9月3日。
菅首相が、自民党の総裁選挙に立候補しないことを表明してから、日本株が上昇トレンドになりました。
これを書いている時点で、日経先物は-400くらい。
つまり、月曜日には調整するんじゃないかと判断され、金曜日の取引が終わったと。
で、上がった理由の考察と言いますか、いろんな意見をメモしてみました。
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「菅首相が辞めて上がるんだから、多くの人が退陣を望んでいた」
シンプルな回答で、発言しているのはアンチの人が多い印象。
株の取り引きをしている人で、こういう主張の人は見ませんでした。
株をやってる人で多かったのは「菅ちゃん、控えめに言って最高」みたいなやつ……。
携帯料金の値下げで、携帯キャリアの株価が下がったときと同じノリ。
「政権交代が起こらないから、リスクが軽減した」
上のロイターの記事にあるように、支持率が低くなっていた首相が代わることで、次の衆議院議員選挙で与党が大敗し、政権交代や不安定化に繋がらなくなったという見立て。
株価は、半年くらい先を予想して動くもの。
その性質上、市場は不確実性を嫌う。
「この会社の業績は伸びそうか」を考えて買う場合、手っ取り早いのは「業績」と「資産」を見ること。
「この会社は自己資本が多くて、キャッシュもあって、資金繰りには困っていないはず。売り上げも伸びてるし、利益率もいい。将来的には、もっと稼いでいるはず」なら買い。
こんなの予測をしようとした際に、「政策の影響を受けそう」という要因があると、二の足を踏むわけですよ。
ところが、「政策に大きな変化は無さそうだ」となれば、「今」の延長線上に未来を予測できるわけです。
これが、政権交代が起こらない場合のリスクの軽減の1つではないでしょうか。
あとは、ご祝儀相場。
主に株式市場などで使われる言葉で、新年相場のスタートや新たな政権の誕生など、大きなイベントをお祝い(期待)して買い注文が入り、相場全体が上昇することを指します。
政権交代が起こらない可能性については、あくまで可能性の話。
ですが、このタイミングで総裁選に突入するとなると、スケジュール的に野党の存在感は薄れるでしょう。
テレビで報じられるのは総裁選。
それが終わったら、衆議院議員選挙。
いつ、野党が目立つというのか?
選挙民の最大の関心事は「私の暮らしは、どうなるのか」です。
衛生、就労、育児……。
突き詰めれば「私の暮らし」なので、誰にでも価値のあるものを提示してるか否か。
その辺が大事だと思うんですけど、そうじゃないと思っている政党もあるようで……。
私とは、感覚が違うんでしょうね。
いやはや、前に考えた予想も虚しい限り。
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「資金の行き先が、日本しかなかった」
投資家の投資先は、日本だけじゃない。
投資家は、どこに資金を突っ込んだら、よりリターンが得られるかを考えるもの。
そこに国は関係ない。
で、辺りを見回してみるわけです。
中国が原点回帰を掲げ、“社会主義らしさ”に重きを置き始めました。
だから、中国株は大幅に下落。
その資金は、どこに向かいますか?
アメリカ? そうですよね。それが妥当。
と思いきや、アフガニスタンからの撤退の手際が悪く、大統領の支持率が下落。
いや、撤退前から下がっていたような……。
……って、政治理由で書いていくこともできますが、単純に時期が悪かった気がします。
市場は不確実性を嫌うもの。
アメリカの9月は、新学期シーズンですからね。
今までのことをリセットし、新たな気持ちでスタート。
株のポートフォリオも一新?
まぁ、そんな時期なんですよ。
よく「レイバー・デー(Labor Day)」あたりを起点に語られますが、去年は大統領選挙があったので、決まるまでは下げていましたね。
ワクチンの接種率が、製造元のアメリカを超えそうって話もあるけど……。
向こうからしたら、これで日本も景気回復局面にって見えるかも。
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そんなこんなで、日本株だった。
テキトーにまとめれば、こんな感じでしょうか。
問題は、誰が買っていたのか。
どのセクターを買っていたのか。
「投資主体別 売買動向」を見ると、9/3のラインは海外が買い、個人が売り。
日本株が長いレンジ相場だったので、どちらかに抜ける起点が欲しい場面だったかも。
あとは瞬発力の勝負。
あのニュースで買いに仕掛けたか、売りに仕掛けたか。その勝者が前者だったみたいな?
知らないけど。
業種別でみると、証券や金融が多いけど、これは……。
日本で銀行業やるには免許がいるから、すでに取得している会社を手に入れた方が早い。
そういう話も耳にしますが、まだチェックしていない……。
なんだかんだで、今年は決済革命イヤーになりそうな予感。
ほかに金融関連のニュースとしては……。
地銀再編を掲げた菅首相が辞める前に、手を打っておきたくて動き出した。
そういう可能性もあるでしょう。
TOBの話になれば、買われる側の株は買い付け価格まで上がるもの。
ただ、気になるのは新生銀の大株主「預金保険機構(政府と日本銀行と民間金融機関全体が出資)」と「整理回収機構(預金保険機構の子団体)」です。
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あとはモノづくり系も買われていますが、その辺は日本自体が「シクリカル銘柄(景気敏感株)」って感じでしょうか。
家電って、欲しくなったら買いますけど、次に同系の家電を買うのは当分先。
「次に買う」までの期間が長いほど、その会社の収入サイクルは厄介なわけです。
「マスクが品薄だ」
といって増産したら、余って在庫処分に困る。
こういったケースに陥りやすいのがモノづくり。
なので、どこでも作れそうなものは他国に頼み、真似しづらくて利益率が高いものを自国で生産する。
これが戦略としてはベターな気もするんですけど、「あのネジが無いと、この製品が完成しない」という状態になると、そこがボトルネックになるんで難しいですね。
よく、企業が最高益をたたき出すと「もっと人を雇え」「還元しろ」と発言する人がいますが、日本では簡単に解雇できないので、今後の需要減を考えたらダメでしょうね。
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あぁ、そうだ。
インド株、上がってますね。
感染しまくって集団免疫を獲得したので、今後は上がっていくと踏んだんでしょうか。
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【追記】
「強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観と共に成熟し、幸福のうちに消えて行く」
「理想買い」の「現実売り」
あぁ、なるんじゃないか……。
こうなるんじゃないか……。
そんな予想をするうちが花。
誰それに決まって、こうなりそうだ。
そんな現実が見えたら、売り時になるかもしれない……。