡みのエネルギー株は買わない。
意地でも買わない。

そういうマインドがあるとしたら、お金はどこへ向かうのか……。

「EVって、エコだよね」みたいな発想で、テスラに向かい続けるのか?
内燃機関に比べれば参入障壁が低いモーターの分野なら、ライバルも雨後の筍のように湧いてくるだろうに。

予想しやすい近い将来状況として、アジアの工場などが感染拡大でストップし、部品などの流通が止まって、製造できたはずのモノも完成しない状態の継続がある。
それは、神輿のように担がれた企業群が、思ったような売り上げに届かないことを意味するのではないか。
いずれは莫大な富をという皮算用が資金集めに繋がっていたのに、製造できない工場の維持に資金が費やされていくのを見て嫌気がさせば、新たな稼ぎ場に移行したくなるのが人情。

で、ESG投資の旗を振っていた者が、次々に降ろしていった場合、「ちょっと買われ過ぎじゃね?」と思われていたPERが高い株が暴落していく……。

その辺がESG投資バブルの崩壊で、脱・脱炭素の始まりじゃないか……みたいな?

音声SNSアプリ「Clubhouse」のヨイショと、消え去った現状のように。

* * *

もちろん、別の可能性だってある。
エネルギー株の前年比はアテにならない。だって、去年は活動が止まっていたんだもの。
そう言われてスルーされ……。

いや、待てよ。もっとヤバい可能性があるじゃないか。

産油国には、今までのように石油で稼げない日が来るという危機感がある。
だとしたら、石油が収入源となる機会を最大限に生かすはず。

つまりは、増産せずに高く売る。
脱炭素を声高に叫んだところで、石油は必要だ。
石油から作られる製品が膨大にある以上、無くすのは不可能だと言っていい。
「石油をなくそう」と、石油から作られた服を着て叫ぶ人がいるくらいには、あちこちに使われていて、無くすリスクが考えられていない。

そもそも、石油精製工程で生じるものを無駄なく利用している点を……以下略。
この手の説明は面倒そうなので、やめる。

https://pbs.twimg.com/media/FFcwECtagAA603e?format=png&name=small

鴻上尚史 on Twitter: "ネットで拾った画像。芝居をやっていると材木と関係が深くなるのですが、なるほど、こうなっているのかと感動しました。… "

なんというか、上の木材のような話。無駄なく使ってるよ、と。
割り箸なんか、余る箇所だもの。

* * *

増産をめぐる話と言えば、石油備蓄の放出ですか。

日本も初めての国家備蓄放出
<中略>
日本の石油備蓄は9月末時点で国内需要の240日分程度だ。その内訳は国家備蓄が145日分、石油会社などに義務付ける民間備蓄が90日分、産油国共同備蓄が6日分である。
<中略>
放出量は約420万バレルと、国内消費量の僅か1~2日分に相当する規模とする予定だ。米国でも放出量は国内消費の3日分弱である。

www.nri.com

「はい、終了」って感じの量ですね。
これはパフォーマンスの類。

産油国が「もっと備蓄を吐き出さないと、増産しないぞ」となって、備蓄が空になった状態で言い値で売れる状況になったら、産油国としては万々歳かもね。
というか、アメリカがシェールの増産に踏み切ればいいだけなんだけど、反シェールで当選したバイデンには無い選択肢でしょう。

で、今のところ「世界は何もしていない」わけです。

簡単に増産と言うけど、また感染拡大で経済がストップしたら、石油が余ってリスクを背負いこむ可能性だってあるんだから、人様に増産を願うなら相応の態度を取れよって言われるでしょう。

マイナスになったの、去年の話だからね。

 

www.nikkei.com


* * *

ドイツ連邦ネットワーク庁は16日、ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の承認手続きを一時停止すると発表した。これにより、イギリスと欧州連合EU)でガスの卸売価格が17%上昇した。パイプラインをめぐっては、欧州のロシアへのエネルギー依存度が高まるのではないかとの懸念が上がっている。
<中略>
このパイプラインはバルト海底を経由して、ロシア産天然ガスをドイツに直接運び込むもの。モスクワからドイツへの天然ガス輸出量が倍増する一方で、これまで既存のパイプラインの経由地として利益を得ていたウクライナなどを通過しなくなるため、こうした国は大打撃を受けることになる。

www.bbc.com


ドイツ「早くガスを送ってよ。寒くて凍える」
アメリカ「許可なく事を進めるなよ、NATOに加盟してるんだから。ロシアにライフライン握られたら、安全保障に関わるだろうに」

NATOとは何か
北大西洋条約機構NATO)は、世界の主要国際機関の一つで、欧州および北米の30ヵ国が加盟する政治的・軍事的同盟です。
加盟国は、安全保障および防衛の分野において、協力し対処します。この意味で NATOは、政治的かつ安全保障的協力により二つの大陸を結ぶという、ユニークな連係を提供しています。

https://www.nato.int/nato_static_fl2014/assets/pdf/2020/6/pdf/What_is_NATO_jp_20200507.pdf


ウクライナNATO入りたいよ~」
ロシア「ダメだ。そんなこと言うやつは、軍隊で囲んでやる」

www.nikkei.com


ミンスク諸合意? プーチン論文?
どうだろうね。

news.yahoo.co.jp

www.bloomberg.co.jp


何をやっているんだろうね……。
それぞれの思惑は推測の域を出ないけど、ウクライナの国境付近にロシア兵が集結している事実は変わらない。

それを受けて、アメリカはどう動くのか。
私の予想は、何もしない。
またしても、「世界は何もしていない」な感じ。

中国のウイグル問題はジェノサイドだと言いながら、北京五輪の選手は派遣する。
選手さえくれば、実施は可能。
外交的ボイコット? 呼んでない奴が来なくても、何ら問題ない。
ガチでボイコットして困るのは、アメリカのテレビ局でもあるしね……。

そんなこんなで、こちらも「世界は何もしていない」な感じ。

* * *

何もする気が無いから、アフガン撤退が“ああ”なったのかも。
かつて、一緒に働いていた人に、その著作か何かで「(バイデンは)外交的決断は、常に間違っていた」とあったらしいし。
反対すべき戦争に賛成し、賛成すべき戦争に反対した。それは大量破壊兵器のアレに賛成し、対テロ戦争に反対した……だったかな。

まぁ、なんというか、今回も何もせずに事が終わるのでしょう。

日本は?
日本は、日中議連会長だった人が外相になったあたりで、想像できるでしょう。
そういう立ち位置。

www.jiji.com

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あぁ、そうだ。

エネルギーって言えば、カーボンプライシングに触れてなかった。

CO2の排出権取引による売却益15億8000万ドル(約1700億円)だ。この「排出権クレジット」と呼ばれる利益がなければテスラは2020年も赤字であったはずだ。
toyokeizai.net


基準以上のCO2を排出する企業が、基準以下の排出企業から排出枠を買い取る制度。

CO2の排出抑制を考えるなら、企業間で行う税金のようですね。
たくさん排出する会社が、排出してない企業へ援助しているような……。

見方を代えれば、免罪符みたいなもの。

罰金は罪を償う行為と見るか、罪を犯せる権利と見るか。
そんな問いをかけたくなりますが、そういう制度。

これもね、コロナの給付金みたいなもので、もらえなくなったら終わりそう。
スタートアップの支援プログラムのように捉えれば気持ち的には良いですが、再生可能エネルギー発電促進賦課金みたいに捉えると、嫌な感じですよね。

* * *

何にせよ、加速度的に押し進められれば、その反動は大きくなるもの。
大きく左に寄った後は、右に偏るという話。

それを踏まえても、ヨーロッパは反中国に向かうでしょうし、アメリカが先陣を切るでしょう。
一方で、中国のモノやヒトを経済的に欲している事実は変わらないし、今も社会は通常営業していない。

中国にしたって、どう見たって土地バブルは終わりそうだし、少子高齢化は避けられない上に、トップは自分の地位を固めたいから旧勢力は排除したい。
権力者が権力者として強固さをアピールするには、最低でも有言実行。
そこに利益が無くても、メンツ優先で引けない戦いが待っている。

混沌とした状況が目の前にあり、夜明け前の一番暗い時間が近づいている気がするんだけど……。

とりあえず、12月、1月は、米株が上がりやすいというアノマリーを信じ、多くの人が「世界は何もしていない」を信仰し、暴落の2月へのカウントダウンをしているのかも。

dime.jp

 

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