メモ書き

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「優秀な奴が子孫を残す」というウソ

「いい歳をして、結婚もしていない云々……」という考えは、別に珍しくもない。

どこかの会社が、それを地で行くような発言をし、採用基準としているだの何だので、騒がれたのは今月だったろうか。

得てして、そういった発言の周りには、「結婚してない奴は、どこかおかしい」「つがいになれないのは、生物として欠陥がある」といったコメントがあふれる。

そして、「優秀な奴が子孫を残す」といった趣旨の発言へと繋がっていく。

本当だろうか? 検証してみよう。

「優秀な奴が子孫を残す」を逆に考えると、多くの人が子孫を残した世代は優秀ということになる。
となると、ベビーブームの立役者は優秀だ。
その当時の親は、育てた数的にも優秀と言えるだろう。その根拠でいけば。

「当時は、見合い結婚が多いから云々」
「戦後は、産めよ増やせよという云々」

そんな言葉を言いたくなる人もいるだろう。
だが、環境要因を口に出した瞬間、「優秀な奴が子孫を残す」理論は崩れ去る。
先の言葉には、遺伝的に優秀な者を選び合うようなニュアンスが含まれているからだ。

当時の結婚は、お見合いが約6割。

参照元

第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)|国立社会保障・人口問題研究所

 

「種の繁栄」という視点でも検証してみよう。

現存する種は、優秀だから残ったのだろうか?

その問いには、「適応」といった類の回答が待っているだろう。
もしかしたら、「我々こそが選ばれた種族」という危ない発言が返ってくるかもしれない。

これに関しては、『銃・病原菌・鉄』を読めば済む話だと思っている。

まぁ、何というか、栽培に適した植物が近くにあったのか。
家畜にできる動物が、その辺にいたのか。
それが大きな分かれ道になっているという話。

とある作品で、食糧を確保するために、森に入ってナッツを探すというシーンがあり、思わず「やめておけ」と言いたくなった。
野生のアーモンドには、毒があるからだ。

ついでに、たまたま見つかった毒の無いアーモンドを選び、育てたことで栽培品種が誕生したという説を思い出した。

似たような話として、飛び散る麦穂がある。
まぁ、植物として考えれば当然だ。
より多くの子孫を残すのなら、種は遠くまで飛ばせた方がいいので、飛び散るのがベター。

しかし、食用とするなら、飛び散らないのがベスト。
かくして、飛び散らない麦が育てられ、食用として一大勢力となった。
この麦は、麦として優秀だろうか?

動物も同じである。
気性、閉鎖環境での飼育、育成期間、餌代、病気、そういった諸々の条件をクリアし、家畜として価値がある種は少ない。
その少ない種が、世界各地で育てられ、家畜として一大勢力となった。
これらの動物は、動物として優秀だろうか?

「人間は違う。人間は特別」

そんな感じの反論をされるだろうし、個人的にも一緒くたにはしたくない。
なので……いや、違うな。
書くのに飽きたので、この辺でやめよう。

どうせ、本当に書きたいのは、「コーンってすごいな」ってことだけだもの。
いろんな商品に使用されているコーン。我々はコーンに生きている。
……ってなことを『フード・インク』を見て、思ったわけですよ。