昨日に引き続き、『ヤバい経済学』の感想みたいなもの。
この本の大部分を占めるのは、「なぜ、1990年代のアメリカで、少年犯罪が減ったのか」に関すること。
で、その原因として「中絶の合法化」が挙げられています。クラック・コカインを取り巻く事情や、先の中絶説に関する反論も取り上げています。
まぁ、それは置いておいて、タイトルの「キラキラネーム」の話。
「テンプトレス(Temptress 痴女)」という子のケースでは、母親が『ザ・コズビー・ショウ』に出てた女優から取ったと言ったそうです。
実際には、「テンペスト・ブレッドソー(Tempestt Bledsoe)」なので、スペルが違う。
そして、母親は「Temptress」の意味を知らなかった……。
他のケースでは、「アムチャ(Amcher)」という男の子がいます。
命名理由は、その子が生まれるときに両親が病院で最初に目にした「オールバニー医療センター病院緊急救命室(Albany Medical Center Hospital Emergency Room)」の頭文字から。
この2人の名前は、家庭裁判所の判事であるW・デニス・デュガンさんが、ずいぶん前からヘンな名前の被告がいるなと思って、メモしていたノートにあった名前だそうです。
この2例の前には「ルーザー・レイン(負け犬一直線)」と「ウィナー・レイン(勝ち馬一直線)」という兄弟の話があります。
弟のルーザーはニューヨーク市警の仕事に就き、兄のウィナーは「窃盗」「家庭内暴力」「不法侵入」「逮捕への抵抗」「その他の暴力行為」で30回以上も逮捕されているとか。
本では、白人と黒人で、つける名前に違いが見られること。
親の平均就学年数で、傾向が見られること。
名前の流行が巡っていること。
ジャスミンのスペルがめちゃくちゃ多いことなどが、書かれています。
いや、ブリトニー、ブリタニーみたいなのも多いんですけど。
名前の流行に関しては、高学歴・高所得の親の間で流行った名前が、社会経済のはしごを下にくだっていくという感じです。
人種や所得によるデータ分け、生命倫理に絡む中絶という時点で、感覚的にNGを突きつける人もいるでしょうが、数値から社会を読み解くという観点で、興味深い一冊だと思います。
「感覚的にNG」と書きましたが、著者は中絶の話をした際に、マスコミから酷い扱いを受けた模様……。
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