メモ書き

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「感情を失った設定」が好まれる理由

「オレは過去に色々あって、人間らしい感情を失ってしまった」

みたいな設定って、割とある気がする。
クール系の万能キャラがいて、その欠点が「感情がない」みたいな感じで。

この場合、「人間らしい感情を取り戻していく過程」をドラマにすることもできるし、他の人との感じ方の違いに面白さを見出すこともできる……。

もちろん、「過去に色々あった」のなら、その過去からの使者と言うべき人物が登場し、その因縁が物語の主軸となることもあるでしょう。
この時点で、書きやすい。

さらには、「感情を失った設定」なのでキャラ立ちが容易。
その辺の人なら驚く場面で、無表情でいるだけで合格。
そういう意味でも、演出しやすし、扱いやすい。

これが「おっちょこちょい」なキャラだったら、何か忘れ物をするにしても、ドジを踏むにしても小道具がいる。
その小道具の準備からして、「感情を失った設定」との労力の差が出てくる……。

といった点から、「割とある」ようになったのかもしれない。

* * *

で、本題。

いくら制作サイドにとって都合がいいとはいえ、需要がなければ増えはしないでしょう。

思春期の男子における黒髪ストレート・ロングくらいに、一定数の支持者がいるのは なぜか?
その辺を考えてみます。

まぁ、中二病を発症した子の右手が疼くように、感情を失くしたクールキャラに憧れる人がいるから……ってことなんでしょうけど、それを別の視点で解釈するだけの話。

感情を失くしたキャラに魅力を感じるなら、感情表現が豊かなキャラは魅力的じゃないのかといえば、そうではないでしょう。
こちらも同じくらい需要がある。

ただ、キャラに賢さという数値があるなら、それが高いのは感情なしの方。
その辺からして、無感情さは賢さと相関関係があると、どこかで思われているのかもしれない。

その原点は何か?

それが、脳だとしましょう。

大脳新皮質という言葉があります。
大脳の表面を占める部位ですね。

ここは進化的に新しい部分です。

一口に進化といっても、哺乳類の話。
鳥類は、大脳新皮質を作らずに大脳半球が拡大したとか……。

まぁ、いいです。

逆に、古い脳と言えば、「古皮質」と呼ばれる大脳辺縁系
その機能は、いわゆる本能。
反射、摂食、交尾。それに関連する感情。

そう、感情。

進化の過程で脳の奥に追いやられた基本的なもの。
その機能の低下には、まだ見ぬ新皮質の進化を感じるから、訳もなく無感情キャラに憧れを抱くのではないか?

そして、感情と共に本能も喪失し、交尾に無関心な無感情キャラが誕生する。
食事や排せつの描写は、どこまでも削ぎ落されて……。

彼らは、自分の感情を持て余してしまう思春期の少年少女にとっての理想。
自分の意志とは無関係に押し寄せる本能的情動を克服した憧れ。

だから、需要がある。

* * *

特にオチは、ありません。

前に書いた『「足が速いとモテる」を進化という視点で考える』みたいなメモです。

att3200.hatenablog.com