いわゆるリーマンショックで儲けた側の話です。
暴落で儲ける手法といえば空売りですけど、作中でポイントとなるのはローンの保険。
CDS(しーでぃーえす)
Credit default swapの略称で日本語読みはクレジット・デフォルト・スワップ。クレジット・デリバティブの一種で、企業の債務不履行にともなうリスクを対象にした金融派生商品。対象となる企業が破綻し金融債権や社債などの支払いができなくなった場合、CDSの買い手は金利や元本に相当する支払いを受け取るという仕組み。
ほかに、CDO、MBS(モーゲージ証券)といった単語が出てくるので、見る方は事前にチェックを……。
その方が理解しやすいと思うので。
CDO(しーでぃーおー)
Collateralized Debt Obligationの略称で、日本語では債務担保証券。社債や貸出債権(ローン)などの資産を担保として発行される資産担保証券の一種で、証券化商品である。
モーゲージ証券
英語表記はMortgage Backed Security。モーゲージバック証券とも呼ぶ。
一般に、不動産担保融資の債権を裏付けとして発行された証券のこと。 住宅ローンの貸し手であるオリジネーターが、住宅ローンを貸し出し、この住宅ローン債権を証券発行体に売却をする。証券発行体は、これをもとにしてモーゲージ証券を発行する。発行された証券は、元利金支払の保証がされるなど信用力や格付けが高められた上で、投資家に販売される。
実話をもとに、4人の登場人物を主軸に話は進みますが、基本的な流れは次の通り。
暴落待ち「計算したら、住宅ローン市場はヤバかった」
→暴落待ち「バブルがはじけたら、格安販売されてるローン保険でボロ儲け」
→暴落待ち「ローン保険を買いまくるぞ。さぁ、ガンガン資金を突っ込め」
→銀行「ローン保険を買いたい? いいよ(住宅市場が終わるわけないだろ、いいカモだ)」
→新たな暴落待ち「なんか、やたらローン保険を買ってる奴がいるそうだ。うちでも調べてみるか」
→住宅ローン業者「信用調査って何? それって美味しいの? ストリッパーにたくさん売って、大儲けしてるぜヒャッハー」
→新たな暴落待ち「うわぁ……」
→暴落待ち「ローン保険に金を突っ込んだら、資金提供者に怒られた。みんなわかってないし、ドラムでも叩いていよう」
→デフォルト起きまくり。でも、ローン保険の価値は変わらず。
→暴落待ち「世の中、おかしいよ」
→暴落
→暴落待ち「儲かったけど、うんざり」
最初のほうを見た後、いったん視聴をやめ、しばらくしてから見たので、誰が誰だったか混乱したまま、最後まで見ました。
と言いますか、どの人がどこに所属し、どんな立場なのか、少しわかりづらい気が……。登場人物も多し。
あと、唐突にカメラ目線になって、自分の解説を始める演出は、ちょっとね。
それでも、「暴落」という知っている結末が気になり、そのまま見続けました。
まぁ、なんというか、土地神話を信仰していたころの日本の銀行みたいですね。
結末が暴落だと、「主人公側の正しさが立証された」というカタルシスも得られない。
娯楽作品としては、ビターな印象。
それが集約されているのは、ラスベガスでの一幕。
儲かると確信し、喜ぶ若者を諭す言葉。
「我々が勝つということは、人が数字になるということだ。失業者XX%、家を失う人XX万人……」みたいな言い方をされ、「下げ」に賭ける行為の精神的な不健全さを見せられた気分。
でも、一番心に残ってるのは、それじゃない。
最大のインパクトは、徳永英明「最後の言い訳」です。
ラスベガスのレストランで、BGMとしてかかっていましたが、もう気になって仕方がない。
これが演出なのか、ただの偶然かは知りませんが、いちばん大事なものが、いちばん遠くへいくよ……という歌詞に、もうセリフが入ってこない。
字幕で見てるから、余計に……。
そういえば、日本食レストランNOBUや、村上春樹の1Q84の引用とか、日本関連の要素は他にも見かけましたね。
* * *
銀行も利益を出さないといけないので、リターンが多そうなところに貸し出す。
その基本姿勢は変わっていないでしょう。
お金を貸す際、大事なのは「返してもらえるか」なので、信用調査をするわけです。
でも、余裕で返せそうな人は、そもそも借りる必要もない……。
となれば、借りなくてもいい金を借りてもらうか……。
人員を整理するか……。
リスクを冒してリターンを手にするしかない。
何に手を出すんでしょうね?
CLO(しーえるおー)
Collateralized Loan Obligationの略称で和訳はローン担保証券。資産担保証券の一種である。金融機関が事業会社などに対して貸し出している貸付債権(ローン)を証券化したもので、ローンの元利金を担保にして発行される債券のことをいう。
金融機関にとっては、元来流動性の劣る貸出資産を、ローンより市場性の高い債券の形態にすることができるので、より機動的に資金を調達することができるというメリットがある。