メモ書き

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株価が、実体経済を反映するワケがない(仮)

景気が悪いのに株価が上がると、「実体経済を反映していない!」と怒る人を見かけます。

いつから、株価は実体経済バロメーターとなったんだろう?
ふと、そう思ったという話。

そもそも、株価が関係あるのは上場企業のみ。
経済産業省の2006年のデータによれば、日本の企業数は約421万社。

2020/8/20時点で、上場会社数は東証1部が2,173社、2部が481社、マザーズが328社……。
まぁ、421万社という全体数から見れば、誤差みたいなもの。

就業人数や事業的な繋がりで見れば誤差とは言えないでしょうが、会社の数としては大きな差があるわけです。

なのに、大半が非上場の中小企業でも、株価に実体経済を見ようって……。

仮にトリクルダウン理論みたいに、お金は巡り巡って来るとしても、それは参考レベルの話。
指標と言うには、どうなのかなと……。

上場するような企業が儲かり、非上場なところは苦しくなる傾向、あるいはシステムがあっても、不思議じゃない。

その辺を抜きにして、株価が上がるたび、決まり文句のように繰り返されるわけです。

実体経済を反映していない!」と。

それで、さも自分は世の中を見ている、社会問題を考えているって顔をするんだから、なんだかなぁ~と。
どっかのメディアが「これは問題だ!」と騒げば、深く考えずに「そうだ、問題だ!」と同調し、居酒屋で愚痴をこぼす……。
そんな姿すら、想像できてしまいます。

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もしかして、ただのガス抜き用文句なんですかね?

株価上昇の恩恵を受ける人を妬む“株価に無関係な人たち”専用の……。

* * *

それはそれとして、過去最高値と言ったところで、お金の価値は変動しているわけですよね?
同じドルでもジンバブエ・ドルオーストラリア・ドルの価値は違うし、米ドルだって違う。
何なら、その時々でレートも変わる。

なのに、前より数が大きくなれば、無条件に「やった~!」なの?


「金」「銀」「プラチナ」に変わらぬ価値があるなら、なぜ価格は変動するのか……。
そう、鉱石が高くなっているのではなく、通貨の価値が下がっただけ。
または、通貨の価値が上がるから、鉱石が安くなったように思うだけ。

変わらぬ価値を持ち続ける鉱石。
その価格という名の地平線の上に出たり、下に隠れたりするのが通貨の価値。

そう考えると、諸事情で通貨の価値が下がり続けるなら、価値が変わらぬものに換えてこうと思う人の心理が透けて見えるでしょう。
それが鉱石であれ、有価証券であれ、ほかの換金性の高い資産であれ……。
価値が下がる通貨を持っているリスクより、ほかの何かを手にしたいもの。

交換するなら、利益を生む資産がベスト。
ということで、低い金利にサヨナラし、配当や株価の上昇に期待して、どこかの株に乗っかるのです。

そして、乗っかったら、こう言うのです。

「今は金融相場だ。業績相場は、そのあと。実体経済? 何それ、美味しいの?」