「あなたの名前は?」
「XXです」
「いい名前だね」
フィクションでよくある この会話。
何をもってして「いい名前」なのか、サッパリわからない。
そう思う理由を説明してくれればいいのに、「いい名前だね」で会話が終わる。
困ったことに、名乗る側も由来とか話してくれない……。
なもんで、「はは~ん、名前を訊きたかっただけだな。視聴者に覚えさせるために」としか思えない会話になっている。
小説なら地の文で書けば人物名を読者に伝えられるが、映像では字幕で出すか、会話の中で登場人物に呼んでもらうしかない。
または、
「やぁやぁやぁ、我こそは どこその何々の子、何とかであ~る」
といった具合に、自ら解説する自己紹介キャラじゃないと成り立たない。
で、名前を訊くわけです。
名乗ったところで、物語におけるタスクは果たすので、会話を続ける必要もない。
適当な短い台詞で終わらせるのがベター。
「ありがとう」「どういたしまして」くらいに、「××です」「いい名前だね」なんでしょう。
この場合の「いい名前だね」は、結びの言葉。
そういうもの……。
でも、引っかかるんですよ。
「何が、どう良いと思ったのか?」と。
* * *
「あなたの名前は?」
「太郎です」
「いい名前だね。太郎と言えば、嵯峨天皇が第一皇子の幼名……」
「いや、自分は次男なんで、微妙なんですけどね」
……うん、適当に終わらせた方がいいな。この会話は。
「名前、教えて」
「太郎です」
「ありがとう」
こっちの方が、まだ楽だ。
「名前、教えて」
「未祐と書いてエメラルダスです」
「キラキラだね」
こいつは厄介だ。
字幕で出すのが、いいかもね。。。