メモ書き

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万引き家族の感想

是枝監督の名前は知っていましたが、作品を見たのは これが初めて。
どんなのを撮っているのか、あまり知らない状態での視聴でした。

「ドキュメンタリータッチだな」というのが第一印象。
後で調べたら、ドキュメンタリーを撮ってた人と知り、「あぁ、だからか」という妙な納得感。

「物語」というよりは、「特定の人々の暮らし」がある感じで、見て「楽しい」という類いじゃない。
どちらかと言うと、映画を見た後に社会問題を語りたい人向け。
社会問題を扱う本を買い、読んだことをアピールしてる人には、良いような気がしました。

この当時の、こういう状況下の暮らしを知る資料。
個人的には、それ以上でもそれ以下でもなく、最後まで見れたのが不思議なくらい。
言ってしまえば、別に見なくてもいい作品。

ただ、自分がもし海外の人間だったのなら、別の意味で「見れた」かも。
自分が知らない暮らしというのは、知的好奇心を刺激します。端的に言えば、それだけ。

『スラムドッグ$ミリオネア』や『きっと、うまくいく』を見て、ストーリーを面白がると同時に、インドの事情に興味を抱く。そんな感じです。
あの物語が、よく知った場所が舞台だったら……。
例えば、海外の人が描く日本だったら、きっと見ていられなかったでしょう。

海外で日本の映画が評価されるとき、日本的な要素が前面に出ているか否かで、大きく変わる。そこには、そういう事情もある気がします。
「海外の賞」という権威に対して私が思うのは、それくらいだという話。


映画の内容としては、底辺の暮らしぶりと窃盗。
そこで子供が育つということ。
それに対して、「父ちゃんにはなれない」という回答。
そんなところでしょうか。

もっと「感じろよ」と思う人もいるでしょうが、あまり引き付けられるものがなかったので、それくらいです。

予想外だったのは、予備知識なしで見ると、あの一家の関係性が不明なこと。
「あぁ、コイツとコイツは血が繋がってないのか。えっ? 拾ってきたの?」みたいな。
もっとハッキリと家族関係が説明される感じだと勝手に思ってました。

ただ、個人的な好みで言わせてもらえると、フィクションとして楽しむなら、あの家族と対になる存在があった方が自分好みでした。
・犯罪を犯してるけど、人として憎めない人たち
・犯罪を犯していないだけで、人としてクズな人たち
それを小さな女の子の視点で描いた方が、好みだという話

まぁ、私の好みは、どうでもいいですね。

表現として感心したのは、スイミーの話です。
あの流れで「マグロ、うまいもんな」という台詞。
教養のないアホの言いそうなこととして秀逸かな、と。

逆に、「童貞殺し」のセーターの話では、最初は「脱がせ方がわからない服」だったのに……という気持ちに。
あと、源氏名「さやか」の風俗が、知らないジャンルでした。
ソープでもない、ヘルスでもない。アレは何?
なんでアレにしたんだろう?

そして、ショックだったのは、樹木希林さんが演じてる人物の死。
本人のことを思うと、何とも言えない気持ちに……。

感想としては、そんなところ。