メモ書き

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出産制限 ~新しい子孫繁栄~

20XX年、日本――

プロ精子提供者「今までが、おかしかったんですよ。誰もが自由に子どもを作れただなんて……。だって、そうでしょ? 身体的特徴が遺伝するように、知能も遺伝する。なのに、出産は無法地帯。社会的リソースを浪費するクズに子供を作らせたら、クズをコピーするようなもんじゃないですか。それを考えたら、今の出産制限は実に合理的。遺伝子選別を通過した子どもだけが生まれるから、遺伝的な欠陥を持った人が生まれない。だから、それ系の問題も起きない。このシステムの一翼を担うために、今日も最高の一日を過ごして、良い精子を搾り出しますよ。選ばれた誇りを胸にね」

プロ卵子提供者「遺伝の次に影響があるのは、友人関係。でも、周りに存在するのが遺伝子選別を通過した子どもだけなので、その点は安心しています。昔は、優秀な子と劣った子が同じ環境に置かれ、優秀な子の成長を阻害していたと習いました。それを聞いて、当時の子どもたちを気の毒に思いますね。犯罪の遺伝傾向もあったというのに、酷い……」

プロ出産者「残念ながら、私の遺伝子は選別を通過できなかったので、自分の子どもを残すことはできませんが、選ばれた子を産むことはできます。より良い社会の為に貢献できることは、嬉しいですね。健康な子どもが産めるよう、今日も快適な環境で過ごします。まぁ、これで稼いでいますから、当たり前ですけどね」

プロ育成者「昔の老人は、食って、寝て、テレビを見る老後だったのよね? それに比べれば、有意義な時間を過ごせてると思うわ。次世代を担う存在を育てているんだもの。育成仲間も、たくさんいるのよ」

プロ補助者「僕は遺伝子選別をクリアできなかったし、産むこともできないけど、彼らのサポートをすることで、社会に貢献できていると思います。提供者への嫉妬? ないですね。彼らの成果物が生活を充実させているので、感謝しかありません。彼らが子育てにリソースを割かずに済むお陰で、発展スピードも飛躍的に上昇したと習いました。そんな彼らの子孫を残す手伝いができるんですよ? 名誉なことじゃないですか。誰が、出産制限を提案したのかって? そりゃ、神様ですよ」

神様「10110001……」