前世紀――
アニメの視聴率と言えば、サザエさん、ちびまる子ちゃんが上位でした。
あの辺だけ二桁が当たり前。
今となっては、二桁は夢……。
一方で、当時も今も、視聴率が低い作品があります。
ガンダム関連は、初代の再放送を除けば5%前後が平均だったような……。
その数値の割には、知っている人が多い気がしますね。
でもって、話題にされる機会も多い。
「サザエさん」で検索して引っ掛かるのは、約9,790,000件。
「ガンダム」だと、約96,900,000件。
それだけ、言及しているサイトがあるってことなんでしょう。
まぁ、単語的にシリーズを網羅しそうなので、作品数というアドバンテージはありますが。
Googleトレンドで比較すると、検索ボリュームは圧倒的にガンダム。
今でこそ、話題にされる機会も増えましたが、「このDVDは見られたものではないので買ってはいけません」と、監督が語ったガンダムが放送していたころ、その話を学校でするのはタブーな感じでした。
話しても“引かれない”キャラをしているとか、相手との信頼関係が重要な危険物的な話題でした。
少なくとも、私の周りでは。
で、そういうのに興味が無い人が、たまたま見て抱いた感想が次のもの。
「見たけど、よくわからない。つまらなかった」
そりゃ、途中から見たら“よくわからない”もの。
そう、ここがマニアック扱いされる作品のポイントでした。
途中から見ても面白いか、どうか……。
サザエさん辺りは、途中から見ても話がわかります。
人間関係も想像がつきやすい。
基本、舞台設定が現代なので、「この世界が、どうなっているか」を知る時間が少なくて済む。
ところが、SFの類は「ここは、どんな世界か」を知る必要がある上に、作品固有の名称を幾つも覚えなくてはいけない……。
専門用語を覚えて浸るのが好きなら別ですが、カタカナの偉人名を覚えるのも嫌な人だと、生理的に無理なジャンルになるでしょう。
そう、覚える作業量、把握する作業量。
同じ名前であっても、メジャー作品はドラクエで入力できそうな長さ。
4文字以内。
対してマイナー作品は、名前が無駄に長い……。
しかも、特徴的な顔立ちとかを避け、リアリティを大事にした感じの作品だと、似たようなキャラばかりで判別が困難。
そういった“不親切さ”が、マイナーがマイナーたる所以。
* * *
なのに、今は風向きが違う。
話題として、隅に追いやられていた作品群が、メインストリートに出てきている。
あの頃、「AKIRA」を知ってる奴は、クラスに1~2人だった。
それが、国際的なイベントの演出で検討されていた……。
ガンダムだって、巨大な立像が動くまでになった……。
有名人が「好きだ」と公言するようになった……。
この辺の変化をどう見るのか。
いろんな意見はあるでしょうけど、私は視聴スタイルの変化が大きいと思っています。
かつて、「途中から見ても“わかる”」が、メジャーな条件でした。
それは、テレビという放送されて おしまいの媒体だったので、最初から見ている人は稀。
途中から見ても面白くないとダメなので、一話完結の方が広い層に響きやすい……。
大河ドラマや連続テレビ小説のような例もありますが、ああいう局が全力で宣伝をする上に再放送が約束されたものと、微妙な時間帯に放送する番組では状況が違っていたでしょう。
そこに「ビデオ」が登場し、「最初から見る」が容易になりました。
「途中から見ても、面白くない」で終わっていた人が、最初から見て入っていきやすくなったのです。
そして、動画配信。
見たいときに、見たい場所から見始める。
最初から見ているので、“よくわからない”が減る。
わかるようになれば、好きになる人も増える……。
そんなところかなぁ~と。
もちろん、最初から見たところで「つまらない」と思う人はいるでしょうし、何度見ても楽しんでいる人もいるでしょう。
昔は楽しんでいたけど、今になって見るのはキツい人も……。
私も、今から見るのは しんどい作品が増えました。
* * *
だからなんだって言われると困るけど、メジャーとマイナーの境目の1つって、これじゃないかなぁ~って思ったというメモです。
そして、消えていくであろう「前回までのあらすじ」への何か。