「あぁ、オレだどもよ、父さんいるが?」
家の電話を取ると、高確率でコレ。
ポイントは、
- 名乗らない
- どこにかけているのか、確認しない
- 出てほしい相手の名前を言わない
なので、
「どちら様ですか?」
と訊く必要があります。
訊かれてムッとする人もいるでしょう。
そして、言うのです。
「オレだよ、オレ」と。
“オレがかけているだから、オレだろう”と、自分目線でしか、ものを見れていないのです。
相手に“自分”を伝える必要性がわかっていない。
なんていうか、心理学でいうところの「心の理論」絡みの実験をしたら、相手が持つ情報を想像できないと分類されそうな勢いです。
次に、「父さん」と呼ばれる存在が二人いる場合、どちらなのかを問う必要もあります。
ところが、この手の人は こちらの話には耳を傾けません。
一方的に自分の要件を喋り、相手には話が伝わっていると思い込むのです。
そして、酷い時には数分以上 話した末に、間違い電話だと気づいて唐突に切るという……。
これが、とある地方の高齢者における「電話の常識」のようです。
こんなの常識とは呼べない。
そう言われても否定する気はないですが、こんなもんなんですよ、実際。
敢えて、常識という単語を持ち出したのは、この手の人が「常識ねぇ~なぁ~」というセリフが好きだから。
基本、自分にとって都合の良いことを常識と言い、非常識だと否定されると「自分の若い頃は、当たり前だった」という過去を話し始めます。
意地でも認めたくないんですね、自分の過ちを。
中には、高齢者であっても「XXの〇〇だけど、▲▲さんいるげ?」と訊く人もいます。
相手に必要な情報を伝えるところから始める人は、高確率で こっちの話を聞いてくれますし、要件の伝え方も上手です。何より、理路整然としています。
話を聞かない人ほど、名乗りもせずに要件から始めます。
「××、△△を持ってきたか?」
話がサッパリ見えません。
なぜ、××さんが、△△を持ってくるのか。
そして、どこの誰に話をしているつもりなのか?
聞いている側にはサッパリです。
同じくらい歳を取った人であっても、これだけの差がある……。
生きてきた世界が違うのか、電話というツールと接する機会の差か、それは不明ですが、この「オレだ、オレ」から始まる電話の掛け方が、「オレオレ詐欺」が通用してしまった理由のひとつに思えました。
今でいうなら、振り込め詐欺ですかね。
まぁ、究極的に人の話を聞かない層は、よくわからない「オレオレ」がかかってきたら、その場で切ってしまうでしょう。
しかし、そんな「究極的に人の話を聞かない層」の相手をし、言葉の足りない人々と接してきた人が、その親切さから餌食になっていると思うと、悲しい。
そう思ったって話です。
相撲の前番組で、「電話のかけ方講座」でも、やってくれないもんだろうか……。