メモ書き

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「無い」とは言えない「悪魔の証明」

簡単にわかるクイズの問題があります。

例えば、「日本には、昆布を干している乙女の像がある?」に、「はい」「いいえ」で答える問題があったのなら、その答えは「はい」になります。

これは、作る側の立場になれば、わかること。
答えが「いいえ」であれば、日本中をくまなく探して「無い」ことを証明しないといけない。そのうえ、その調べ方が妥当であることを証明する必要もある。
対して、答えが「はい」であれば、「昆布を干している乙女の像」を見つければ済む。

労力を考えれば、この手の問題の正解は「存在する」しかありえない。

言うなれば、悪魔の証明にならない問題である必要があるわけです。

例えば、“地球上にツチノコはいる”という命題を証明するためには実際にツチノコを見つければよいのに対し、“地球上にツチノコはいない”という命題を証明することは難しい。どんなに探しても見つからないという“証明”に対しては探し方が悪いせいだという反論の余地がある。
悪魔の証明:コラム:統計数理研究所


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a.msn.com

さて、不正が騒がれた大統領選の話。

ここで、悪魔の証明が出てきます。
それが「不正は、無かった」というもの。

不正が「まったく無い」を証明するのは、非常に困難です。
誰かが気づかれずに何かしている……。
そんなのが1件でもあれば、「無い」とは言えない。
特に買収なんていうのは、立証するまでに時間がかかるもの。

噂されているのは、組織だった不正ですが、ここでは単純に「伝え方」を話題にします。

端的に言ってしまえば、「不正は皆無だった」という表現は賢くない。
理由は、悪魔の証明だからです。

「まったく無い」よりだったら、「過去より無かった」「少なかった」とか……。
そういう表現に留めた方がマシでしょう。

https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-11-13/election-was-most-secure-in-american-history-u-s-officials-say

実際、あとになって下記のようなのが出てくるわけなので、早々に「無い」発言はクレバーじゃない。

jp.reuters.com

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https://lh3.googleusercontent.com/proxy/qcfCFcFloCK4jdivKVhqhm3XnGxRN6KHE09Lx_B6JTcobHZPEEIP_IQI68CX7PqQnrVBOe47iK2fbFupblEeGFIWYIbDVILG14FENw

最後に、昆布干す乙女像の話。

私は北海道の浦河町役場の前で、この像を見たことがありますが、今もあるかは わかりません。

私が見たときにあっても、出題時に無くなっていれば、その答えは「無い」に変わるでしょう。
それをもってして「フェイクだ」と騒ぎ立てることも可能です。
場合によっては、出題時には存在していても、受け手が見たときには「無い」ことも……。

出題者に対して悪意を持つ者ならば、問題が作成された時期などを考慮せず、今は「無い」という状況を強調することで、出題者の情報のすべてが誤りであるかのように伝えるかもしれません。
相手の目的は、嫌いな人のイメージダウンなので……。

そう、情報という素材を料理する人によって、その情報を得る人が感じる味は変わるもの。

そんなことは無いと言い切れないはず。
だって、それを証明することは、悪魔の証明だからです……。