メモ書き

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「妖星ゴラス」の感想

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1962年公開の特撮映画の感想です。

地球の6000倍の重力があるゴラスが近づいてくるので、どう対処しようかという話。
内容的に「アルマゲドン」を思い出しますが、本作では違う対処方法を取ります。

この危機に関わる人々のドラマなんですけど、「なんで、この登場人物を選んだのか」というメンツが主要キャラ。
少数のヒーローが生まれるような内容ではなく、国連主導の解決というのも、珍しい気もしてきます。

まぁ、見どころは特撮なんでしょうけど。
公開当時に見ていれば、もっと驚いたはず。

以降はネタバレ。

* * *

まず、割と宇宙開発が進んでいる舞台設定です。
他の目的で調査に乗り出した宇宙船が、妖星ゴラスを発見して近づき、そのまま引っ張られてドカーン。

この辺から話が始まるわけです。
で、再調査のために新たな船が向かうと……。

その調査結果次第で、ゴラスを破壊するか、それとも地球が動いて回避するかを決める感じ。

地球が動くんですよ?
凄いじゃないですか。
今だったら、プロット段階でボツを食らいそう。

その調査の結果、ゴラスの破壊は無理という結論になり、マジで地球の軌道を変える羽目に。
その方法は、南極大陸での大噴射……。

実行に移すと、何が起こると思います?

異常気象? 海水面の変化? 甘い甘い……。

怪獣の登場です。

特撮だもの、怪獣が出てなんぼ。
巨大なアザラシが登場し、南極の施設を破壊するわけです。
その怪獣出現を受けての言葉が、「こんな前例のないことをすれば、こういうのが出て来たって不思議じゃない」的なもの。おおらかですね。

その怪獣を飛行機からのレーザーで退治し、再び大噴射してゴラスをかわして終了。
大まかな流れは、こんな感じ。

ちなみに、北極は海で大陸じゃないという理由から南極を選ぶわけですけど、ラストで「今度は北極で同じことして、軌道を戻す必要がある」ようなことを言います。

俺たちの危機は、これからだって感じですね。

※ 便宜上、大噴射と書いていますけど、そう表現するほどの火力は無いです。

* * *

ミニチュアで撮影された基地の様子、ゴラス接近による土砂崩れや水没、その辺の特撮的な見どころはあります。
きっと、ヘリコプターに乗り込んだ後の空撮シーンも、当時としては見どころだったはず。
今となってはドローンで撮れるので有難みもなく、むしろ酔いやすい下手な映像に思えるかも。

無重力なはずの宇宙でのシーンは、船内でも普通に歩いています。
きっと、重力発生装置があるのでしょう。
小型飛行機的なカプセル回収シーンでは、急に月面歩行っぽくなってましたけど。

それよりも、そのカプセルの操縦者となった男の必要性が疑問。
そいつには好きな女がいるけど、彼女は別の男が好きだった。
だけど、好きな男はゴラスに吸い込まれて死亡……。
そんな流れがあるけど、別に要らなくない?
カプセルの操縦者がゴラスに接近して記憶喪失になり、物語の後半で戻るのも、大筋に関係ないし。
あの周辺のドラマって、必要だったろうか……。

「狭い地球にゃ未練はないさ」の挿入歌を使うための要員だったとしか思えない。
耳に残る歌ですけどね。

印象に残っている台詞は、タクシー運転手の「(マスコミは)騒ぐのが仕事ですからね」みたいな言葉。
ゴラスの危険性に対する認識が、これです。
普段から要らぬことで騒いでいると、オオカミ少年になるわけですね。